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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第1章 黒死竜討伐編

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44.黒死竜討伐に向けて

賢也達は、帰り支度を済ませると、寮の掃除をしていた。皆とは、掃除が終わったら、全員集まって、師匠に最後の挨拶をする事にしていた。

 

 全員で1時間程かけ、掃除が終わると寮の入り口に集合した。

 剣十郎の元へ行く前に賢也は、全員に声を掛けた。


「皆に此処から帰る前に聞いておきたい。俺が此処に来た時に話した黒死竜の討伐についてだ」


 皆がざわつく。賢也は続けて話す。


「俺は近い内に黒死竜の討伐に向かうつもりだ。もし、協力してくれるという人がいたら、教えて欲しい。勿論、命の保証は出来ない。俺自身、黒死竜に勝てるのかも分からない。それでも…」


 賢也の話しを遮るように、力也が手を上げる。


「勿論、俺は行くぜ!黒死竜を倒せば、ハンター稼業は終わりになるかもしれないが、平和がやっぱり一番だしな!」

「私も行きます!」


 優も手を上げた。


「賢也さんの力になりたいです」


 ノッコとセンが顔を見合せ、


「俺達もな。LSMのパーティーで一発かましてやろうぜ!」

「皆。ありがとう」


 賢也は4人に礼を言うと、


「他にはいないかな?無理強いはしない。ただ、今の皆は、そこら辺のハンターとは格が違う強さを持っている。参加しなくても、人々を護ってあげて欲しい」


 後ろの方から、一人手を上げる者がいた。なんと、それは櫻翔だった。


「僕もやります。弱い僕がどこまでやれるか分からないけど、参加させてください」

「いいのかい?」

「はい!」

「じゃあ、よろしく頼むよ」


 賢也は、櫻翔の元に行くと連絡先を聞いた。


「他にはもういないかな?時間を取ってすまなかった。それじゃあ、師匠の元に挨拶に行こう」


 賢也達は、剣十郎のいる道場へと歩いて行った。


 歩いている最中、大河はずっと考えていた。


(くそ、黒死竜の討伐か。今朝、あんな事しなかったら一緒に行けたかもしれない。そして、討伐に成功しようものなら、有名になれたかもしれなかったな。失敗した…)


 剣十郎に剣を向けた挙げ句、賢也に簡単に負かされてしまい立場がなくなってしまった。自分の行動を後悔していた。


「真東さん?どうしたの?」


 女性の門下生が大河の様子がおかしいのに気付いた。


「え?別に…」


 そうしている間に皆は道場へと辿り着いた。


「師匠、皆帰り支度終わりました」


 賢也が呼ぶと道場の中から、剣十郎が出て来た。


「そうか。寂しくなるが皆、達者でな。日々の精進を怠らないようにな」

「「はい!ありがとうございました」」


 それぞれが個別に挨拶をしながら帰っていく中、大河も別れの挨拶をすると、


「師匠、今日は本当にすみませんでした。跡を継げないと思ったら、頭に血が上ってしまって、感情を抑えられなかったです…」

「良い。こうなるとは思っていたからな。お前は、自分が人より優位になる事を快楽に感じる節がある。そこを弁えねば、今後の人付き合いにも影響するぞ。気を付けてな」


 大河は、泣きながらその場を後にした。


(師匠は俺の事をよく見ていてくれた…。跡継ぎとしては無理だったが、剣術は絶やさないように続けよう)


 そして、賢也達以外の者が帰った後、剣十郎は腰を下ろす。


「ふぅ。全く。お前と出会ってから、慌ただしい日々だったな」

「師匠、お疲れ様でした。ひどいですよ。俺が悪いみたいじゃないですか」

「はっはっはっ。いや、慌ただしかったが、良い日々だった。お前には感謝しているよ。お前に出会わなければ、四候闘剣術は、私で完全に潰えていただろうからな。お前達の剣術の礎として、残ってくれるだけでも有り難い」

「そんな。俺がこうして、生き残っているのも、皆を護っていけるのも師匠のおかげです。本当にありがとうございました。一段落したら、また会いに来ます。体には気を付けてください」


 賢也は、深く礼をすると、優、ノッコと共に立ち去っていった。

 立ち去る賢也達を剣十郎は静かに見守っていた。



 賢也は山を降りた後、センに連絡を取る。


「セン、今何処だ?」

「何処だ?って、さっきまで一緒だっただろ?今、駅に向かって歩いているところだよ」

「ちょっと待っててくれ。お前に渡す物があるんだ」

「さっきくれれば良かったのに。まぁいいや。分かったよ」


 賢也は、急いでセンの元へと走って行った。

 10分程走ると、センが待っていた。


「いた、いた。悪いな」


 賢也がセンに声をかける。


「全く、何なんだよ。渡したい物って?」


 賢也は、異空間から一振りの大剣を取り出し、センに渡した。長さが2m以上ある片刃の大剣だ。形状が特徴的だ。身幅が広く30cm程はある。身厚も1cmとかなり巨大な剣だ。


「これさ」


 センは大剣を受け取ると、


「大きさ、見た目の割りには思ったより軽いな」


 軽い?これ30kgはあったと思ったが?


