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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第3章 黒の牙 壊滅編

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84.脅威のスライム

亜希と凪夫妻は、黒いスライムが形作った頃には、建物の中へと避難が終わっていた。そして、亜希は真希と出会う。


「姉さん!」

「あら、真希。ちょっと避難させて貰うわよ」

「どういうつもりなの?!」

「どうもこうも無いわ。『黒の牙』を抜けたのよ」


 亜希は、そう言うと外の様子を伺い始めた。さて、あの二人は、あの怪物を倒せるのかしら?無理そうなら、また逃げる算段を考えないとね。


 外では、賢也と力也がスライムと戦いを始めようとしている。


「おいおい、ゲームじゃ一番雑魚のスライムを呼び出すって、あの女は何を考えているんだ?」

「力也さん、でも、こいつの邪気は、雑魚と呼べるレベルじゃないですよ。それにこの大きさ」


 スライムの体長は2m程はある。

 

「まあそうだな。それは俺にも分かるが。でも、所詮スライムだろ」


 力也は、武器を鎌に組み立てると、スライムを斬りつけた。

 スパッとスライムの体は半分に斬れる。


「ほら見ろ。一撃だ、ぜ?」


 半分に割れたスライムは、そのまますぐに元に戻った。斬られた事実など無かったかのように。スライムは力也に黒い液体を飛ばす。力也が躱すと、液体は地面に当たる。ジュウッと音を立てながら地面が溶けた。


「溶解液か」


 スライムは、次々と力也に向け、溶解液を飛ばす。力也はそれを全て躱し、飛燕を放った。スライムの体は、簡単に真っ二つになるが、すぐに元に戻ってしまう。


「こいつ、俺との相性最悪だぞ」


 力也の異能は自身の強化だ。物理攻撃しか出来ない。それに対し、このスライムは再生能力が凄まじく、斬られてもすぐに戻ってしまう。核を破壊出来れば死ぬのかと考えたが、核があるのかも分からない。


「力也さん、ここは俺に任せてください」


 賢也は蒼炎をスライムに放つ。蒼炎は、スライムの体を燃やした。


「やったか。やっぱり大した事ないじゃ…。嘘だろ…」


 蒼炎で燃えているスライムだったが、スライムの体が内側から伸びると、内と外が入れ替わる。そして、表面を燃やしていた蒼炎がスライムの体内で燃えていたかと思ったら消えた。


「炎も駄目なのか?」


 すると、今度はスライムが炎を出現させた。炎は、錐のような形状でまとまる。その数10数本。それが賢也に向かって飛んでいく。飛んできた炎の錐の一本を剣で弾くと、剣が溶けてしまった。


「これは。炎と溶解液が混ざっているのか」


 賢也は残りの炎を全て躱す。炎の錐は地面に刺さると、地面を溶かし、燃えていた。

 賢也の【滅】は剣先が溶け落ちていた。賢也は走りながら、溶け落ちた剣先に本体を押し付ける。剣先と本体が再びくっつくと元の剣へと戻る。


「これでさっきの攻撃に耐えられるか?」


 【滅】は、自動修復で元に戻れば戻るほど強度が増す。そのおかげで賢也の全力にも耐えられる剣となったのだ。

 スライムが再び炎の錐を生み出した。賢也は同じように一本を弾く。さっきのようにボトリと落ちることは無かったが、やはり溶けてしまった。まるで蝋燭の蝋が溶け落ちるようにドロッとしている。


