↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第1章 黒死竜討伐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/141

22.ハンター武闘会 本選開始

無事に武闘会予選を突破し、本選出場を決めた賢也は、家族と共にホテルへと戻った。


「さて、明日は本選だ。食事をしたら、寝るかな」

「そうね。じゃあ、ホテルのレストランで食事をしましょう」

「僕、ステーキ!」

「私は、ハンバーグ!」


 輝、さくらはレストランでの食事を嬉しそうにはしゃいでいた。

 レストランに着き、席に付き注文をする。注文の品が来るのを待っていると、1人の男が賢也の元にやって来た。


「お前が龍崎か?」

「そうですが?」

「ふん。Eランクの分際で、予選突破したんだったな。新種キラーなんて呼ばれているみたいだが、まぁ、せいぜい頑張るんだな。明日は俺が実力の差というものを教えてやるよ」


 そう言うと立ち去っていった。


「何?あの人。感じ悪い人」

「多分、明日の対戦相手じゃないかな?気にするな。実力差を知るのはあっちの方だろうしね」

「あんな人に負けないでね」

「あぁ、大丈夫さ。勝つよ。さ、それよりも食事だ」


 賢也達は、運ばれて来た食事を食べ始めた。

 突然の対戦相手からの感じの悪い挨拶で、雰囲気が悪くなってしまったが、子供達の嬉しそうな顔を見て、和やかな雰囲気となり、その後は楽しく食事を終えた。


「さぁ、部屋に戻って寝るよ」


 賢也達は、ホテルの部屋に戻ると明日に備え寝た。

 翌日、武闘会の本選が開始された。


「多くのハンターの中から、16名の強者が揃いました。いよいよ、ハンター武闘会本選の開始です」


 進行役のアナウンスの後には、開始の合図となる花火が盛大に上がり、本選開始を盛り上げた。


「では、記念すべき本選第1回戦を始めたいと思います」


 進行役が1回戦の組み合わせを発表する。


「まずは、Aブロックを見事に突破した諸井選手、ハンターランクは高ランクのBランクです。」


 紹介された諸井が会場に姿を現す。


「続きまして、Bブロックを突破しました龍崎選手です。ハンターランクはEランクです」


 賢也の紹介が終わり、会場に登場する。本選は、テレビでも中継されており、実況者、解説者も来ていた。


「なお、本選より勝者予想に対する賭けが認められています。本選のオッズは、諸井選手が1.1倍、龍崎選手が10倍となっております。やはり、ハンターランクの差が大きく影響したようですね」


 実況者が賭けの状況を報告している。解説者も、


「更に言うと、諸井選手は遠距離武器、龍崎選手は近接武器を使うという点もあるでしょう。諸井選手はガトリングガンを使うので、近付く前に片が付いてしまうという予想でしょう」


「両選手は中央へ」


 進行役が本選のルール説明を始める。


「本選は、予選と違い場外負けはありません。このエリア全てが闘いの場となります。勝敗は、相手の降参、10カウントのノックダウン、使用禁止武器の使用による反則行為により決まります。では、お互いに全力を尽くして下さい。では、中央線を区切りとして、戦闘開始する位置に移動願います」


