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次の日すぐの交流会、地獄の空気が漂っていた。

ドートス遺跡に集まって、そこから教員がグループ行動を指示してすぐ、リアリィスさんがやってきている。


「ウチ、二人に用があるんだけど、ちょっといい?

「無理です。単独行動は控えるように言われてませんでした?」


初っ端から、恨みを持つ人物だけを、連れて行こうとするリアリィスさんは清々しいほど分かりやすかった。

私は、昨日ミカルアさんに言われた通り、単独行動にならないようきっぱりと断る。

何されるか分からないが、それ以上に私の魔力の暴走で、こちらに非が生まれた時がまずいのだという。


「君は今はいいや。エルヴィア、ちょっとこっちに来なさい」

「なぜ来ると思ってるんですか?」

「なに?姉に逆らわないで」

「姉”だった”だけでしょう?落籍者(一族を追い出された人)を元のように扱うことはアリアーコルの法に逆らうのではないのですか?」

「だったらなに、じゃあ良いよ。由緒正しきアリアーコルの長女に落籍者が逆らわないで?」


徐々に声が大きくなって、周りが騒ぎを聞きつけて来た。

その中に見覚えのある顔が居て安心する。


「なぜ、まだフィールドワークに出てないんですか?喧嘩で他のメンバーに迷惑をかけるのはやめるように。」

「リアリィス、学年も違いグループも違うところにどうしているのでしょうか?」


救世主だ!と感動していると、ミカルアさんにチラッと目を向けられた。

あらかじめこうなることを警戒してくれていたのだろうか。


「お話をしに来ただけなんですよ!」

「お話?交流会といえど授業です。早く戻りなさい。」


教師に言われればそうするしかない、リアリィスさんは去っていった。

ふぅ、と息を吐いていると、ミカルアさんが私たちのもとにやってくる。


「エルヴィアさん、籍の関係が切れてもリアリィスはしつこいと思いますよ。大丈夫ですか?」

「はぁ、私としてはリアリィスも気絶させても良いんですが。どうせ、リアリィスは1年後に二度と会わないので。」


そう言うと、ミカルアさんは珍しく笑って、メーデルさんたちに謝罪していた。

そして、一通り話すと、私のところに来る。

少し、声を抑えて案の定小言が始まる。


「ね、案の定でしょう?俺としては何故エルヴィアさんと直後コンタクトを取ったのか、と聞きたいですが。何もなくてよかったですよ。」

「ごめんなさい、あと落籍者ってなんですか?」


謝って、話をそらすために質問すると、説明はしてもらえた。

貴族で家を追い出されて籍を失った人を落籍者というらしい、俗称だ。

そうなんですね〜と流して、私は他所に目を逸らす。

メーデルさんが行こう、と言ってくれて、私はそれに頷くと、グループで移動の空気が出る。

それに沿えば、なんとかその地獄の空気から脱することができた。


遺物は1つ見つけただけだったが、崩落箇所の修正は3箇所直せたので見回りとしては問題ないはずだ。

暴走した動物には出会ってないのはとても嬉しい。

そうして帰りのルートを歩いていて、もうあと1,2キロのところだった。

暴走した動物が出てきてしまった!

うわぁ、と思いながら、逃げようとすると、レイガヴさんが躓いた。

こいつ…っ!と思いながら助けると、それによって追いついた動物と戦うしかなくなる。

レイガヴさんを我先にと逃げているメーデルさんのところまで投げて押し付ける。

動物が腕に引っ掻いてきたので、慌てて放り投げると、思った以上に飛んでいった。

魔力の制御ができていない。

しかし、それは一種好機で、私は必死に法紋を展開して攻撃すると、動物の足に傷がついた。

なんとか隙ができたので、立て直すと、エルヴィアさんが私を起こしてくれる。


「私が時間稼いでおくから、先生呼んできて。これは、この暴走は…普通じゃない」

「えっ、2人で戦えばいけない?」

「そういう次元じゃない強さ。最悪のばあい私が全部使えば何とかなるから!」


エルヴィアさんにそう伝えると、存外素早く理解してくれて、エルヴィアさんは足早に帰りルートを突っ走っていく。

私は目の前のもはや化け物になってしまった動物を見定める。

ここまで暴走してしまっていれば、暴走した動物のレベルの中でも、魔坩体(まかんたい)といっても差し支えないだろう。

最悪、私の全てを使えば止めれる。

しかし、それをするのは最終だし、逃げたほうが賢明だ。

動物、特に今回対面している蚪禽(ときん)と呼ばれる鳥類は強いらしく、戦い方を知らない。

どこを狙えばいいのか、分からないままただ、移動を断つため、足を執拗に狙って法紋を放ち続ける。

徐々に魔力の制御ができなくなるのは、魔視神経の暴走だと言われていたが、うっすらと感じ始めるので、そろそろ限界になってきたのを感じる。

仕方ないので、全力でここらに被害を与えながらもトドメを刺すことに決めた。


「ちょ、っと…!はぁっ!はっ、ふ。」


しかし、対象に狙いを定めるのは、この体力だと流石にしんどい。

挙句、グラグラとする視界のままじゃ、足をもつれさせて倒れてしまいそうだ。

攻撃方法を変えることにして、今度は対象一帯に爆発を起こそうと法紋を変える。

思い切って、爆発を起こせば、蚪禽の周りを結界が取り囲む。

そのまま、結界の中がすぐに赤く閃光が広がり、その光が消えれば、蚪禽は死んでいた。

範囲の調整のおかげで、他の被害も及んでなさそうだった。

そのまま座り込めば、気を失いそうだったので、そのまま蚪禽の処理を始めた。

下げた頭が重くのしかかってくるのを必死に踏ん張った。



知らぬ間に、意識が落ちそうになっていたところを、誰かに起こされる。

誰だろうと、目を向けるとミカルアさんで安心する。


「あ、ミカルアさん、ちょっと遅すぎじゃありません?」

「喋らないでください。貴方、魔力の使いすぎで血液が足りてません。」


思った何倍か本気の目で睨まれる。

怒られるが、抗議したいことがたくさんある。

喋ろうとすると、手で口を塞がれた。


「エルヴィアさんが来ましたか?」


無理に口を動かすとため息をつかれる。

あとで全部話す、その言葉が聞こえたので、周りに目なんか向けずに、今度は緩やかに意識を手放した。

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