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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第1章 黒死竜討伐編

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37.再び修行を!

賢也は、出雲の見舞いに病院へと向かった。

 出雲は、ICUからまだ出ていなかったが、本人と医師の許可が下り、見舞う事が出来た。


「出雲さん、調子はどうですか?」

「龍崎。ああ、大丈夫だ。それより、怪物化した俺を元に戻してくれて、ありがとうな」

「それは、力也さんが」

「ああ、でも、お前が居なかったら甲斐もそんな事は出来なかっただろ?」


 確かに、力也に怪物の追い出し方を教えたのは、自分だが。


「傷の方はどうですか?」

「縫合もしてくれたから、離れて落ちるなんて事は無いが…」


 出雲は、口を紡ぎ少し間を取ると、


「駄目だな。左腕は動かない。利き腕は動くから、戦えないことは無いが、印を結べないからな、忍者としては終わりだ。ハンターはもう引退しようと思う」

「そんな…」

「そんな顔をするな。ハンターを続けていれば、いつかはこういう日は来る。それが早かったというだけだ」


 出雲はそうは言っていたが、顔は悔しそうな表情をしていた。


「龍崎、お前はこうなるなよ。そして、俺の分も頑張ってくれ。黒死竜の討伐は任せたぞ…」


 賢也は、静かに頷くと病室を後にした。

 剣十郎と力也は、朝早い便で秋田の道場へと戻っていた。


「さてと…」


 あの双頭竜に苦戦をしたのだ。出雲に黒死竜の討伐を頼むと言われたが、今のままでは、到底無理だろう。もっと強くなる必要がある。そして、一人では恐らく無理だ。昨日、力也と共に戦って分かった。最強パーティーを組む必要がある。その候補だった出雲のリタイアは痛い。武闘会の出場選手の中には目ぼしいハンターはいなかった。

 賢也は、道場に向かった。道場の壁は今、修繕中だが、道場生は集まっている。


「おはようございます」


 賢也は、皆に挨拶をする。


「今日は、皆さんに大事な話があります」


 道場生達は、何だろうという顔で賢也を見ていた。


「俺は、今の悲惨な日常を作った元凶の黒死竜を討伐しようと思っています」


 皆が、ざわつき始めた。賢也は、話を続ける。


「だけど、まだ力が足らない。そして、戦う仲間も」

「いや、私達は一緒には戦えないですよ」


 地区長が賢也に戦いへの不参加を言った。それに対し賢也は、首を横に振ると、


「皆さんに戦いに参加して欲しい訳じゃないです。ただ、ノッコと優、君達には一緒に参加して欲しいと思っているけど」


 ノッコと優の方を向いて、続ける。


「君達の力を貸してくれ。これから師匠の元へ行き、仲間を集め、より強くなれるように修行してきます。だから、この護身術の道場は、明日から休みにします。道場の鍵は、妻に渡しておくので、使いたい時は、自由に使ってください」


 ノッコと優は、顔を見合せ、頷くと、


「分かった。一緒に行くよ」


 賢也の申し出を承諾した。


「ありがとう。二人共」


 すると、輝が賢也の元へ走ってきた。


「パパ。僕も行く。パパと一緒に戦うよ」


 賢也は、輝の頭を撫でると、


「輝は残って、パパが居ない間、ママとさくらを護るんだ。いいね」

「嫌だ。僕も付いていく!」


 輝は全く譲ろうとしない。賢也が困り果てていると、綾乃が輝に提案する。


「輝、じゃあ、パパと勝負したら。輝が勝ったら、パパに連れていって貰うっていうのはどう?」

「うん!パパ、勝負だ」

「全く…」


 綾乃が賢也にウィンクをする。


「じゃあ、一回だけだぞ」


 賢也は、竹刀を取り出すと道場の中央へと歩いて行った。


「勝負は、3分以内にパパの体に輝の攻撃が1回でも当たれば、輝の勝ちだ。いいね」

「うん!」

「じゃあ、二人共、準備はいい?始め!」


 輝は、光の剣を出現させると賢也に突進してきた。


「えい!」


 掛け声と共に、輝が賢也に斬りかかる。賢也は、竹刀で弾こうと剣を振ると、竹刀は、光の剣を透過してしまった。慌てて後ろに下がり、剣を躱す。


「おいおい。受け止められない剣とか、反則だろ」


 輝は、今の一撃が当たると思っていたのだろう。躱されて不機嫌な顔をしている。


「なら、これはどうだ!」


 輝が光の玉を10個出現させた。


「いけー」


 10個の光の玉が賢也に向かって飛んで行く。また斬れないんだろうなと思いながら、斬ってみるが、やはり透過してしまった。横に跳び躱したが、輝が手を振ったのを見て、賢也は、すぐに回避行動に移った。すると、賢也の予想通り、光の玉が直角に曲がり、さっきまで賢也が立っていた場所の床を貫いた。