 進行役の説明が終わり、それぞれの戦闘開始位置へ移動する。

 諸井は、武闘場の端まで移動する。賢也は、中央から動かなかった。


「両者、位置に付いたようです。では、武闘会本選、第1回戦第1試合始めー!」


 進行役が開始の合図をする。

 始めの合図と同時に諸井がガトリングガンを撃ってきた。諸井の使うガトリングガンは、600発/分の連射が可能である。賢也に無数のゴム弾が発射された。

 賢也は、このゴム弾の嵐を円を描きながら走り躱す。


「凄い!龍崎選手、諸井選手のガトリングガンを躱しています。少しずつ、距離が縮まっているか!」


 実況が叫びながら、状況を説明している。


「ちっ。面倒くさい奴だ」


 諸井がガトリングガンを撃ちながら、舌打ちをする。ガトリングガンの弾が切れた。

 その隙を逃さず、賢也は諸井に向かって走り出す。

 諸井は慣れた手つきでガトリングガンの弾を補充しながら、左手で、マシンガンを撃ち始めた。

 賢也は、突進を止め横に動きマシンガンを躱す。


「連射銃ばかりだな。どうするかな」


 躱しながら、少しずつ距離を詰めていく。諸井がガトリングガンの弾の補充を終わらせた。


「喰らいな」


 諸井が再びガトリングガンを撃ってきた。賢也は変わらず躱す。


「龍崎選手、やはり諸井選手のガトリングガンに手も足も出せないか!」


 実況が叫ぶ。


「お父さん、龍崎さんは大丈夫なの?」


 剣十郎の娘が、剣十郎に尋ねた。実は、剣十郎の勧めで、賢也に高額を賭けていたのだ。


「あの程度の者に負ける訳がない。あやつ、手加減して闘っているぞ」

「うそ!何で?手加減なんてする必要があるのよ」

「さあな。まあ、本気で闘えば、相手を殺してしまうかもしれないからな。まあ、見ていろ」


 諸井は変わらずガトリングガンを撃ち続ける。


「ふはは。手も足も出ないだろ。これが俺とお前の実力の差だ。お前程度大したことはない!」

「いや、あなたはただガトリングガンを撃っているだけでしょう。別にあなた自身が強い訳じゃない」


 そう言うと、一瞬で距離を詰める。


「凄い。龍崎選手、一瞬で諸井選手の懐に入った」

「何!」


 そのまま賢也は胴を薙いだ。

 諸井は吹き飛んで、後ろの壁に叩き付けられる。


「ぐぅっ」


 諸井が膝を付き、カウントが始まる。


「諸井選手ダウン。1、2、3」


 3カウントで立ち上がり、


「ダウンじゃない。カウント取るな!」


 進行役を怒鳴りつけた。


「くそ、くそ、この手は使いたくなかったが、しょうがないな」


 そう言うと、諸井は左手に付けていたリングのスイッチを押した。


「さてと、お前、昨日は家族で楽しく食事をしていたよな」


 突然、諸井が変な事を話し出した。


「何が言いたいんですか?」

「何、仲の良い家族だよなぁって、お前のせいで家族が傷付いてもいいのかなぁ」

「何が言いたい…」

「ほら、あそこお前の家族が座って応援してるじゃないか」


 賢也が綾乃達が座っている観客席を見ると、綾乃達の後ろに知った顔があった。


「あの人は!」

「そうだよ。お前のせいでハンター資格を失い、刑務所にぶち込まれた諸井靖二は、俺の弟だ」

(この人があの諸井さんの兄とは、確かに言われて見れば、似ている)

「出来の悪い弟だが、舐められるのは嫌なんでね。お前が何もしなければ、家族には何も起こらないだろう。だが、俺を攻撃したら、どうなるか?俺も知らんぞ」


 そう言ってガトリングガンの元へゆっくり戻っていった。


「おや、龍崎選手、攻撃のチャンスのはずですが、諸井選手がガトリングガンの元へ戻るのを見送っています」

「一体どうしたんでしょうね。武器を持っていない相手は攻撃しないという事でしょうか」


 事情を知らない実況と解説が好きなように話している。まさか、賢也の家族が人質となっているとは、この場の誰も思っていなかった。綾乃達自身もそのような状況になっている事は知らず、賢也の勝利を祈っていた。


「どうしたものかな」


 賢也は、この状況を打破するためにどうすれば良いか考えていた。

 下手に攻撃をすれば、家族に危害が加わるかもしれない。何もしないで、ただ負けるというのも癪に障る。

 そんな事を考えていると、諸井がガトリングガンの準備を終えた。


「さぁ、ショータイムだぁ!」


 諸井は、賢也に狙いを澄まし一気に撃ち始めた。

 賢也は、ふぅっと息を吐くと身構え、集中すると、


「うぉぉぉっ」


 物凄い気迫と共に、ゴム弾を弾き返し始めた。


「無駄な事を」


 諸井は、構わずガトリングガンを撃ち続ける。賢也は、その弾を全て剣で弾く。


 カラカラカラカラッ…


 ガトリングガンの弾が無くなり、回転音だけが鳴り響いた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 賢也は、全ての弾を凌ぎきったのだ。


