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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第1章 黒死竜討伐編

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30.人型の再来!

人を強制的に怪物化させる人型の女を追って、出雲の元へ向かった賢也達だが、剣十郎に続き、出雲も怪物化させられてしまった。女の口振りでは、人型となった剣十郎が賢也の家族を狙い、向かっているらしく、賢也達は急いで戻るが、出雲の元へ向かうのに2時間弱かかっている。少しでも早く戻れるように賢也は全力で戻っていた。


「急がないと」


 焦る賢也に力也は、声をかけた。


「なあ、これってどうやって飛んでいるんだ?」

「え、ああ、俺達の重力を調整して、浮いているんですよ。浮いた体に風を推進力にして進んでいるんです」

「なるほど。凄いな。他にも何か使えるのか?」

「そうですね。まだあるのはありますけど、どうしました?」

「他に推進力に使えるような力があったら、併用してみるのはどうなのかと思ってな」

「なるほど。なら、火が使えるかもしれない」

「それと、お前の支部の方に連絡入れて、救援を頼んだらいいじゃないか」

「それは…。人型を相手に出来る実力者はおそらくいないです。むしろ被害が拡がるだけだと」

「そんな事を言っている場合か!ハンターは一般市民を護るために居るんだろう!こんな時にこそ頼れよ」


 力也は賢也を怒鳴り付けた。


「でも…」

「でも、じゃない。お前がしないなら俺が連絡を入れてやる」


 力也は、そう言うとメールを打ち、支部局に連絡を入れた。


「急いで戻るしかない」


 賢也は、力也を掴むと、足からロケットのように炎を放出した。風の推進力に炎の推進力が加わり、スピードが上がった。


「よし、これなら早く着くぞ」


 賢也は、間に合ってくれと心から願うのだった。


 賢也が急いで戻っている頃、賢也の道場の近くに異空間の入り口が現れる。中から剣十郎が現れた。


「さて、この辺りなのか?」


 剣十郎は、周囲をキョロキョロと確認する。


「居ないぞ。あいつの言っていた奴は」


 剣十郎は誰かを探していた。暫くその場でキョロキョロとしていると、別の異空間の入り口が現れる。その中から現れたのは、輝を怪物化した女だった。


「おや、お前があいつの言っていた奴か?」

「遅いぞ」


 剣十郎は、この女を探していたらしい。


「気にするな。あいつはまだ忍者とやらの所か?」

「ああ、もうすぐ来るんじゃないか?」


 剣十郎の言っているそばから、2つ異空間の入り口が現れた。中から出雲と女が出てきた。出雲は頭を抱え悶えていた。


「何だ。まだ乗っ取れていないのか?」


 輝を怪物化した女が現れた女に呆れたような口調で尋ねた。


「うるさい。邪魔が入ったから、途中でこっちに来たのさ」


 現れたばかりの女が答える。


「それで、あの男の家族はどこだ?」

「あの建物の中さ。息子はもう仲間には出来ないぞ。他のを狙う」


 女達は、賢也の道場に向かって歩き始めた。


 道場の中で稽古を続けていたノッコが女達の気配に気付いた。


「綾乃さん、ユウ!」


 ノッコは、二人を呼んだ。


「どうしました?」

「どうしたの?ノッコ」


 綾乃と優がノッコの元へ向かった。


「嫌な気配がこっちに近付いてくるの。きっと怪物よ」

「え!賢也さんは?何処に行ったんですか?」

「電話がかかってきて、慌てて外に行ったきり帰って来ないわよ」


 綾乃が賢也に電話をかけるが、中々出ない。


「うーん。出ないわね」


 電話を切ろうとした時、賢也が電話に出た。何やらビュウビュウとうるさかった。


「ねぇ、今何処にいるの?何かうるさいけど」

「綾乃!無事か?今、東京からそっちに戻ってる所だ」

「え!東京!どういう事?法子さんが、嫌な気配が道場に近付いてくるって」

「やっぱり。支部局のハンターがそっちに向かってくれているはずだ。逃げれるようなら、皆で逃げろ」

「逃げろって、やっぱり怪物がこっちに向かっているの?」

「ああ、お前達の手には負えない。多分、今のスピードならあと、1時間位で戻れると思う。俺達が戻るまで何とか生き延びてくれ」

「分かったわ。逃げる準備をする。早く戻って来てよ」


 綾乃は電話を切ると、稽古中の全員を呼ぶ。


「皆さん、稽古を止めて、こっちに来てくれますか」


 綾乃の呼び掛けに、全員が集まった。


「今、この道場に怪物が向かって来ているそうです。ハンターの方もこちらに来てくれているそうですが、危険な状態になっています」

