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VRMMOのトッププレイヤーはリアルでも最強になりました  作者: 陽月純
第1章 黒死竜討伐編

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20.怪物の正体と隕石

賢也が空の怪物退治に向かっていた時、協会本部は政府の依頼を受け、Cランク以上の高ランクハンター20名の構成で、富士の樹海に落ちた隕石の再調査を行っていた。

 すでに隕石が落ちてから3年以上が経過していたが、怪物達への対応力も上がって来ているため、再調査に踏み出したのだ。


 富士の樹海に入ると、隕石落下直後と違い、怪物が徘徊していた。隕石の落下地点までに何体かの怪物を討伐し、到着した調査隊だが、付近には、隕石が落下した時に出来たと思われる穴が開いているだけだった。


「隕石も過去の調査隊の跡も何も無いな」

「ここで間違いないのか?」


 調査隊のほとんどのメンバーは何もない落下地点に着いて、場所を間違えたのではないかと思っていた。そもそも隕石が落ちた座標が違っていたから、過去の調査隊も樹海に迷ってしまって行方不明になったのではないかと。


「よし、5人1組で4チームに別れて、付近の捜索をするぞ。2時間後にここに集合だ。何かあったらすぐに連絡しろ」


 調査隊の隊長が指示を出す。各チームが別れて捜索に出るが、何処にも隕石、調査隊の痕跡は無かった。2時間が経ちそれぞれのチームが元の場所に戻ってきた。


「何かあったか?」

「いや、何もない。というより無さすぎる。ここに来るまでは、怪物もいたのに、ここに来てからは怪物も1匹もいない。何かおかしくないか?」

「確かに。生き物の気配がここら辺だけ全く無いな」

「何か嫌な感じがする。さっさと撤収しないか」


 各チームのリーダー達が捜索の結果を報告していた時、辺りが突然暗くなった。


「何だ?」

「おい、上を見ろ!」


 その声を聞いて、全員が上を見上げる。そこには、ゲームで出てくるドラゴンのような姿をした黒い巨大な怪物がいたのだった。

 全員一斉にドラゴンに攻撃をするが、傷一つ付いていない。


「おいおい。あれはヤバいぞ」


 ゆっくりとドラゴンは降りてきた。地面に着くと調査隊全員の頭に直接声が響く。


(貴様らは、我の分身がまだ意のままに出来ていないのか?我は喰らう者。全ての生命を喰らう者。この惑星の全ての生命は我の物。さぁ、生命を我に差し出せ!)


 ドラゴンが翼を広げ、口から炎の球を吐き出した。ドガーンと爆音が鳴り響く。


「撤退だ!各自、散開して撤退しろ!生き延びることが出来た者は、この事を協会に報告するんだ!」


 全員が散り散りになって逃げ出す。


(無駄だ。我からは逃れられない)


 ドラゴンから黒い霧が吹き出した。


「何だ。この黒い霧は?」


 霧に触れたハンターの体が溶け始めた。


「うわぁ。体が、体が溶けていく」


 溶けて出来た液体がドラゴンの体に吸い込まれていく。


「こいつが、全ての元凶か!」

「駄目だ。これじゃあ全滅してしまう」


 ハンター達は次々と溶けて吸い込まれてしまった。辺りに人の姿が見えなくなると、ドラゴンは黒い霧を吸収して、飛び去ってしまった。

 ドラゴンが飛び去った後には、何も残っていなかった。


 調査隊は全滅したと思われたが、地面から1人の男が、這い出てきたのだ。


「た、助かった。たまたま、穴に落ちたから霧から逃れられたぞ」


 男は、辺りの様子を伺い、ドラゴンの姿が見えないのを確認すると、急いで協会本部へと引き返した。


 一方、賢也の所属する支部の研究者が本部に自分の確認した研究結果を報告に来ていた。


「以前に発生した怪物の群れの死体を解剖していた際、これを発見しました」


 研究者が資料を見せる。


「これまでの怪物の死体からは、未知のDNAが確認され地球上には存在しない生物としか認識されていませんでしたが、これは、犬のDNAです。やはり怪物は、地球上の生物が変異したものでした。そして、ここからです。怪物化していない犬を調べた結果、未知の生物?ウィルス?が見つかりました。説明上、ウィルスとします。恐らく、このウィルスが、宿主の遺伝子を組み換え、別の生物に変化させていると推測しています」