「わぁーっ!」


 ガトリングガンを凌ぎきった賢也に観客席から、大きな歓声が上がる。


「くそ、化け物か!貴様!これ以上抵抗するなら、家族はどうなってもいいんだな」


 諸井は、最後の予備弾をセットし始めた。


「ああ、まだそんな事言っているのか。好きにしたら、どうだ」

「何!お前、家族を見捨てるのか?後で後悔するんだな」


 そう言うと、諸井は左手のリングのスイッチを押すが、悲鳴が聞こえてこない。


「何だ?靖二は何している」


 諸井は後ろを振り向く。綾乃の後ろにいるはずの靖二の姿が見当たらない。


「あいつ、何処に行ったんだ」

「今頃、医務室に運ばれているんじゃないか」

「どういう事だ?」

「どういう事って、気絶してるからな。お前の弟は」


 賢也は、ガトリングガンの弾を弾き返している間に、靖二に向けて、飛燕を放っていたのだ。賢也の放った飛燕は、見事に靖二の頭に直撃し、昏倒していた。そして、近くにいた観客や大会実行委員によって医務室に運ばれたのだ。


「さて、まだ状況が分かっていないみたいだな」


 何が起きたのかが分からず、混乱している諸井に向かって賢也は、


「お前はやってはいけない事をやった。その報いは受けてもらうぞ」


 賢也は身構える。諸井は慌てて弾のセットを終わらせ、撃ち始めた。

 賢也は、一瞬で間合いを詰め、ガトリングガンを斬りつける。模擬刀であるにも関わらず、ガトリングガンの銃身を斬り落とした。


「ひぇっ。な、何で模擬刀で鉄が斬れるんだ」


 慌てて距離を取ろうと後ろに下がるが、賢也からは逃れられなかった。


「お前ごときには勿体無い技だが、実力の差を思い知るんだな」


 賢也は諸井が何度も言っていた言葉をそっくりそのまま言い返すと、


「桜華連斬!」


 諸井は、賢也の桜華連斬を受け、崩れ落ちた。


「諸井選手、再びダウン!カウントが入ります。1、2、3、」

「無駄だよ。立てる訳がない」


 賢也が呟くと、


「10ー!」

「勝者、龍崎選手ー!」

「うわぁー!」


 物凄い歓声が上がった。賢也は、歓声に向け手を上げると、進行役に告げる。


「あの人、骨折れて動けないから担架よろしく。それと、今、医務室に運ばれている男が凶器を持っているはずだから、気を付けて。あの男の弟で、俺の家族を襲おうとしていたらしいから」

「えっ!ちょっと、待って下さい」


 進行役へ告げた賢也は、そのまま武闘場を後にした。

 

「パパー!」


 武闘場から出てきた賢也の元に輝が走ってきた。


「パパ、格好良かったよ!」

「そうか、ところで、怪我は無いか?」

「無いけど、何で?」


 賢也の問いに輝が首を傾げる。その後に綾乃とさくらがやって来た。


「お疲れ様。あなたの試合の途中、後ろの席の人が突然倒れちゃって、途中大変だったのよ」

「あぁ、知っているよ」


 綾乃は賢也の返事にキョトンとしている。



「何で、知っているの?」

「俺が倒した」

「え?」


 またキョトンとする綾乃。


「そいつ、前に家に強盗に入って来た人だよ」

「え?」

「さっき対戦した人が、そいつの兄で、綾乃達を人質に俺に負けろって言って来たんだ」

「そんな」

「まぁ、そんな卑怯な手を使われて黙ってる訳にもいかなかったからな。俺が攻撃して、気絶させたんだよ。ということで、ちょっと行ってくる」

「何処に?」

「今回の事を協会に報告しないとな。兄弟揃って、刑務所行きになるんじゃないか?」


 賢也は、大会の事務局に足を運び、今回の試合について説明をした。

 医務室に運ばれていた靖二の懐に、ナイフと銃があり、取り調べにて自供したため、諸井兄弟は、その日の内に逮捕される事となった。


「本選第1回戦の途中ですが、第1試合において、諸井選手が龍崎選手の家族に危害を加えられたくなければ、負けるようにという脅迫行為が確認されました。龍崎選手の家族は無事ですが、脅迫、傷害未遂の罪で、諸井晴彦、靖二の兄弟は逮捕される事となりました。このような事が二度と起きないよう、明日からの入場者は所持品検査を十分に行う事をご了承の程、よろしくお願い致します」


