表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/57

28

ただいま、自宅待機中だった。

ミカルアさんが今日は時間が空いたらしく、家に帰ってくるので久々にきっちりと会話しようと思っている。

最近は、私には関係ない方の研究の話ばかりで、積み上がる身近な疑問についてはめっきり聞けていなかった。


ぐでん、と床に寝っ転がりながら帰りを待っている。

通知音が鳴った。

ミカルアさんかエルヴィアさん、大穴でヌンフタマリー・マスケリンだろうか。

私はスマホを拾い上げて、画面をつける。

メッセージアプリの通知を開くと、文字だけが一部見える。

『面白い情報があるよ。今から会え……』

ここまでしか読めなければ、誰からのメッセージかも分からないので、通知をタップする。

画面が一瞬白くなると、アプリが起動され、全文が表示された。


改めて、読み直すと、珍しくメーデルさんからのお出かけのお誘いだった。

どうやら、アリアーコルの事情に詳しいインフルエンサーとのアポイントメントが取れたらしい。

教えてくれるらしい、とのことで呼ばれた。

是非とも行きたいが、珍しく早く帰ってくるミカルアさんを折角捕まえることが出来るというのだ。

メーデルさんの方も、他の方も一緒にいるということなので、待ってもらうことはできないだろう。

そう思いつつ、返事を考える。

お誘いのお礼のスタンプだけが送信された状態で放置されたスマホにようやく入力する。

いつからいつまでなのか、そう質問すると今日明日はずっと空いているらしく、そこだといつでも良いんだと。

それなら、ミカルアさんにいくつか質問してから向かおうと決めた。

ドートス遺跡で見つけた例の碍遺物の話と、ヌンフタマリーさんについてを聞いて…、時間があれば仲よさげにしていた謎の女性についても質問しよう。


そこまで考えて、「行きたい、1時間後ぐらいでもいい?」と、打ち込み、送信する寸ででスマホを取り上げられた。

2回目じゃないか?

そう考えて、目を向けると、ミカルアさんだった。

眉を潜めながら、奪ったスマホを抱えて座って、何やら入力していた。

私の打った文字は躊躇いなく一気に消されている。

私は視界の端で捉えたスマホ画面から目を逸らさずに何を打つか眺めていた。


異性を自室に招くなんて、教師として看過できません。貴方がリリを襲わないなんて、保証ないのですが?もしその気がなくても、周囲から見れば、一緒ですよ。リリと違って、男として危険を知ってる貴方なら理解しているでしょう?なぜ自室に連れ込むんです?


あまりにも長く散らかった文に笑いそうになって抑える。

見ているのがバレると些か都合が良くない。


少しすると、メーデルさんもまぁまぁな長文で返信している。


ミカルア先生、大丈夫です?義父以前に教師ですよね、普通の域を超えてますよ〜。子供であり生徒に、恋愛感情向けてたらやばいのでは?データに残ってますけどね。

なんて、飄々とした文が、間違いなく、ミカルアさんのことを誂っているのだろう。

私にはわかる。

これまた「んぐっ」と笑いを堪えるが、ミカルアさんにはまだバレていないようだ。

ミカルアさんは増々顔を険しくしながら、出来るもんなら、と挑発している。

しかも、ミカルアさんはこれから私と3時間みっちり話す予定なようで、その後なら良いですよ、なんて言っている。


『その調子だと、僕の方、夜遅くまでになっちゃいそうですけど…夜遅いと危ないので泊まらせますね〜。僕が襲っちゃったらどうするんですか?ここで許可がもらえたらありがたいんですが。』


原文ままのメーデルさんからのメッセージだ。

このままだとミカルアさんが怖いので、そろそろ遊ぶのは終わりにして欲しい頃合いだが…。

ミカルアさんは予想外にも『どうぞ』と返信した。

短く3文字だけだったのが、間違いなく苛ついていることだけは理解できた。

その後、文字を打っては消してを繰り返したミカルアさんが、次の吹き出しで、出来るもんなら、と返している。

少し気が遠くなって胃が痛くなる気がした。

ここまでになるとは思ってなかった。


メーデルさんの獲物を捕らえたかのような「ふーん」なんて幻聴が聞こえてくる気がした。

案の定、束縛するくせに時々残酷だけど所詮は実験道具なんですか?なんて、これまた凄いことに踏み込んで聞いている。


私自身も少し、なんて答えるんだろう、と興味があった。

苛立った文か、もしくはスラスラとした肯定か否定の文。

そう思っていたのに、意外にも、ミカルアさんのタイピングは、止まってしまった。

そして、暫くして、止まり止まりに文字が打ち込まれる。

打っては消してを繰り返しているようで、かなり濁したような文になっていってる気がする。


もちろん、道具ではないけど、実験に重要な貴重な存在です。


この文は打たれたようだが、そこから先がまた止まっていた。

そして今は、束縛してないです、と打っては消しているようだ。

個人的にはどうやら、本人にも心当たりがあったようで安心する。

アレが無意識とかとんでもないからな…なんて考えた。


そして、まず恋愛感情を否定しなきゃ、とでも考えたのか。

道具でなく1人の大事な家族です、とは打ったようだ。

そして束縛の話は悩んだ末に入れることに決めたようで、『束縛はしてないですし、残酷になったつもりもありません。貴方よりもずっと大切にしてます』と最後に追加して送信したようだ。


私が心の中で、メーデルさんは転生者仲間で友達なんだから姉の代わりに愛する人よりはドライだろ!なんて、ツッコミを入れておいた。


『束縛のつもりはないんですね。まぁ、リリちゃんに見えないように送信取り消ししておくんで、そちらも分からないようにしててくださいよ』

とメーデルさんが送れば、その後メーデルさんのメッセージは言葉通りに送信取り消しされた。

見えてるんだけどなあ、なんて言葉は飲み込んで白々しく何かしらをしていたふりをしながらミカルアさんのアクションを待った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