「先生は何処に?」

「今、こっちに戻って来ているみたいですが、あと、1時間位かかるみたいです。ですから、今から皆さんで逃げた方がいいかと思って」


 綾乃の提案にノッコが反対した。


「ダメ!今、外に出たら丁度出会ってしまいます。鍵をかけて…」


 ノッコが話している時、入り口の開く音がした。


「間に合わなかった!」


 入り口から入ってきたのは、剣十郎だった。


「あ、剣十郎さん」


 綾乃が剣十郎の元へ向かおうとする所を、ノッコが腕を掴んで止める。


「綾乃さん!ダメ!あの人はもう」

「そんな。剣十郎さんが…」


 後ろから、出雲も入ってきた。


「まさか、出雲さんも」

「あの人からも感じる。このままじゃ皆やられちゃう。賢也、早く戻って来てよ」


 剣十郎がノッコを見ている。ノッコの力に気が付いたようだ。


「おい、面倒なのがいるぞ」


 剣十郎が後ろに話しかけている。出雲の後ろから女が入ってきた。


「何だ?面倒なのとは?」


 女がノッコを見ると、納得したような顔をする。


「なるほど。あいつか。私達の気配を感じ取れるようだな」


 女が入り口から更に中に入ってくると、歩みを止める。


「何だ?どういう事だ?」


 女が道場にいる人間を見て、驚いている。


「どうした?」


 剣十郎が女に尋ねると、女は怒った口調で答えた。


「こいつらから、同胞の気配がしない!こいつらはもう仲間に出来ない!」

「なら、食ってしまうか」

「好きにしな」


 女は出ていった。


「さてと、そういう事でお前達は、俺の糧となってもらおうか」


 剣十郎が剣を抜き、ノッコ達の方へ歩き出した。出雲も歩き始めた。


「おい、半分ずつだぞ」


 剣十郎達が近付く度、ノッコ達は少しずつ後退していく。そして、遂に道場の角に追い込まれてしまった。


「何とかしなきゃ。何とか」


 ノッコは助かるために何か出来ないか必死に考えていた。怪物の力を使える自分が賢也が帰って来るまで何とかしないと。剣十郎が目の前まで辿り着き、剣を振りかぶった時、輝が前に出てきた。


「輝!」

「輝くん、危ない!」

「僕がみんなを護るんだ!盾出てこい!」


 輝が両手を前に突き出すと、全員を囲むように光の盾が現れた。


「ほう。だが、無駄だ」


 剣十郎は光の盾目掛けて剣を振り下ろす。しかし、輝の出した光の盾に弾かれてしまった。


「何!たかが餓鬼の出した盾に防がれるだと」


 剣十郎は何回も剣で斬りつけるが、光の盾はびくともしなかった。


「何を遊んでいるんだ?」


 出雲も一緒になって攻撃するが、やはりびくともしない。


「凄い!輝くん」

「輝、大丈夫なの?」


 綾乃とノッコが輝を見ると、肩で息をしている。かなり、体力を消耗しているようだ。


「輝、頑張って!誰か何とか出来ないですか?」

「そんな事言われてもなぁ」

「何かしてあげたくても、そんな力が無いよ。悔しいな」


 他の皆は顔を合わせてどうにも出来ない自分達を不甲斐なく思っていた。

 ノッコは輝の手を掴んだ。


「輝くん、頑張れ。ごめんね」


 優も輝の手を取る。


「ごめんね。輝くんに無理させてしまって」

「大丈夫だよ。お姉ちゃん達。僕、まだ平気だもん。パパが帰って来るまで、絶対、やられたりするもんか!」


 剣十郎と出雲の攻撃はいっそう激しくなっていく。

 その時、外から銃声が聞こえてきた。ハンターが、救援にやって来たのだ。外から女達の声が聞こえてきた。


「何だ。お前達は。お前達には用は無いんだ。死にたくなければ、黙って帰るんだよ」

「くそ、銃が効かないぞ」


 ハンターの声も聞こえる。剣十郎達は、それを聞くと攻撃を止めた。


「外が騒がしいな。そっちに行ってみるか」

「そうだな。こっちは埒があかない。全く忌々しい餓鬼だ」


 二人は光の盾を破壊するのを諦め、外へと出ていった。


「た、助かった」


 地区長が安堵のため息をつく。輝は、光の盾を消すと倒れこんだ。


「輝!」


 綾乃が輝を抱き抱える。輝の息は荒く、動けそうになかった。


「頑張ったね。輝」


 綾乃は、輝をぎゅうっと抱きしめた。


「早く帰って来て…」


 綾乃は、賢也の帰りを天に祈っていた。


 一方、外では救援に駆けつけたハンター達が戦っていた。ほとんどの者が、銃で攻撃をしていたが、女達には弾が命中しても傷一つつかなかった。


「何なんだよ。こいつら」

「人型ってのはこんなに丈夫なのか?」


 ハンター達は、全く攻撃の効かない相手に、自分達が返り討ちにあってしまうのではという不安で一杯だった。そんな時、道場の中から剣十郎と出雲が出てきた。ハンターの中には、出雲の顔を知っている者もいた。


