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次に目が覚めたのは保健室。

ミカルアさんとエルヴィアさんがいた。


「お役に立てず申し訳ないです。体調大丈夫ですか?」


エルヴィアさんの申し訳なさそうな小さい声が耳に届いた。

視界がぼんやりとするが、しばらく目を瞬かせていると、ピントがあってくる。


「あ、エルヴィアさん。ミカルア先生連れてきてくれてありがと」

「えぇ、間に合ってよかったです。しかし、すみません…」


そう聞こえて、耳を疑う。

すみません、とは何があったのだろうか。

ぼんやりとしていた意識が覚醒しきってしまった。


「あぁ、目が覚めましたね。何があったのか説明しましょうか?」


お願いします、と同意すると、いつものミカルアさんの説明が始まった。

怒っているのが僅かにだが伝わってきた。


「まず、エルヴィアさんが最初に到着し、説明がありました。メーデルさんがケガしたレイガヴさんを連れてくることと、貴方が1人で蚪禽相手に応戦していること。ほかの治療可能な教師をメーデルさんに回し、俺と他の教師の2人で貴方を探しに行きました。」

「もう一人の教師は途中で、暴走している動物に足止めを食らっていたメーデルさんを助けるため、俺1人で向かったんですが、そしたら満身創痍で蚪禽の解剖をしている貴方を見つけたんですから…はぁ」


返事を挟む隙間もなく懇々と説明される。

それが?と思っていると、ミカルアさんの長いながーいため息のあとその後の話をされる。


「どうやらリアリィスさんが仕込んだことのようです。蚪禽は魔坩体の中でも誰も倒したことがないくらい群を抜いて強く、ここらでは本来見られないんですよ。リアリィスさんを陥れるために貴方が無理やり連れてきた、と噂になっています。エルヴィアさんには貴方を置いて逃げてきたという噂もあります。」

「『リリが異様なまでに強いのは禁忌に手を出しているから』と、エルヴィアさんが貴方を陥れるために吹聴している、という噂まであります。」

そんなわけで、リアリィスさんは私たちを陥れようとしているみたいだ。

そして、エルヴィアさんが言うには、既にイジメの空気になっているという。

特に私はミカルアさんと仲が良いため、嫉妬でリアリィスさんを貶めたのだろうと、余計注目を浴びているようだ。

あまりにも荒唐無稽な話すぎてため息が出る。

しかし、それは現実逃避に過ぎず、人生最も悪辣なこの出来事にどう対処するかが、目下の課題だ。


「最悪ですね。」

「でしょう?予測したとおりと言えばそうですが。まぁ最初に言った通り、証拠がないと訴えることもできないので、しばらくは耐えてもらうことしかできませんが。」


ミカルアさんは、軽い口調でそう言うので、現状に余計にため息が出た。

保健室のベッドから起き上がろうとすると、グラっと来た。

2人に咄嗟に支えられる。


「その、証拠ってどこにある感じ?どういうイジメが多いの?」


私は質問しながら起き上がると、ミカルアさんに凭れ掛かる。

ミカルアさんが一瞬嫌な顔をしたが、適当に誂ってエルヴィアさんの様子を伺う。


「重いって?」

「いえ、…びっくりするでしょう」


一瞬バトルになりそうな空気に、エルヴィアさんが割って入る。

そして、エルヴィアさんは丁寧に説明してくれる。


「まぁ、禁忌に触れてるということで、まず会話を意図的に途切れさせたり離れていったりというものでしょうか。」

「あー…」


「第2に、ミカルアさんに媚を売って取り入っててリアリィスさんに嫉妬しているという噂があるので、間違いなく体目当ての男が来るか、同性からの陰口が増えるでしょうね。また、その、…性に関する悪口が増えるでしょうね」

「取り入っ……キッッッつ」

「幼稚で単純な女からの、物を隠されたり壊されたり、変な体勢取らされるような肉体的な嫌がらせを受ける可能性も高いです」


ミカルアさんも同時に嫌な顔をした。

十中八九アプローチが増えるからだろうが、そこまで眉間にしわを寄せないでほしい。

こっちまで申し訳なくなってくる。

しかし、私自身、見た目がとても良いことは自覚してるので、それ目当てのカス男が来ることは避けたい。


「そして、蚪禽を倒した危険人物認定されてるじゃないですか?」

「…なんで?」

「人類初です」


しばらく沈黙が流れる。


「まぁ、そんなわけで『危ないから』と言われて、直接狂気的人物扱いされたりグループやペア組みを嫌がられる可能性もありますね。」

「私は、まず村八分状態ですね。あとは何人かに薄情だなと文句を言われ、リリさんを嫌いな不埒な輩に肩を組まれそうになりましたね。殴ろうとしてきたやつは凍らせてきました。」


更に沈黙になる。

あまりにも強い女性だったことを忘れていた。

いつでも守りますからね、と言われたので頷いておいた。

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