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部屋で作戦会議をしていた。
「どこに資料があるか。どうやって資料を取ってバレないようにするか、って問題だね。」
「お主、脱走と資料を取るまでの移動に心配はないのか。」
単刀直入に今回の議題を提起すると、早速質問が飛んでくるので答えた。
端から見たらただの話が飛躍する独り言でしかないが。
「メーデルから貰ったシールを使えば光レベルの速さで動けるの」
「光レベル。お主、さっきの光速は…言葉通りすぎるだろう。」
まぁね、と頷いて、まずは資料がどこにあるかの考察に移った。
研究棟は3つあって、私は一番左の建物に居る。
一番右の建造物には看板が付いている。
真ん中の建物には7階にだけ窓がない。
「絶対に7階だよね。セキュリティガバガバ過ぎない??」
罠かもしれないという意見もあるようだが、無視して私はドアに手をかける。
「まぁ、我も中央の建物にあるとは思うが。お主、なかったときはどうするのだ?」
全部見るだけだと告げて、私はシールを体に貼り付ける。
ドアは鍵がかかっていなかったので、早速高速で走り出した。
周りには見えていない、最高だ!
「おい、お主、速すぎないか?」
遠くから聞こえるノヴェーヌの声を無視して、出口まで駆け抜けていると、ノヴェーヌが急に戻ってきた。
これがノヴェーヌが言ってた瞬間移動だろうか。
廊下に階段と突き進み、ついに1階に到着したタイミングだったので、意外と離れられる距離はあるのだと分かる。
「お主、そっちは行き止まりだぞ」
戻ってきたノヴェーヌのアドバイスに従って右に曲がらずまっすぐ進むと、出口だった。
止まりたくなったが、止まると周りに見えてしまうので、すぐさま真ん中の建物に入った。
3階まで駆け上がる途中でコーディウが見えて一瞬びっくりして止まってしまったが、気づかれるより先になんとか加速した。
7階まで登るまでにノヴェーヌが4回ほど移動してきたのは、多分、ノヴェーヌは途中追いかけることをやめたのだろう。
明らかに資料のあると思わしき部屋を見つけたので、歩みを止めた。
廊下は人一人も居らず静かだった。
研究施設らしく白い壁が続き、天井から足音が時々響く。
誰かが示し合わせたかのように、奇跡的にこの階には誰もいないようで少し不安になった。
窓には柵格子が張り巡らされていて、重要な情報の漏洩を警戒しているのだろう。
興味津々といった様子であたりを見回しているノヴェーヌに話しかける。
「ノヴェーヌ、鍵が掛かってる。」
「帰るか?」
「…幽霊みたいに壁をすり抜けられない?窓開けてきてほしいんだけど」
「すり抜けられぬ。物が持てるんだから当然だろう?」
「試しに!じゃないと壁突き破ることになっちゃう」
武力行使をほのめかすと、ノヴェーヌは渋々といった様子で試してくれた。
なんと通れた。
流石は初代観測者だ、と褒めるとため息を吐かれた。
そのまま窓を開けてもらって私も侵入すると、それまた高速で走り出す。
天外研究の資料が置いてあるコーナーを見つけて、そこにある本全部をひったくってくる。
空白になった其処を見てノヴェーヌが呆然としていたが。
しかし、私には良い方法があるのだ。
印刷機を借りることにする。
私に付いていたシールを外して、印刷機に貼りかえる。
「お主、相変わらず豪胆だな。それで本当に印刷機の速度が早くなるのか?」
「やってみなきゃ分からないじゃん」
「くれぐれも足がつかないようにしてくれ。」
ノヴェーヌの言葉に従って私はバレないように隠れた。
動き出した印刷機はシールの効果を適用していた。
ノヴェーヌがため息を吐くのを横目に、周囲を見渡す。
人は相変わらず見当たらない。
誰も気づいていないのだ。
見たことのない速度で印刷され終えた資料を抱えて、元の位置に本を返すと、また私は走る。
シールを自分に貼り直して、一歩踏み出すと景色がブレて見える。
相変わらずの高速で遠く見えなくなっていく施設に、気持ちよく帰った。




