66.アンドロイド製造機
4号を倒した賢也だが、広い空間に閉じ込められたままの状態だった。部屋中、出口を探し回ったが何も無かった。
「くそっ…。ここもさっきの部屋と同じで何も無いぞ。一体、出口は何処なんだ?」
賢也は壁を破壊して通路が無いだろうかと、壁を叩いてみる。叩きながら部屋を一周してみたが、先が空間が続いているような乾いた音を立てる所も無く、お手上げの状態だった。
「この際、何処に繋がっていても構わないから、手当り次第に壁を壊すか」
先ずは正面の壁だ。
「爆雷!」
正面の壁に蒼い雷が当たり、大爆発と共に、3m程壁を抉る。そこには、変わらず壁があるだけ。
「次!」
賢也は、時計周りに90度体を向けると、再び爆雷を放つ。
「ここも駄目…。次!」
再び90度、更に90度。時計周りに回転しながら壁を破壊して一周した時、賢也は驚いた。
「な、最初に破壊した壁が直っているだと」
そして、後ろを振り向いた時、背後の壁が修復されていくのを目の当たりにする。
「この壁、素材がナノマシンなのか!」
成程、これで分かった。きれいになが入口を塞いだから、継目も何も無いんだ。そして、創地博士がどうやってこんな海底にアテナの為の基地を作れたのかも。ナノマシンにプログラミングして、海底で基地を組み上げた。そして、転送装置は、神移博士の転送装置でこっちに転送したんだな。だから、神移博士もここの存在を知っていたんだ。
「なら、これでどうだ?」
賢也は、部屋中に雷を当て続けた。すると、雷で回路がショートしたナノマシンがボロボロと崩れ落ち始める。やり過ぎると部屋が壊れて海の藻屑になるといけない。
暫く、雷を当て続けていると遂に通路が現れた。現れた通路は3つ。既に方向感覚が狂ってしまっており、どの通路が先へと続く道なのか分からない。
「取り敢えず、3つ全て行くしか無いか」
賢也は、手始めに自分の正面にある入り口を進みだした。暫く進み角を曲がると、分かれ道に辿り着き、そのまま真っ直ぐ進む。
「あぁ…。これどうみても、いきなり外れ引いただろ…」
辿り着いたのは、行き止まりだった。いや、行き止まりになった壁だろう。どうやら、最初の分かれ道だったようだ。賢也は、引き返し、4号と戦った部屋に戻ってきた。
「目印に何か欲しいけど、傷付けた所で、元に戻るよなぁ」
部屋の作りが余りにもシンプル過ぎて、自分が何処に進んだのか分からなくなってしまう。何か目印に…。よし、試してみるか。
賢也は、刹那を使った時に砕けても良い剣を壁に突き刺してみる。
5分程待ったが、剣は突き刺さったまま。よし、これでいい。
「次の通路だ。さて、何処に出るのか」
賢也は、向かって右にある通路を進んで行った。
「オリジナル。あの人間が作業空間を突破しましたが、どうしますか?」
「閉鎖したあの空間を?どのようにして?」
「あの人間も雷を放てるみたいです。過電流を流して、回路を一時的にショートさせたみたいですね。やはり、あの転送して外に出した人間のようにここから出すべきだったのでは?」
「いえ、1号。あの人間は、ここで倒すべきです。ここは海の底。あの人間は建物を破壊すれば、自分が助からないため、全力を出す事は出来ない。地上で戦えば、勝てる確率が減ります」
「分かりました。では、このまま放置しておいてよろしいですか?」
「そうですね。ここに来る迄に、もっと戦闘をしてもらい、こちらの戦力を強化してもらいましょう」
賢也が進んでいると、何かの装置がある部屋に辿り着いた。
「何だ?この装置は?デカい」
すると、賢也の目の前で装置が稼働し始める。ゴウン、ゴウンと大きな音がすると、装置の先にある出口から、1体のアンドロイドが歩いて出てきた。
「これは、アンドロイドの製造機か!」
中から出てきたアンドロイドは、これまでのアンドロイドとは姿が異なっていた。
「アテナとは違うのは当然として、いつもの雑魚アンドロイドとも違う」
