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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第3章 黒の牙 壊滅編

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78.新作、最終選別

梶の新作武器の使用者を決める最終選別に残った15人は梶から飛行についての説明を受ける。


「それじゃあ、説明するよ。まず、飛行形態は、この二つのブーメランをこのアーマーの背中にはめる。そして、このベルトのスイッチを押すんだ」


 梶は、説明を終えるとベルトのスイッチを押した。すると、梶の体がゆっくりと浮き始める。


「「おー!」」


 皆が、感心している所に梶が賢也に依頼をした。


「あ、龍崎くん、降ろして貰えるかな」

「「え?」」


 賢也は、梶の元まで行くと梶の体を支え、降下する。地上に降りた後、梶は説明を続けた。


「浮いた後は、この両手にはめる篭手に付いてあるスイッチで、上昇、下降、前進、後退、左右の旋回をコントロールするんだけど、僕はどうも苦手でね。怪我はもうしたくないから降ろして貰ったけど、君達なら、扱えると信じてるよ」


 皆、鳩が豆鉄砲を食ったような表情だ。さっき梶さんが浮いた時の感動は何処へ行ったのだろう?賢也は咳払いすると選別を開始した。


「う、うん。さぁ始めようか。誰から始める?」


 賢也の問いに大河が手を上げる。


「俺が!」


 梶は装備を外すと大河に渡す。


「さあ、頑張って」


 大河は、装着すると早速スイッチを押す。フワッと浮いたかと思った瞬間、体が、ぐるんっと一回転。顔面を地面に打ち付けた。


「おぶっ!」

「うわぁ。痛そぅ」


 梶は手で顔を覆い隠す。


「あちゃぁ。やっぱり難しいよね」

「じゃあ、次」


 すぐに上げる者は居ないかと思ったが、出雲の妹の楓がすぐに手を上げた。力也さんが上げるかと思ったんだが。


「私が。宜しいですか?」

「ああ」


 楓が大河から装備を受け取り、装着する。


「気を付けろ。予想以上に難しいぞ」

「ありがとう。私の体幹なら、きっと」


 楓は、スイッチを押すと浮き始めた。ゆっくりと上昇していく。2m程浮いた。


「おっ。楓ちゃん、やるねぇ。流石、くの一」


 梶が褒め、楓は前進しようとスイッチを切り替えた時、バランスを崩し、グルグルと回転しながら、前進しだした。


「きゃぁぁぁぁ」


 賢也が楓の体を捕まえ、回転を止める。


「スイッチを切るんだ」

「あ、ありがとうございます…」


 楓は、目が回ってしまったようで、降りてからもフラフラしていた。その後も何人か挑んだが、大河のように地面に顔を打ちつける者が殆どで、上手く使いこなせる者は出てこなかった。

 そして、いよいよ最後の挑戦者として力也が出て来た。


「やはり、これは俺が使う為にあるんだな。いくぞ」


 力也はスイッチを押す。楓よりも高く、5m程の高さで停止。


「今までの誰よりも高いぞ」

「でも、あれ落ちたらヤバくないか?」


 皆が心配する中、力也は、前進のスイッチを思いっきり押す。すると、急発進の状態になった力也は、体を前のめり気味に進み出す。スピードは、時速20km位だろうか?そのまま、体勢を維持しながら右に旋回、左に旋回。更に上昇、下降と見事に使っている。