「未知のウィルスが生き物を怪物に変化させているだと?」

「そんな事があるか。そんなウィルスなど聞いた事も無い」

「ですから、地球上には存在しない、宇宙から来たと思っているのです。そう、あの隕石ですよ。全てあの隕石が落ちてから始まっているのは明白のはず」


 研究者が必死に説明をしていた時、1人の男が部屋に慌てた様子で入ってきた。


「会議中に失礼します。今、隕石の再調査隊の方が、戻って来ました。報告したい事があるそうですが、いかがいたしますか?」


 隕石の再調査結果なら今の報告の裏付けになってくれるはず。

 研究者は、自分の報告よりもそちらを優先すべきと考えた。


「その方をこちらに。私の報告はその方の後に続きを報告します」

「では、連れて来なさい」


 報告に来た男に研究者達のトップが指示を出す。5分後、調査隊員が部屋にやって来た。


「報告します。まず、調査隊は私以外の者は、全滅しました。」


 部屋中がどよめく。報告は続けられた。


「隕石は、落下地点にありませんでした。過去の調査隊の痕跡も。代わりに、黒い巨大なドラゴンが。そのドラゴンに調査隊は壊滅されてしまいました」

「ドラゴンだと?ゲームじゃあるまいし」

「そのドラゴンにはこちらの攻撃が一切効かず、傷一つ付ける事は出来ませんでした。そして、そのドラゴンはこう言ったのです」


 調査隊員は、一瞬間を取ると、


「奴は自分の事を喰らう者だと名乗っていました。そして、お前達は分身が意のままに出来ていないのか。この惑星の生命は自分の者だ、と」


 研究者が立ち上がる。


「ちょっと待ってください。分身と言いましたか。そして、この惑星と!」

「はい。そう言っていました」

「研究局長!彼の報告内容は、私の報告内容を裏付けてくれています。この惑星と言ったという事は、宇宙からやって来た。そして、分身、これが例のウィルスですよ」

「ほう」

「つまり、そのドラゴンが宇宙からやって来て、地球上の生物の生命を喰らうために、自身の分身体をばら蒔いた。その分身体がウィルスとして、感染した生物を変異させ、怪物化する。この怪物は恐らく、他の生物を喰らい成長し、本体のドラゴンが分身を喰らう事で、本体自身も力を得るのではないかと推測します」