体の大きさはこれまでのアンドロイドより、一回り小さい。この基地の作業用アンドロイドか?どちらにせよ、この装置は破壊すべきだろう。【銀狼】を取り出し、装置に剣を向け、
「よし、壊すぞ」
その時、さっき出てきたアンドロイドが賢也の方を向く。
「テキタイショウヲカクニン。コウゲキカイシシマス」
「喋った!」
これまでの雑魚アンドロイドは、喋る事は出来なかった。つまり、こいつは、性能がアップした新型。戦闘力がどの程度あるのか知らないが、嫌な予感がする。
新型は、賢也に向け、何かを撃ってきた。賢也は飛んできた物を弾く。何を飛ばした?再び、撃ってくる。
「ナノマシンを飛ばしている?」
賢也は、弾を弾きながら新型に走って行くと、装置が再び動き出す。
「また!だが、こいつを先に片付ける!」
剣で新型の首を斬り落とし、炎で燃やす。これまでと同じ倒し方を実行しようとしたが、新型は、賢也の剣を手で受け止める。
「何!こいつ!」
剣を受け止めた新型は、手を錐のように尖らせ、賢也の顔を狙って突いてきた。賢也は顔を反らし躱すと、焔を発動。剣に炎を纏わせ、更に力を入れる。
新型の腕が斬り落とされ、首に当たる直前に、新型は、後ろに下がる。
「こいつ、体が小さくなったが、パワー、スピード、行動パターン全部強化されている」
そして、次の新型が装置から出てくる。
「何で、このタイミングで突然製造され始めた?」
俺が来るのを待っていた?いや、分身体3体との戦闘データを更新させて、作り始めたのか。
「勝てなくはないが、数が増えたら面倒だ。まずは装置を破壊する」
賢也は、向かってくる新型2体を旋で吹き飛ばした後、装置に剣を突き刺す。そのまま装置を斬り刻む。そして、
「爆雷!」
蒼い雷を装置に落とし、新型が増えるのを防いだ。
「さぁ、後はお前達だ」
賢也は、【紅蓮】に持ち変える。【紅蓮】の炎と焔の炎を剣に纏わせる。腕を斬り落とされた新型の腕は、既に元に戻っていた。
「炎で焼き斬ったのに、腕が修復されている」
「ギジネメシスシステムキドウシマス」
今、何て?擬似ネメシスシステム?まさか。新型の1体が、賢也に向け、オレンジ色のレーザーを放って来た。賢也が躱したレーザーは、壁に当たると壁が融解する。
「おいおい。冗談だろ…」
これが大量生産されたらSACのメンバーだけじゃ対処出来ないぞ。
「2体だけで良かった。アテナ程の戦闘力は無いのが、救いだな」
オレンジのレーザーを掻い潜りながら、新型との間合いをつめると、賢也は低い体勢から、斜めに剣を斬り上げる。流石に炎を纏った剣撃は、新型も受け止める事が出来ず、斜めに真っ二つとなった。切断面は、燃えている為、直ぐには元には戻れない。
よし、貰った!。1体目を倒したと思った時、2体目が手を前に出し、こちらに向ける。また、レーザーかと賢也は、1体目の止めを刺す前に飛び退いた。
そして、賢也がいた場所をオレンジ色の水が床を抉る。
「な、何だと!」
そして、燃えていた仲間をその水で消火したのだった。
1体目は、レーザー、2体目は水。こいつらは、分身体の劣化版という事か。あの装置を壊していなかったら、雷や火、風といった能力を使う奴も作られる所だったのか。ともかく、あの水を使う新型を先に片付ける。
賢也は、半分に斬った新型から、ターゲットを切り替える。
「お前からだ!」
一気に間合いをつめ、斬り上げる。新型(水)は、躱しきれず左腕を斬り落とされた。
「まだだ!孤月!」
賢也は、返す剣で三日月のような綺麗な孤を描き、更に新型(水)の右肩から斜めに斬りつける。切り口から炎によって溶かされる体を、自身の水で消火する隙を見逃す賢也ではなかった。
「貰った!紫炎!」
更なる業火で全身を一気に燃やし尽くした。
「次!」
真っ二つになった体を接合中だった新型の方を振り向き様に、紫炎で同様に燃やす。
ふぅっと息を吐き、呼吸を整える。
「よし。先に進むぞ」
賢也は次に出る場所にアテナがいる事を願いつつ、先へと進んで行くのだった。