「輝、頑張れ!あと2分だよ」


 綾乃が応援している。


「こらこら、輝が勝ったら戦いに行くって、聞かなくなるだろうに。全く…」


 この光の玉も躱され、輝の機嫌が更に悪くなった。


「何で当たらないの!」

「ほら、次はどうする?時間が無いぞ」

「やぁー」


 輝は道場の端から端までの長さがある光の壁を出した。


「いや、これは反則だろ…」


 避けようにも横一面を塞がれており、避ける場所がない。時間はまだ1分ある。何か手が無いか。


「パパ、僕の勝ちだね。いくよ」


 輝は、光の壁を倒した。攻撃が透過する光の壁をどうやって破る?

 バターン!光の壁が道場の床に当たった。


「やったー。勝ったー、あれ?パパ、どこ?」


 光の壁が倒れ込んだ場所に賢也の姿が無かった。床に穴が空いている訳でもない。

 道場の中には、どこにも姿が無かった。


「どこ?パパ!」

「ここだよ」


 賢也は、輝の背後に現れた黒穴から出て来た。


「あー、びっくりした。子供の発想力は凄いな」


 突然、賢也が後ろに現れて、輝もびっくりしている。


「え?え?パパ、さっきの当たらなかったの?」

「見れば分かるだろ、当たってないよ。そして、3分だ」


 セットしていた3分のアラームが鳴る。


「いやー、焦った、焦った。空の力を使わなかったら、負けてたな」


 賢也は、咄嗟に異空間の穴に入り、輝の背後から出て来たのだった。


「でも、この使い方はしないようにしよう。異空間の中は、上も下も、右も左も何も分からない気味の悪い空間だった。元の場所に戻れて良かったよ」


 賢也は、悔しくて泣きそうな輝の頭にポンと手を置き、しゃがむと、


「輝、約束だ。お前は残って、ママとさくらを護ってやるんだぞ。今度また特訓しような」

「うん。約束だよ」


 ちょっと泣き声の輝に賢也は、


「ああ、約束だ」


 と言って抱きしめると、立ち上がった。


「よし、じゃあ、そういう事で、明日からは各自で特訓お願いします」


 更に、ノッコと優に声を掛ける。


「二人は準備を頼む。明日出発するから」

「分かりました」

「了解」


 優とノッコは、準備をするため帰宅した。

 賢也は帰宅する前に、協会支部へと足を運んだ。


「梶さん、お願いがあるんですが…」

「おや、どうしたんだい?」

「実は、昨日の怪物の死体をちょっと見せて貰えませんか」

「いいけど、何でまた?」

「黒死竜の討伐に向けて、力を付けたくて」

「え!黒死竜の討伐に行くのかい?」

「まだ力が足らないんで、無理ですけど、今より強くなったらいつか必ず」

「よし!じゃあ、昨日の怪物を使って、武器を作るよ」

「ありがとうございます」


 賢也は梶の案内で昨日の怪物達の死体置き場まで来ると、怪物達の死体に触れ、覚醒状態になる。


「予想が正しければ、これで」


 次々に死体を触れていき、


「ありがとうございました」

「それだけ?」

「はい。じゃあ、武器、楽しみにしています」

「任せて!とびきりのを作るよ!」


 賢也は、梶と別れ、家に帰ると、自己分析の能力を発動する。思った通り、今までに無かった力を感じる。

 水、怪力、蒼炎

 3つか。8体と双頭竜の11体分の力が増えると思っていたが、そんなに簡単には手に入らないか。焔と蒼炎って、似た能力だから余り意味が無い気もするが、師匠の元で再び修行する時に、色々試すとしよう。

 賢也は、剣十郎に明日からノッコと優の3人が修行で世話になりたいと相談すると、剣十郎は快く受け入れてくれた。


「よし!明日からまた頑張るぞ」


 打倒、黒死竜に向けて賢也は気合いを入れるのだった。

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