 試合間に会場アナウンスが流れ、どよめきが起きる。


「あの時か。ガトリングガンに歩いて向かってたもんな。普通じゃあり得ないと思ってたけど、そんな事があったんだな」

「龍崎さんって、冷たい人なのかな?家族を人質に取られてても、普通に闘ってたじゃん」


 様々な声が上がっていたが、その日の残りの試合は、何事もなく無事終了した。


 賢也が詳しい話を警察に話終え出てきた時、剣十郎と剣十郎の娘家族が待っていた。


「賢也、何故変な方向に飛燕を放ったのかと思ったら、そんな事があったのか」


 剣十郎は、賢也が飛燕を放っていたのをしっかりと見ていた。


「はい。何とか、無事に片付ける事が出来ました」

「ふむ。明日からの観戦は、もう何も起こらないと思うが、私が近くで一緒に観戦するようにしよう」

「それは心強いですね。ありがとうございます」

「ああ、任せなさい」

「龍崎さん、明日も頑張って下さい」


 剣十郎達は、話しを終えると立ち去っていった。


「全く。諸井兄弟には振り回されたな」


 賢也は、呟くと綾乃達が待つホテルへと足を運ぶのだった。


 その日の夜、今日の出来事がニュースでも報道された。諸井弟の強盗事件、諸井兄の脅迫、賢也自身の手で家族を護り、勝利した事が告げられ、一気に賢也の人気が上がる事となった。

 そして2日後、賢也の第2回戦目が始まる。


「お待たせしました。本日より第2回戦のスタートです。第1試合目は、脅迫事件により話題沸騰中の龍崎選手、ランクはE、そして、虎居選手、ランクはCです。オッズは、龍崎選手が1.7倍、虎居選手が2.5倍となっています」

「先日の事件の影響でしょうね。龍崎選手の人気が上がり、ランクの低い龍崎選手の方がオッズが低い形になったんだと思います」

「それに、どうやったのかまでは不明ですが、龍崎選手は、剣でも遠くを攻撃出来るという話ですから、今回どのような試合の展開になるのか楽しみです」


 実況、解説の話しが終わる。


「両選手は、中央へ」

「ルールは昨日と変わりませんが、脅迫の類いは一切許しません。良いですね。では、中央線を区切りとして、戦闘開始する位置に移動願います」


 賢也は、1回戦と同じく中央から動かなかった。対して虎居は、背後の壁とセンターラインの丁度真ん中辺りに移動した。


「では、第2回戦、第1試合始め!」


 開始の合図と共に、賢也は虎居の元へ突進する。虎居は、全く攻撃をする素振りを見せない。


(どういうつもりだ?)

 賢也はそのまま虎居を斬りつけた。虎居は避けようともせず直撃を受け、後ろに吹き飛んでいった。


「?。何だ。この妙な手応えは」


 賢也は、直撃したはずの自分の感触に違和感を覚えた。まるでスポンジを叩いたようで、手応えが全く無かったのだ。


「良い感じだな。全くダメージが無い。さすがはAランクの装備だ」


 虎居はボソボソと呟く。


「次はこの銃を試すか」


 虎居の袖の中から銃が出てくる。見たことの無い銃だ。


「さぁ、防げるものなら防いでみろ」


 虎居が引き金を引くと、ドン!と轟音が鳴った。賢也が動く間もなく、ゴム弾は賢也の横を通過する。ドーン!と壁にゴム弾が命中し、轟音が響いた。


「あれは、小型のレールガンか!」

「素晴らしい。さすが新作の兵器だ。これなら手も足も出ないだろう」


 虎居は、ニヤリと笑うと、もう片方の袖からもレールガンを出した。


「低ランクのくせに生意気だから、お前、死んじゃえ」


 そう言うとレールガンの引き金を引く。


「あんな物が観客に当たったら、怪我じゃ済まないぞ。あいつというか、会場の人達は分かっているのか?」


 最初に撃ったレールガンを見て、会場内は盛り上がっていた。そして2発目も賢也から逸れて、壁に着弾し、ドーン!という轟音が響く。


「Cランクの装備じゃないな。A以上か。しかも、見たことが無い。まだ発表前の物か」

「へぇ。中々勘が鋭いじゃないか。俺の武器は、まだ未発表の最新作さ。因みにこいつは、Sランク用の小型レールガンさ。まだまだ他にあるからな。さぁ、色々試させてくれよ。これまでの試合じゃ全く試せなかったからな」