「その大剣は、俺の武器を作ってくれる梶さんがこの間持ってきてくれたんだ。お前、LSMで斧振ってたろ。だから、これを使ったらどうかと思ってな」


 センは、ブンブンと振り回す。


「いいな。でも、これは剣だぜ。斧じゃないのにいいのか?」

「それ、柄にあるスイッチ押してみな」


 センは、賢也に言われて、柄を見ると確かに何かスイッチがあった。言われた通りにスイッチを押してみると、ガチャンと剣の形が変わる。刀身の上半分が反対側に折れ、下半分が上にスライドする。


「おぅ。おぉぅ。おぉぉぅ!」


 形状が変わるまで1秒程。大剣は、斧へとその姿を変えた。


「すげぇ!賢也、本当にこれ貰っていいのか?後で返せって言っても返さねぇぞ!」


 センは再び斧を振り回す。


「俺は剣だけだからな使うのは。力也さんに作った円月輪のギミックにはまったのか、そういうギミック付きの武器もあってな。それにお前の異能だと、一撃の威力があった方がいいだろうからな。ちょうどいいと思って」


 センは、賢也の話しも聞かず、ひたすら斧を振り回している。


「おい、セン!」


 ハッとセンが斧を振るのを止める。


「すまねぇ。つい、な」


 賢也は、センに鞘を渡し、


「じゃあ、俺達も一旦帰るから、黒死竜に挑む時に連絡をする。それまで、そいつの扱いに慣れておけよ」

「おう!またな!」


 センは、斧を剣に戻すと鞘に納め、背中に背負った。


「よし、俺達も帰るか」


 優とノッコの方に振り向くと、二人が賢也をじっと見ていた。


「どうした?二人共」


 賢也が尋ねると、ノッコが賢也の方に手を出す。


「私達には?」


 優もノッコもセンが貰ったような新しい武器が欲しいみたいだ。

 何か二人に渡すような武器はあったか?

 賢也は、前に梶が持って来た物を思い出す。

 そもそも二人は、サポーターであって武器を持つ必要はない。持ったとしても護身用程度の武器か。一応、師匠の元で、剣の基礎だけは、二人共習っている。なら、扱いやすい短剣がいいか。

 賢也は、二人に短剣を取り出す。それは、小太刀よりも短く、ナイフよりかは長い短剣だった。


「ほら、これでいいか?」


 二人は受けとると、鞘から抜く。


「これは?」

「見ての通り、短剣だよ」

「仕掛けは?」

「無い」


 ノッコが沈黙する。明らかに不服そうな顔だ。


「もう一回聞くよ。仕掛けは?」

「だから、無い」

「…」


 ノッコがまた黙る。無言のプレッシャーを感じる。


「ギミック付きのが欲しいのか?」


 ノッコは当たり前と言わんばかりに大きく頷く。


「全く…。優も、なのかい?」


 優は照れ臭そうに小さく頷く。この辺は、やはりゲーマーだからなのか?


「ギミック付きの武器だと…」


 賢也は、異空間から二つ取り出す。


「まぁ、使わない可能性高いからいいか」


 一つは、力也の円月輪のギミックを少なくし、小型化したチャクラム。チャクラムと双剣(短剣)になる。もう一つは、弓のような形状をした長剣。これは、見た目通り、握り部分のスイッチを押すと、弦が張られ弓になる。飛燕を使える賢也には意味の無いギミックだったが、剣技を学んでいない二人には丁度いいかもしれない。矢が大量に必要となるが。


「二人で好きな方を選んで」


 ノッコはチャクラムを優は長剣をそれぞれ手に取った。


「お、上手いこと分かれたな」

「て、言うか、あるんならさっさと出しなさいよ」


 全く、貰っておいて文句言うなよと賢也は思いながらも、


「よし、じゃあ帰るぞ」


 それぞれに渡した武器を預り、家へと飛び立って行った。

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