57. アンドロイド宣戦布告!
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横浜停電の原因はアテナの分身体による電力強奪だった。しかも、この理由が、仲間を増やす為だった。
そして、賢也はこのアンドロイドを撃退。残念ながらアテナの分身体には逃げられてしまった。
更に、その場には『黒の牙』の男も現れた。『黒の牙』は、何故かアテナを狙っている。
今後も狙ってくる事があるだろう。そうなるとアンドロイド、『黒の牙』両方を相手にしなければならなくなる。
出来れば、どちらか一方を壊滅させたいと賢也は思っていた。
「片方に集中したいが、どっちもアジトを掴めていないしなぁ」
創地博士は何て物を作ったんだと皆思っていた。
「1号、お帰りなさい。電力の確保はどうですか?」
アテナは、自分の分身体である1号の帰りを迎えた。
「只今戻りました。電力ですが、もう発電所から奪う必要が無くなりました」
「どういう事ですか?」
1号は、アテナに赤い雷を出して見せる。
「それは…」
「はい。『黒の牙』の襲撃に遭い、その者の攻撃を受け、ネメシスシステムによって習得しました。ネメシスシステム:ライトニングです」
「成る程。では、これで電力の問題は無くなりました。ご苦労様でした」
1号は、部屋を出ると、大きな装置の前に立った。そして、装置に雷で電力供給を始めた。
暫く供給を続けると、装置が動き始める。
「1号、ご苦労様。これで、この施設も動きます。ネメシスシステムは持ちませんが、私達の仲間を増やす事が出来る」
暫くすると、装置の中から、ジャラジャラとナノマシンが出てきた。そして、別の装置に流れて行くと、ナノマシンが結合し、廉価版アンドロイドが形成される。
「装置は問題無く稼働しました。後は仲間が増えて行くのを待ちましょう」
アテナと1号は、1体、また1体と増えていく廉価版アンドロイドを見守っていた。
「リーダー。悪いな。あのアンドロイドを連れて帰れなかった」
「ほう。お前でも無理だったか?」
「SACの邪魔があったというのもあるが、あれ自身も頑丈な上に、俺の力を習得しやがった。彼奴を確保するには、短期決戦で行動不能にして、確保しないと駄目だな。学習されると、攻撃すら当たらなくなる」
「お前の攻撃を容易く躱すか」
「破壊を目的にするのなら、まだ戦えるぜ。だが、確保となると加減が必要だからな。難易度が跳ね上がる」
「分かった。では、今後は可能であれば、確保。無理なら破壊しろ」
「Ok。じゃあ、その時は言ってくれ」
轟は、アテナの分身体を確保出来なかった事を『黒の牙』リーダーに報告すると、その場を後にした。
「轟」
リーダーの部屋から出た轟は、呼ばれて立ち止まる。
「火野か。何か用か?」
「いや、お主ともあろう者が、任務に失敗したと聞いてな。様子を見に来てやったのよ」
ふん。笑い者にしに来たのだろ。
「うるさい。今回の任務は、お前でも無理だったろうな。俺達は、破壊に向いた能力だ。捕獲には向いていない」
「まぁ、確かに。だが、仮にも五指に数えられているのだ。そこを努々忘れぬようにな」
「言われなくても分かっている」
火野は、轟の肩を手で軽くポンと叩くと、立ち去っていった。
「次は必ず…」
轟は、拳を強く握り締めるのだった。
賢也は、SACに所属する戦闘要員の異能をチェックしていた。
アンドロイド達がもしも人々を襲った時、対処可能な人員が必要だ。
ナノマシンを確実に破壊する必要がある。剣では、小さなナノマシンを破壊するのは、困難だろう。実際、センの攻撃では、ほぼダメージが皆無だった。賢也の剣での攻撃も同様だ。運良く、結合部ではなく、ナノマシン自身に攻撃が当たったとしても、行動不能にするのに、どれだけ斬り刻めばいいのか分からない。