 レールガンが袖の中に収納される。すると、代わりにショットガンのような銃が出て来た。


「これは躱せないぞ」


 バァーン!発砲音と共に無数のゴム弾が発射される。やはり、散弾か。かなりの広範囲に拡がっている。確かに躱すのも、弾くのも普通の人間なら無理だろう。だが、賢也は瞬時に横に逃げ、前に突っ込みこれを躱す。そして、そのまま再び攻撃をするが、やはり手応えがない。すると、後方から悲鳴が聞こえてきた。


「きゃあ」、「痛いっ」

(散弾の飛距離が長いのか)

「ほら、お前が躱すから、観客が弾を受けてるぞ」

(こいつ。分かっていて撃っているのか)

「全く。1回戦といい、2回戦といい、俺の対戦相手は、観客を巻き込む迷惑な奴ばっかりなんだ」


 賢也はため息をつきながらぼやく。


「何だと。誰が迷惑な奴だって」

「聞こえてたのか。いや、お前以外何処にいるんだ。この場に」

「お前が避けなければ良いだけだろう。俺は悪くない」

(こいつには何を言っても無駄だな)

「どうせ、俺にダメージを与えられないから、攻撃だけでも何とかしようと思ったんだろうが、そうはいかないぞ」


 そう言うと、虎居はまたショットガンの引き金を引いた。


「風雅満月!」


 賢也は、1回転するとゴム弾が全て地面に落ちる。


「何だと!」


 虎居は驚愕し、叫んだ。そして、次弾を撃とうとした時、気が付く。銃身が無い!


「危ないから、使えないようにさせてもらったぞ」


 虎居は使えなくなったショットガンを投げ捨てた。そして、再びレールガンを出す。


「なら、何も出来なかったこれを喰らいな」


 レールガンの引き金を引く。電磁加速されたゴム弾は今回は真っ直ぐ賢也に向かって発射された。賢也は、剣をブンと振ると、地面にゴム弾を叩きつける。ドーン!と轟音が響く。


「馬鹿な…。レールガンの弾を叩きつけやがった」

「どんなに弾速が速くても、狙った方向が分かっていれば、何も問題無い」


 虎居が賢也の気迫にビビり、後退りする。


「お前、武器が最新で強力な物を手に入れただけで、武器と実力が見合ってないだろ。よく、そんなので予選と1回戦を勝ち抜けたな。余程運が良かったんだろうな」


 賢也は、虎居の態度に呆れ果てていた。


「な、何だと。俺が弱いって言うのか。ふん。その弱い俺にダメージを一切与えられないお前はもっと弱いって事だな」

(俺が弱いかはともかく、確かによく分からないが、あの手応えの無さはどうしたものかな。体以外を攻撃すると、あいつが更に調子づきそうだし)


 賢也が攻撃方法を考えている間に、虎居はレールガンを袖の中に収納していた。今度は拳銃が袖の中から出てきた。


「これでも喰らいな」


 その銃は特に変わった点の無い普通の銃だった。

 賢也は、剣で弾を弾くと突進する。今度は、凪ぎ払うのではなく、突きを放った。これも手応えが無い。


「これならどうだ?」


 賢也は、右横腹、左横腹と連続で斬りつける。これも変わらない。ダメージを受けていない虎居は、銃を撃ってきた。賢也は、すぐに虎居から離れ躱す。


「埒があかないな。これは」

「ふっふっふ。ダメージを与えられないお前の方が不利だな。どうだ。降参する気になったか?」


 さっきまで弱気だったが、ダメージを受ける事が無いと思うと虎居が強気になってきた。


「降参なんてするはずが無いだろ。しょうがない。一発、全力で叩きつけてみるか」


 賢也は虎居の懐に潜り込むと、右腕に全力を集中し、腹を薙いだ。バァーン!と何かが弾ける音がした。これまでとは手応えも若干違って、柔らかい物を叩いたかと思った後に異様に硬い物を叩いたような感触だった。