「す、すげぇ」

「へぇ、言ってただけの事はあるんだね」


 その場にいた皆が力也の物だと納得するのだった。


「どうだ?」

「そうですね。力也さんが使うというので、問題無いと思います」

「そうだろう。ふふふ」

「そうだね。甲斐君、これは君が使って。あ、でもその前に」

「何だ?」

「龍崎くんも使ってみてくれないか?」

「俺ですか?俺は別に」

「いや、龍崎くんならどの程度使えるのかなって」

「そうだな。龍崎、お前もやってみろ」


 賢也は仕方なく装備するとスイッチを押す。

 成程。これは、確かにバランス感覚が良くないと、姿勢を保てないか。重の能力で空を飛ぶ時と同じ感覚でバランスを取りながら、賢也はスイスイと空を飛び回った。


「まじかよ」

「龍崎さんが、一番使えてるじゃないか」


 地上に降りた賢也は、装備を力也に返すと、梶に言った。


「梶さん、これ、風の能力者に手を貸して貰ったら、もっと速く飛べるようになるんじゃないですか?このスピードだと、戦闘には使えないですね」

「そっかぁ。甲斐君、取り敢えずそのまま使っていてくれるかな?ちょっと改良は考えておくよ」

「分かった」


 新作武器の使用者の選別はこれで終了し、解散した。力也は、戻る前に賢也に頼み事をした。


「龍崎、すまんが飛行の訓練に付き合ってもらえるか?」

「ああ、いいですよ」

「助かるよ」


 こうして、賢也と力也の飛行訓練が始まった。


 訓練を始めて3日後、力也はかなり上達し、飛行については、問題なく飛べるようになっていた。今も賢也と力也は、地上から100m程の上空で、訓練をしていた。


「もう今の性能であれば十分使えるようになりましたね」

「ああ、訓練に付き合ってくれて、すまなかったな」

「いえ、気にしないでください」


 二人は地上へと降りると、SACに戻って行った。二人が中に入ると受付が賢也に声をかける。


「あ、龍崎さん。先程、出動要請が出ています。事務所にお戻り下さい」

「そうか。ありがとう。すぐ戻るよ。それじゃあ、力也さん、ここで」

「ああ、俺も自分の所に戻る」


 二人は別れると各々の事務所へと戻って行った。戻った賢也はすぐに声をかけられた。


「隊長!『黒の牙』が出ました。速水、石波の二名が向かっています」

「分かった。俺も向かおう」


 賢也は、場所を聞くと現場へと向かった。そこは、襲撃して何の意味があるのか分からなかったが、花火工場だった。


 賢也が到着した時、速水と石波が立ち竦んでいた。


「どうしたんだ?『黒の牙』は何処だ?」


 周辺に人の気配も怪物の気配も無いし、姿も見えない。


「あ、隊長。いや、俺達が来た時にはもう誰もいなかったんですけど…」


 居ないのなら報告して帰って来れば良いのではと、賢也が内心思っていると、真希が続けて答えた。


「誰も居ないんですけど、攻撃されるんです」

「え?」


 賢也が真希の答えを不思議に思った時、その攻撃が来た。それは、突然、何の前触れも、気配も無く、目の前に土の槍が現れ、こっちに向かって飛んで来る。


「これか!」


 その攻撃そのものは、大したスピードではないので、防ぐ事は容易かったが、確かにこれが来ると、離れる訳にもいかないか。


「攻撃の間隔は?」

「不定です。周りに誰か潜んでいないか探すため移動しても、動いた場所を追うように、攻撃が来ます」


 こっちの様子を見ている?それとも自動追尾?もし、自動追尾であれば、この場所を移動すると、周辺の一般人に被害が出るかもしれない。どうする?


「成程。これは、参ったな。動くに動けないということか」

「そうなんです」


 賢也達は、どうしたものかと途方に暮れて、時折仕掛けてくる攻撃を防いでは、立ち尽くすのだった。

 

 一方、賢也達が花火工場で足止めを受けていた時、SACに再び『黒の牙』の目撃情報が入った。


「甲斐さん、部署が違うのですが、出動してもらえませんか?」


 飛行訓練を終え、自室で武器の手入れをしていた力也に要請がかかった。


「どうしたんだ?龍崎は?」

「龍崎さんは、別の現場に行かれていて」

「他の隊員もいるだろう?何で俺なんだ?」

「実は、『黒の牙』かもはっきりとしないんですが、空を飛んでいる人が何かを飛ばしては、飛ばした物体が消えるという行為を繰り返しているらしくて」

「そうか。空を飛べるようになった俺の出番ということか。分かった。そのポイントを教えてくれ」

「宜しくお願いします」


 力也は、空で不審な行為をしている者の元へと飛び立っていった。

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