「駄目か!」


 賢也は自身の前に氷壁を作り出す。無数の錐によって氷壁は溶け崩れた。


「炎が駄目なら、氷はどうだ!砕氷!」


 賢也はスライムの体に触れる。スライムが現れた時、黒い液体だった。なら、そのまま凍りつくと思ったのだが、スライムの体は凍らない。

 スライムは、賢也の腕を取り込もうと体を変形させ、巻き付けてきたが、寸前に賢也が後ろに跳んだ。


「なんで凍らないんだ」


 液体じゃないのか?体が凍らないのなら、氷をぶつけてみる。


「飛燕・氷!」


 氷の刃がスライムの体を切り裂く。だが、切り口が凍りつくこともなくすぐに元に戻った。


「ちぃっ!これも駄目か」


 スライムは、元に戻ると賢也に向かって跳ね上がった。賢也は左に跳んでやり過ごし、斬りつける。やはり簡単に斬れるが、全くダメージが入っている様子は無い。


「燃えない、凍らない、斬っても意味が無い…」


 どうやって倒す。どうすれば倒せる?賢也が考える隙を与えるつもりもないのか、スライムは溶解液を広範囲に撒き散らした。


「くそっ」


 ゲームだとあんなに雑魚のくせにリアルじゃこんなに強いのかよ。


「取り敢えず、その溶解液は鬱陶しい!」


 賢也は、溶解液を躱しながら横に薙いで、溶解液を止める。


「斬れると攻撃は止まるんだよな」


 なら、いっそ細切れにしてみるか。


「桜華連斬!」


 賢也の高速八連斬りで体を8つに切り分けられたスライムは、一組ずつがくっつき、元に戻っていく。


「ほう。一度に全部がくっつく事は出来ないと言う事か」


 だったら!もっと細かくバラバラにしてやる。斬るより、爆散させる方が良いか。


「これで木っ端微塵になりやがれ!爆雷!」


 蒼い雷がスライムに直撃する。そして、爆発によりスライムの体が無数の欠片となって飛び散る。欠片は隣にある欠片がくっつき元の形へと戻ろうとしている。


「これだけ小さくなっても元に戻るか。だが、これなら」


 賢也は、近くの欠片を燃やす。小さな欠片は、すぐに炭となり、消えた。

 思った通り、体が小さければ炎で消せる。次の欠片を燃やそうとした時には、1体が30cm位の大きさのスライムまで戻っていた。再生が早い。試しに燃やしてみるが、このサイズは炎を自分の体に取り込んでしまい、もう燃やせなかった。


「なんて面倒くさい奴だ」


 そして、元の1体に戻ると体が炎に包まれる。そして、賢也を串刺しにしようと体を伸ばして来た。


「お前の体の強度じゃ、無理だよ」


 賢也は伸びて来たスライムの体を剣で斬り落とすと、その斬られた体が賢也の右足に突き刺さった。


「ぐぅっ。こいつ!」


 賢也は足に刺さったスライムの肉片を抜き取ると、投げ捨てた。

 スライムは、再び体を伸ばすと、捨てられた体を吸収し、そのまま賢也に向かってくる。


「同じ手は通じないぞ」


 賢也は、蒼炎を剣に纏わせると、伸びてきたスライムの体を細切れにする。細切れになったスライムの体が斬った直後に燃えて、灰になる。


「これが一番早いかな」


 だが、燃やせるくらい小さく斬っても、大した影響も無いようだ。全部細切れにするのにどれだけ時間がかかる?何かもっといい手は?

 賢也が悩んでいると、スライムは再び飛び上がる。そして、賢也の頭上まで飛ぶと、体から無数の棘を賢也へと伸ばす。


「危ない。こいつ、攻撃パターンが増えていく。まだ対処は出来るが…」


 今のままじゃ俺が細切れにする前にこいつの方が強くなる可能性が高いんじゃないか?考えろ。何かあるはずだ。


「爆雷で、爆散させた直後に周辺一帯を焼き尽くす」


 これだ。爆雷に更に合成技をくっつける。今までやった事は無いが、全異能を同時発動するよりは力を使わない気もするし。それに、この組合せなら、3種だ。


「思い付きの技だが、名付けて、爆雷瞬炎!」


 棘を縮めて、地面に降りて来たスライムに再び蒼い雷が落ちる。ここ迄は普通の爆雷と同じだが、爆発しスライムが爆散した瞬間、半径5m程の蒼い炎柱が立ち上がり、一瞬でその場にあったスライムの欠片を燃やし尽くした。


「よし、上手くいった」


 今ので半分くらいは、燃やしたか。実際、一つに戻ったスライムは、体長が1mも無い。予想以上の効果だ。

 そして、体長が半分以下となったスライムの動きが止まった。更に言うと、半分以下の大きさになったというのに、邪気は逆に大きくなった。


「どういう事だ?ダメージを負う事で強くなるのか?」


 今も更に邪気が大きくなっていっている。どうやら戦いは、これからが本番ということなのか…

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