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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第3章 黒の牙 壊滅編

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93.闇獅と黒神

 闇獅は、自分を倒す事が出来る可能性を持つ者、賢也の前に移動する。


「お前の空間への干渉が無くなれば、この場に俺を倒せる者は居なくなる。死ね!」


 闇獅の肩にある爪が黒く輝く。そして、指と指の間に黒い爪が現れた。その爪で賢也を斬り裂こうと腕を振り回す。


「当たるか!」


 まだ骨が戻らず腕が使えない為、捌く事が出来ない賢也は、回避に専念する。全ての攻撃を躱され続ける闇獅だったが、それでも攻撃を続けた。始めは戦い慣れていない闇獅だった為、躱すのも容易だったが、繰り返し攻撃を行う事で、徐々に攻撃が鋭くなり、賢也も足捌きだけで躱すのが辛くなって来た。


「くっ。腕はまだ動かせないか。こいつ、調子に乗るなよ!」


 賢也は右足に蒼い炎を纏わせると、闇獅の攻撃を躱し、背後に回り込む。そして、すれ違い様に右足で闇獅の脛を蹴った。

 脛を蹴られた闇獅は、ひっくり返った上に、足を蒼い炎で焼かれる。


「まだ、戦いに慣れていないみたいだな。今まで精神操作で相手を殺して来たのが仇になってるんだ」

「ふん。戦いはこれから慣れていけばいい。それにこの程度で俺は倒せんさ」


 闇獅は起き上がる前に、影を賢也に伸ばした。賢也は直ぐにその事に気付くと、後ろに飛び退き、影をやり過ごす。その間に闇獅は起き上がっていた。


「なあ、どうでもいいけど俺達を忘れてないか?」


 起き上がった闇獅をセンが剣で首を狙って、横に斬り付けた。だが、闇獅はしゃがんで剣を躱すと、センの腹を思いっ切り殴る。


「ぐぅっ!」

「忘れている訳が無いだろう。お前達の相手は後だと言っているだけだ」


 腹を殴られたセンは、その場に倒れ込み、意識を失った。


「さあ、行くぞ」


 闇獅の焼けた足は、既に炎は消え、火傷の痕も消えていた。闇獅が賢也に向かって走り出すと、賢也も闇獅に向かって走り出す。闇獅は、賢也と衝突する前に突然四つん這いになると、そのまま獣のように走り続ける。


「何だ!?」


 賢也は構わず走り、四つん這いの闇獅に対し、回し蹴りをする。闇獅は、四つん這いのまま跳び上がり、賢也の蹴りを躱すとそのまま賢也に飛び付いた。


「くっ」


 賢也に馬乗りになった闇獅がニヤリと笑う。そして、賢也を殴ろうと腕を振り上げた時、闇獅の体が宙に浮いた。


「何だ?体が浮くぞ」

「危なかった…」

「くそっ!降ろせ!」


 賢也は闇獅が上に乗った瞬間に、重で闇獅の体を宙に浮かせたのだった。闇獅は、地面に何とか降りようと踠いていた。


「悪いな。このまま倒させて貰うぞ!」


 賢也は右足に力を込める。足には紫の炎を纏わせている。


「紫炎!」


 腹を下から蹴り上げられた闇獅は、天井を突き破り、そのまま上空へと飛ばされていった。


「畜生っ!この程度の炎!」


 闇獅は、飛ばされながら、紫炎を影で覆い、消化する。そして、空いた天井の隙間から、五十嵐を見ていた。


「おかしい。そろそろ落ちて来てもいいはずだが?」


 蹴り上げる際に重は解除している。いくら自分のキック力が強かったとしても、いい加減落下して来ていい時間が経過した。

 それにも関わらず、闇獅は落ちて来ない。紫炎で燃え尽きたのなら、それでいいが、邪気はまだ微かに感じる。待てよ。何でこの辺で微かに感じるんだ?

