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車内には黙々と荒い運転をするクレジェルさん、私にちょっかいをかけるコーディウさん、に沈黙を貫く私。

車内は静かな空気で憂鬱さに耐え忍んでいた。

家に近づいてきたので声を上げる。


「じゃあ、ここらへんでいいですか?」

「え、家までまだでしょ?」

「え、なんで知ってるんですか。怖」


何故か知っているコーディウさんに威嚇を込めてにらみつける。

慌てて止めたが、クレジェルさんが要らない気遣いを働かせ始めた。

暫く押し問答になったが、結局男が居たほうが良いだろうとコーディウさんが付いてきた。


一番来てほしくない人なんだけど…、という溜息は2人には届かなかった。

とぼとぼと横に連なって歩き、家の玄関にようやく辿り着く。

顔を上げると、ミカルアさんが玄関に立って待っていた。


(え、まさかずっと…?)


思わず背筋が凍った。

これからの地獄に気が遠くなりそうだ。


「あ、ごめんなさぁい…」


先手必勝、速戦即決!

素早く謝った。


「なんでその男といるんですかね…?」

「これはぁ…」


しかし、ミカルアさんの追及からは避けられず詰められる。

思わず口ごもってしまった。

私が悪いわけではないというのに。


「帰りの交通手段がなさそうだったので送りました。」


(あー!お前、余計なことを言うな!)


心の中で暴れまくる。

そもそもの話、全部こいつが悪いのだ。

というのも責任転嫁すぎるかもしれないが、そうしたいくらい悲惨な状況なのだ。


「俺連絡入れましたよね?もういいですけど。」

「ひとまず入ってください。あなた…は一応ありがとうございました。」


あッ、おしまいだ……

諦めて家の中に入る。

ミカルアさんの機嫌がずっと悪い。

もう半泣き状態で家に入ると荷物を置いて、ソファに壁の隅にピタッとくっつく。

自分の中の認識では完全に後の祭りと言う言葉がピッタリ当てはまっていた。


追い出されたらどこに行くか、戸籍はどうなるのか、などの次の事で既に脳はパンク寸前だ。

だから次の言葉をすぐに呑み込めなかった。


「またあの人に目をつけられましたか…。一応もう一つの可能性も聞いておきましょう」


ミカルアさんは静かに呟く。

もう一つとは何の話だろうと、思わず身構える。


「体を触られたり…、セクハラは?」


(はぁ???)


斜め上すぎる質問に驚く。

知らない人に連れて変えられたこととか、天外についての研究者にバレてそうなことはまさバレたことが確定したわけではなさそうだ。

では何故だ、と次の疑問が私の頭をめぐる。


「あの人、多くの女性に手を出してるって有名ですけど?子供だから食指が動かなかったんですかね。」


一応まだ高校生とはいえ、十分に綺麗な乙女に失礼な発言だ。

怒っているのか、素なのかわからないのが恐ろしい。

しかし、私が14歳でやってることは確実に知っているであろうから、食指が動かなかったのはほぼ確実だろう。


「うーん、わかりません。そもそももうひとり女性の方もいました。」


すると、一気にミカルアさんの顔色が変わる。

失言をした、と即座に認識。

方向転換を図ろうとする。が、間に合わなかった。


「はぁ…、あの人無類の胸好きでしたよね…?」

「んんっ、それワインレッド色のショートヘアの女性じゃなかったですか?」


そう言いながら視線は少し下に向けられた。

あぁ、心配されてるのか。

ようやく気づいた。


いや、でも待て。

なんであの女性の特徴知ってるんだ。


「…女性だからって安全とは限りませんし、己の見た目の良さを知りなさい。」


なるほど、同性を喰っているタイプの人間なんだ。

そして、見た目が完璧な美少女なことは知っているし、当然の事実だ。

そして女性の女性好きからも人気の見た目だろう。

性的に見られることには慣れてるし、ある程度は戦える…はずだ。


「得意げな顔をしないでもらっても…?」

「言葉を間違えました。性的に見られる可能性を考慮しましょうね…と言いたいですけどあなたは知ってそうですね。」

「はいはぁい、先生。それで重要な話があるんですけど…」


そう言って話を切り出そうとすると、ミカルアさんがなにか言い出そうとした。

慌てて口を閉ざすと、また聞きたくない言葉が聞こえてきた。


「ああ、多分同じ話ですね。あの男の研究に関する話でしょう?」

「ひぇっ」


声を漏らした。

多分、バレてる。

どんどんと近づいてこられる。

先程自棄(やけ)で四隅に詰まっていたせいで逃げられない。

腰を下ろして視線を少し上めに合わさせられると、壁に腕を付いてどんどんと距離が近づいていく。

完全に腕で体を覆われたタイミングで思わず目をつむる。

と、同時に真上から近い声で死刑延期が告げられた。


「ひとまず、荷物を置いてください。食事を摂ってからにしましょうか。」


そう言われて体が離れていく。


「は、はいっ!」


反射で威勢よく返事してソファを立った。

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