「やった。出雲さん!こいつら、銃が効かないんです」


 出雲は、ハンターに助けを求められ、笑いながら助けを求めたハンターの元へ歩いていく。


「何が可笑しいんですか?敵はあっちですよ!」


 ハンターの元まで歩いた出雲は、ハンターの首を掴み、持ち上げた。


「な、何をするんですか!?」


 ハンターは、手を振りほどこうとするが、出雲の力が尋常ではなく、全く微動だにしない。


「ま、まさか」


 出雲は、ニヤっと笑うと、


「今頃、気付いたのか。ここにいるのは、お前達以外は全て同胞だよ」


 出雲がハンターの首を絞める。


「ぐぅっ」


 首を絞められ、苦しむハンターを助けるため、他のハンターが銃を撃った。出雲は、銃を剣で弾く。


「無駄だ。後で相手をしてやるから、待っていろ」


 その時、首を絞められていたハンターが、首を絞めている腕を銃で撃った。


「ぐっ」


 出雲は、銃に撃たれ手を離す。


「ちっ。痛いじゃないか」


 出雲は、ハンターを蹴り飛ばした。


「油断するからだ」


 剣十郎が出雲に呆れた口調で話しかけると、剣をハンターに向けた。


「さて、こいつらはどうするつもりだ?」


 剣十郎は、女に問いかけた。


「こいつらに用はない。同胞にしてもいいが、素材が大したことないみたいだからな。必要無いだろう」

「なら、斬り捨てるか」


 そう言ったかと思うと、剣十郎は、ハンターの目の前に移動して、剣を振り下ろしていた。


「早い!」


 ハンターは、身を捩り、剣を躱そうとしたが、左腕を斬り落とされてしまった。


「うわぁ!腕が、腕がぁ!」

「うるさい」


 剣十郎が止めを刺そうと、首を狙って横に剣を薙いだ。その時、一本の剣が剣十郎目掛け飛んで来た。


「何だ!」


 剣十郎は、攻撃を止め後ろに飛び退く。

 剣の飛んで来た方向を見ると、今到着したばかりの武井がいた。


「大丈夫か?下がっていろ!」


 武井は、腕を斬られたハンターに後退するように叫んだ。


「ほう。少しは出来るようだな」


 剣十郎は、武井を見ると少し楽しそうに笑っていた。

 武井は周りを見ると、やる気の無い女達は放っておき、まずは剣十郎と出雲からどうにかしないといけないと判断した。


「龍崎は何をしているんだ。全く。自分の道場が襲われているんだろう。行くぞ!」


 武井は、剣十郎に向かって走っていく。剣を振りかぶり、剣十郎に斬りつけるが、簡単に受け止められる。


「うん?お前、あいつの知り合いなのか?」

「あいつとは?お前達、怪物の質問に答える義務はない!」


 武井は、連続で斬りつけるが、全て受け止められてしまい全く攻撃が通らなかった。


「まだまだだな。その程度の腕では私に傷一つ付ける事は出来んよ」


 剣十郎が武井の剣を弾き飛ばす。


「終わりだ」


 剣十郎が武井を斬ろうとしたら、武井は、腰から銃を取り出し、すぐさま引き金を引く。


「まだだ!」

「小癪な」


 剣十郎は、横に飛び退き弾を躱した。その間に武井は、剣を拾い上げ、体勢を整える。


「ふぅ。強い。まずいな勝てる気がしない」


 武井と剣十郎の戦いを見ていた女が剣十郎達に尋ねた。


「何を遊んでいるんだ?所で、その中にいた奴らはどうした?片付けたのか?」

「まだだ。餓鬼が生意気にも我らと同じ力を使って邪魔をしてな。こっちが騒がしいから、先にこっちに来たんだよ」


 女は呆れたという顔で、剣十郎達に命令した。


「こんな雑魚共はこっちに任せて、お前達は中の人間を片付けてこい」


 剣十郎達はやれやれという顔をすると、剣を納め道場へと歩き出した。


「おい、待て!」


 武井が剣十郎達を静止しようとするが、女が邪魔をする。


「お前達は、こいつと遊んでいろ」


 そう言うと異空間の入り口から、怪物を出現させる。


「何!あれは、Sランク指定の犬型の二足型か」


 動物型は、人型と違い無差別に人を襲う。こいつが先か。武井は、怪物に向かっていく。だが、Sランクと戦った事など無い。人型もSランク指定となっているが、武井は、この戦いで死を覚悟した。


