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第66話|言語化の失敗
朝、一覧はいつも通り表示されていた。
ずれも遅れも見当たらない。
彼は最下部を確認する。
すべて揃っている。
午前中、処理を進める。
入力も保存も正常に完了する。
だが画面を閉じる直前、
一行だけ表示が遅れたように見えた。
彼はすぐに隣を見る。
新しい担当者も画面を見ている。
数秒後、担当者が口を開いた。
「今の……」
そこまで言って止まる。
彼も何か説明しようとした。
だが、
どこがどう違っていたのかを言葉にできない。
位置だったのか。
速度だったのか。
表示の間隔だったのか。
午後、ログを開く。
更新は続いている。
異常欄は存在しない。
夕方、基準文書を確認する。
追記がある。
「表示は統一されています」
それ以上の説明はない。
定時、端末を閉じる。
違和感は共有された。
だが説明は成立しない。
言葉にした瞬間、
何が違っていたのか分からなくなる。