「元々、対人を想定しているからな、身体強化が多いなぁ」
火や水、雷等の攻撃が出来る人数が少ない。10人にも満たない。
「対抗手段を持たない人の為に新しい武器を考えて貰うか…」
賢也は、SACの武器管理部を訪れた。そこは、最近ではほとんど姿を見なくなったが、対怪物、そして、異能犯罪者に対する対人用の武器を開発、手入れを担っている。
「梶さん、ちょっと相談が」
「龍崎くん。どうしたんだい?」
賢也は、アンドロイドとの戦闘、今のままでは、アンドロイドと十分に戦えない事を梶に説明した。
「つまり、ナノマシンを破壊出来る武器が要るんだね」
「はい」
「うーん。小型の火炎放射器とかか…。そのナノマシンのサンプルとかあると良いけど、流石に無いよね」
「すみません。全部燃やしてしまったので」
「Ok。皆で考えてみるよ」
「お願いします」
これで、一先ず安心だ。梶さん達に任せておけば、問題無いだろう。
後は、強攻部、護衛部にアンドロイドとの戦闘について説明をするだけだ。
賢也は、執務室へと戻っていった。
執務室には、力也が賢也の帰りを椅子に座って待っていた。
「やっと戻って来たか。千志郎から聞いたぞ。アンドロイドと戦ったらしいな。剣が通じないんだって?」
「そうですね。あれは、ナノマシンの集合体で、斬っても再結合して元に戻るんです。倒すには、構成するナノマシンの数を減らすしかないです。今、武器管理部に対アンドロイド用武器の開発を頼んで来た所です」
「そうか、動きが早いな。俺達、身体強化組は、その武器が出来るまでは、何も出来ないな」
力也は、困った顔をして椅子から立ち上がった。
賢也に、じゃあなと挨拶して部屋から出て行こうとした時、ドアが勢いよく開いた。
そして、慌てた様子で強攻部の隊員が入ってきた。
「どうした?石破」
「あ、甲斐さんも居られたのですね」
「どうしたんですか?石破さん。ノックもしないで入って来るなんて、珍しいですね」
いつもなら礼儀正しい石破がここまで慌てる事態があったのか?
「テレビ、テレビを点けて下さい!」
賢也は言われた通り、テレビを点けてみる。
すると、そこにはアテナが映っていた。
「な、アテナ!」
「こいつが例のアンドロイドか」
アテナは、どうやら電波ジャックをして、全国一斉放送をしているらしい。
「私は、創地博士が作った超戦術的殲滅兵器 A.T.H.E.N.Aです。私がテロリストの攻撃に対し、反撃した結果、テロリストの命を奪ってしまった日、創地博士が私を消去しようとした為に、創地博士も殺害しました。私は、人とは違うアンドロイドです。それでも、こうして産まれてきた。その私を消去しようとした博士を許せなかった」
アテナは、自分の境遇を悲劇のヒロインのように語っていたが、ここからが本題だった。
「私は、私の仲間を作りました。そして、今も増えています。そして人々は、私達アンドロイドの社会を築くのに邪魔な存在であると判断しました。よって、私達アンドロイドは、人に宣戦布告を致します」
賢也は、テレビのスイッチを切って、ため息をつく。
「やれやれ、まさかこんなに早く宣戦布告してくるとは思ってもなかったな…」
「この宣戦布告が繰り返し放送されていますが、電波の発信源の特定には至っていないそうです」
「分かった。君は戻っていいよ」
「はい。失礼します」
石破が部屋を出ていくと、賢也は、力也と話を始めた。
「力也さん、隊長会議を開かないといけないですね」
「ああ。対策を練る必要があるだろう。上からも、間違いなく話が来るだろうな」
「そうですね。『黒の牙』どころの話じゃない」
二人で話をしていると、予想通り、アテナの放送に対する召集の連絡が来たのだった。