「う、嘘だろ」


 虎居は腹を苦しそうに抱えている。


「ショックアブソーバーの限界超えやがった…」

「なるほど。これまでの手応えの無さは、下に着ている防具で打撃力を吸収されていたのか」


 かなりの高性能のものだったのだろうが、賢也の渾身の一撃には耐えきれず吸収材が破裂したようだ。


「くそ、くそ、ヤバい。ヤバいぞ。父さんに怒られる…」

「父さん?」

「そうだよ。武器、防具の宣伝になるからって、新商品を預かってきたのに、宣伝どころか、人間に壊されたら、対怪物になんて使えないって悪評がついちまうじゃないか」

(そういうことか。道理で実力に武器が見合ってなかったのか)

「残念だったな。なら、これで終わりだ」

 賢也は、最後の攻撃をしようと剣を振り上げた時、

「こうなったら。どうにでもなれ」


 虎居が後ろに走り出した。


「往生際の悪い奴だ」


 賢也が追いかけようとした時、虎居が振り返る。背中から何かが出てくる。


「あれは?」


 大会では使用禁止になっている重火器のように見える。


「これでも喰らって、死んじまえー」

 虎居が引き金を引く。バスッと鈍い音と共に、ミサイルが発射された。


「実弾だと。避けたら観客が死ぬじゃないか」


 観客達が悲鳴をあげる。


「ひゃはははは…」


 虎居は狂ったように笑っている。


「最後の最後まで世話が焼ける」


 賢也は後ろに下がると、ミサイルが武闘場の中央付近に来た時、飛燕を放ち爆発させた。


「虎居選手、重火器及び実弾の使用により反則負けです!」


 進行役が虎居の反則負けを告知するが、虎居は構わず次弾を放った。


「あいつ、マジか!」


 賢也は、すぐに次弾も飛燕で爆発させる。


「ひゃははは」

「まずい、あいつ気が狂っている」

(ミサイルは残り何発だ?)


 また、虎居は撃ってきた。賢也は、ミサイルに突っ込んでいく。当たる直前で躱し、やり過ごすと走りながら、飛燕を放ち爆発させ、そのまま虎居の元に着く。虎居は、至近距離でミサイルを発射した。


「ちっ」


 賢也はミサイルランチャーを斬り使えなくすると、虎居を薙ぎ払い爆発の影響を受けないように吹き飛ばすと、ミサイルを斬り落とした。ミサイルが爆発する。悲鳴が飛び交う中、煙が晴れると、そこには無傷の賢也が立っていた。悲鳴が歓声に変わる。


「うわー。すげぇー」


 吹き飛ばされた虎居は、気絶していた。


「やっと終わったか」

「龍崎さん、大丈夫ですか」


 進行役が心配になり、賢也の元へやって来た。


「ああ、大丈夫です。心配いりませんよ」

「無傷なんて凄いですね」

「まぁ、何とか無傷で済みました。次の試合があるでしょうから、もう退場しますね」


 賢也は、武闘場から出ていった。


 武闘場から出ると、綾乃達が待っていた。


「あなた、ミサイル当たって平気なの?」


 綾乃が心配そうに尋ねる。


「当たってないから、大丈夫だよ」

「え。だって爆発したじゃない」

「命中する前に斬り落としたのさ」

「その模擬刀で?」

「ああ。俺や師匠が使えば、模擬刀でも斬れるよ」

「凄いね」


 綾乃は真剣な顔して、感心していた。


「よし、ホテルに戻るか」

「いいの?次、準決勝でしょ。対戦相手の試合見ないの?」

「ああ。構わないよ。どんな相手が来ても負けないさ。任せておけ」


 賢也は胸をドンと叩く。


「でも、次はまともな相手だといいけどな」


 1、2回戦の相手が相手なだけに次こそはまともな試合であって欲しいと願う賢也だった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


今後もよろしくお願いします。


良ければ、感想や評価もよろしくお願いします。

今後の励みになるので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。