 賢也は、キョロキョロと周辺を探し出した。


「龍崎。何をキョロキョロしてんだ?あいつは上だろ?」


 五十嵐が賢也の様子を不思議に思い、確認すると、賢也は気が付いた。


「おい、五十嵐。お前、まともか?」

「何だ、その質問は?人を異常者みたいに言いやがって!」


 五十嵐が賢也の質問に腹を立てている。対応はまともだ。という事は、まだ仕掛けていないだけか。賢也は五十嵐の傍に寄ると影を踏み付けた。


「どうしたんだ?」

「いや、こういう事さ!」


 賢也は気迫と共に、踏んでいる五十嵐の影に気を流し込む。すると、影の中から闇獅が現れた。


「ちっ。本当に鬱陶しい奴だ。何故、ここに居ると分かった?」

「五十嵐からお前の邪気を微かに感じたからな。いつ影の中に隠れたのかは分からなかったが、逃しはしないさ」


 賢也が動くより早く、五十嵐が闇獅に掌底を喰らわす。


「てめぇ、ぶっ飛んどけ!」


 五十嵐が掌底から暴風を起こすが、風は闇獅の体をすり抜けていった。


「な!?」

「無駄だ。お前は俺の手足となるんだ」


 闇獅の両腕が五十嵐の顔を覆い尽くす。精神操作を五十嵐に使おうとしたその時、突如として現れた者に邪魔をされた。


「闇獅よ。何をしている。其奴は、私の力にすると言っておいただろう」

「「黒神!」」


 闇獅と賢也の声が被る。黒神の邪魔で五十嵐に精神操作が出来なかった闇獅が抗議した。


「貴様!どういうつもりだ!俺の邪魔をすると言うのか!」

「どういうつもりだと?それは先程も言ったであろう。こいつは、私の物だ。手を出すな」


 黒神の威圧に気圧され、闇獅が後退った。


「べ、別に俺が使った後でもいいだろう!」

「断る。私はお前の力は好かん。とはいえ、お前の力も我等には必要というのが気に食わぬがな」

「ど、どういう事だ!?」


 黒神は、闇獅の問いにただ黙って立っていた。その無言のプレッシャーで、闇獅は、何を意味しているのかを悟ったようだ。それは、賢也も同じだった。

 あいつは、黒神は、五十嵐も闇獅も食うつもりだ。食って己の力に変えるつもりなのだ。


「黒神に闇獅の力を取られては駄目だ。くそっ。剣を、剣を握れたら…」


 闇獅は、振り返り賢也を見ると、四つん這いになって突っ込んで来た。


「くそぉぉぉ!食われてたまるかぁぁぁ!」


 賢也を食い、黒神よりも強くなって返り討ちにしようというつもりなのだろう。


「鳴神ぃ!」


 賢也に辿り着く寸前、意識を取り戻したセンが、闇獅の首目掛けて、鳴神を放つ。意表を突かれた闇獅は、躱す事も出来ず、体を影へと変化させる事も出来ないみ、まともに高速の斬り落としを受け、首を刎ねられた。


「セン!ナイス!紫炎!」

「ちっ。馬鹿が!」


 黒神が闇獅の死体を回収しようと動く前に、賢也が闇獅の体を燃やし尽くした。


「貴様!まあいい。こいつとあいつは貰っていく」


 黒神は、五十嵐の首を掴み、反対の手で轟を指差す。轟は、これまたいつの間にか現れた天喰が轟を担ぎ上げていた。


「待て!」

「奥で待っているぞ」


 黒神は、そう言うと五十嵐と共に消える。天喰と轟も同様に消えてしまった。


「くそっ」

「落ち着けよ。賢也。あいつらは奥で待っているって言ったんだ。今回は、逃げるつもりは無いって事だろう。それよりもユウ達が来るのを待とうぜ。あいつらと戦るなら、万全の状態じゃないとな」


 センの言う事も尤もだ。今の戦力は、センと大河。賢也と力也は、腕が使えない。この状態で、天喰達と戦ってもまともにやり合えるとは思えない。自分の腕はもうすぐ使えるようになるだろうが、力也は、優に治療して貰わないとどうにもならない。賢也達は優達が辿り着くのを暫く待っていた。


 10分程すると、優達が漸く合流した。


「すみません。遅くなりました。大丈夫ですか?」


 優の質問にセンが答える。

 

「ユウ、賢也と力也さんを頼む」


 優は、賢也と力也の方を見ると、力也の腕を見て驚いた。


「力也さん!その腕、一体どうしたんですか!?直ぐに治療します」

「悪いな。明智。頼む」


 優は、力也の腕を治癒の力で癒やしながら、賢也に確認する。


「賢也さんは、何処も怪我をしてないようですけど?」

「俺も腕の骨が折れてる。両腕ともまだ動かせないんだ」

「分かりました。力也さんの治療が終わったら、直ぐに治療します。待っていて下さい」

「悪いな」


 ノッコがセンの元へと近付いて質問する。


「何があったの?あの二人があそこまでボロボロになるなんて」

「賢也と力也さんが戦った結果だ」

「え?どういう事?」


 センはノッコにこの場で起きた事を説明する。その間に、力也の腕は優の治癒によって元通りになっていた。そして、直ぐに賢也の治療に取り掛かる。


「そんな事があったのね。じゃあこの先にあいつらが居るって事なんだ」

「そういう事だ。いよいよ最終決戦だな」

「終わりました。賢也さん。自己治癒って本当に凄いですね。ほぼ、治っていましたよ」

「ありがとう。これであいつらと全力で戦える」


 賢也は立ち上がると、天喰達がいる奥へと続く扉を見ると、


「よし!行くぞ!」


 全員に号令を出したのだった。

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