「やれやれ、ここまでか。全員でこいつをやるぞ!」


 武井は、ハンター達に指示を出すと一気に駆け出した。


 剣十郎と出雲が道場の中に再び入って来た時、輝は力を使い過ぎ眠っていた。


「おや、光が消えているじゃないか。今なら簡単に片付けられるな」

「うわぁ。また入ってきた!」

「どうする?輝くんはもう無理だぞ」


 ノッコは、輝があんなに頑張ったんだ。怪物の力が使える自分が次こそ何とかしないといけない。そう決心した。何が出来る。怪物の気配を感じ取り、力が何かを感覚的に悟るだけの自分に。


「さぁ、苦しまずに死なせてやろう」


 剣十郎達がこちらに歩き出した時、ノッコは無我夢中で手を突き出し叫んだ。


「来るなぁ!」


 すると、ノッコの手から黒い霧のような物が出て来て、辺り一面が包まれたのだ。


「何だ?」

「何も見えないぞ!奴らの気配も分からない!」


 ノッコには、周りの様子が分かるが、他の者は何も見えず、何も感じられなくなっていた。


「私にこんな力があったなんて。これなら、少しは時間が稼げるかもしれない」


 剣十郎達は、手探りで歩いていたが、方向感覚を狂わされたのか、真っ直ぐ歩けず、苛立っていた。


「くそ、光だけじゃなく、闇まで。本当に忌々しい!」

「一旦、外に出るぞ」

「えぇい、仕方がない。くそ、出口はどっちだ!」


 すぐ傍にある出口に辿り着くことも出来ず、剣十郎達は、ぐるぐると同じ所を回っていた。


 外では、Sランクの怪物と武井達ハンターが戦っていた。すでに何人かは、傷を負って劣勢だった。


「くそ、人型だの、Sランクだの、今日は厄日だ」

「ここで死んじまうのかよ。畜生!来るんじゃなかった…」


 怪物がハンターの目の前に立ち、鋭い爪で斬り裂こうと腕を振り上げた時、見たこともない武器が空から飛んで来て、怪物の体を真っ二つに斬り裂いた。


「何だ?助かったのか?」


 ハンター達が上を見上げると、人が空から降ってきていた。


「どうやら間に合ったみたいだな。大丈夫か?」

 空から降り立った男は、ハンターに尋ねた。

「え。あ、あぁ。助かった」

「俺達が来たからもう大丈夫だ」


 よく見ると、もう一人空から降りてくる。


「空から来るなんて、あんた達何者なんだ?」

「空を飛べるのはあいつだけだ。俺は運んでもらっただけさ。俺は甲斐だ。同じハンターさ。後は任せて、下がってろ」

「力也さん!その人は大丈夫ですか?」

「あぁ、龍崎。間に合ったみたいだぞ。だが、先生の姿は見えないな」


 賢也は、地面に降り立つと周囲を確認した。女達を見付けると、


「あいつらだ。力也さん。あっちの女が輝を怪物化した女です」

「なるほど。あいつだな。俺が追っていた女は。ここは俺に任せて、お前は家族と先生達を」

「はい」


 二人のやり取りを聞いていたハンターは、耳を疑った。これだけの人数で全く手が出なかった相手にたった一人で戦う?お互いにそれぞれ相手をする?


「あんた達正気か!これだけの人数でも敵わなかったんだぞ。それを一人で。それぞれで戦うだと。馬鹿な事言うな」

「大丈夫だ。俺とあいつならな。ハンターランキング1位と、ハンター武闘会の優勝者だぞ。心配するな。下がっていろ」

「ランキング1位。甲斐 力也!それに優勝者って、あの龍崎か!」


 ハンターは、今到着したのが現在の実質

トップ2と言われている二人だと漸く気付いた。

「分かったようだな。なら、他の連中と一緒に下がっていろ」

「は、はい」


 ハンターは、周りのハンターに声をかけ、後退していった。武井が龍崎に気付き、声をかけた。


「龍崎!あの道場の中に二人入っていった。一人は出雲さんだったぞ。早く行った方がいい」

「武井さん。分かりました。後は任せてください」


 賢也は、武井に手を上げ挨拶をすると、


「さて、今までの借りを全部返させて貰おうか」

 道場に向かって、歩き出した。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


今後もよろしくお願いします。


良ければ、感想や評価もよろしくお願いします。

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