「つまり、そのドラゴンが全ての元凶で、それをどうにかしないとこの状況は変わらないと言いたいのだな」

「はい。そして、このウィルスは恐らく、人も感染すると思われます」

「そうだな。ドラゴンの言葉が本当なのであれば、人も例外ではないだろう」

「何という事だ。死を招く黒い竜か。よし、そのドラゴンを黒死竜と呼称する。これを最優先の討伐対象とする」


 再調査隊の報告、研究者の報告から全ての元凶が黒死竜であると断定した。


「お前は引き続き、そのウィルスの調査を続けるのだ。ウィルスに薬が効くのか分からないが、怪物にならないように、予防が出来ないか、また感染したものを元に戻せないか」

「分かりました。全力を尽くします」


 研究者は、会議室から出ると支部局にある自分の研究室に帰っていった。


 研究者が出ていった後、調査隊員は、問いかける。


「あれを討伐するって、どうするつもりですか?私達は20人掛かりでも、傷一つ付けられなかったんですよ」

「強力な武器の開発と強いハンターが必要だな。ランクではなく、実力のあるハンターが」

「今のAランクで扱える武器じゃ歯が立たなかったですよ。それ以上の火力が。Sランクの武器でもそんなに変わらないと思います」

「そこは武器開発局の連中に任せる。さて、ハンターの実力を調べるにはどうするかな?」

「こういうのはどうですか?」

「何か良い考えでもあるのか?」

「ハンター達の武闘会を開くのです。本当に強いハンターも分かるし、何より盛り上がるじゃないですか。みんなの不安も吹き飛ぶんじゃないですか」


 調査隊員は、意見を言いながら楽しそうな顔をしている。


「ほう。それは面白いな。武器の開発にも費用が掛かるし、賭けも出来るように、政府に掛け合うか」


 その日の夜、ニュースで黒死竜の存在、怪物は生物が変異したもの、人も怪物化してしまう可能性がある事が報じられた。

 このニュースを聞いた人々は、不安に駆られた。自分自身が怪物になるのではないか、周りの人間が怪物何じゃないか、大事なペットが怪物になってしまうのではないか。

 ハンター達も怪物の討伐がやりづらくなったと感じていた。

 だが、討伐しなければ、他の人達が怪物の餌食になってしまう。殺らなければ、殺られる。早く元凶をどうにかしなければ。ほとんどのハンターは、そう決意をするのだった。


 そして、翌日、協会はハンター武闘会の開催の発表をする。

 参加はランク制限無し。予選、本選に別れ、本選は賭けもありという内容であった。

 この武闘会は、1ヶ月後に開催するという。かなり急な話になっていた。協会のトップとしては、早く黒死竜討伐の選抜をしたいという思惑があったが、ハンター達はその事を知らない。その為、祭りのような武闘会に不参加の声が多く上がっていた。ハンターランキング1位の甲斐もその1人だった。協会としては、参加者が1人でも多くでるよう、各支部に所属するハンターに不参加のハンターの説得を依頼した。


 そんな中、賢也も、


「賭け?何か遊びみたいで参加しなくてもいいかな」


 不参加にしようと考えていた。そこに、支部局から連絡が入る。賢也には必ず参加して欲しいという事だった。


「うーん。気が乗らないんだけど」


 参加を渋る賢也に、綾乃が賢也の背中を押した。


「参加したら。あなたの強い所を私達に見せてよ」

「お前が言うなら、しょうがない。参加するか。参加するからには、優勝目指すかな」

「頑張って。きっと優勝出来るよ」


 賢也は支部局に参加すると返信した。


「1ヶ月後か。まぁ、腕試しにはなるかな」


 自分自身、かなり実力は付いたと思っている。賭けの対象になるというのは、気に入らないが、出ると決めた以上は、手を抜かず全力で挑もうと心に決めた賢也だった。


 武闘会開催の発表が出て2週間後に詳しいルールの発表が出た。


 1.実弾、実剣の使用は禁止。

 2.使用している銃の使用は可。但し、模擬弾(ゴム弾)の使用とする。模擬弾は貸し出しするため、必要な弾数を事前に申請する事。

 3.重火器の使用は禁止。

 4.剣の使用者には模擬刀を貸し出しするため、事前に申請する事。

 5.予選はバトル・ロワイアル形式で16ブロックに別れ、各ブロックの1位が本選へと出場する。勝敗は、エリアからの場外、気絶した場合に敗者となる。

 6.本選はトーナメント方式

 7.本選は降参、気絶した場合に敗北とする。

 8.相手の武器を破壊した場合の修理については、協会が負担する事とする。

 9.優勝者には賞金5000万と開発中の最新武器の使用権を授与する。

 

 ※会場には、普段使用する武器も所持すること。予選落ちしたハンターには、会場の警備を依頼する事もあり。


 この案内により、優勝賞金目当ての参加者が増加し、総勢3000名を越える大規模な大会となった。


 そして、大会当日を迎える。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


今後もよろしくお願いします。


良ければ、感想や評価もよろしくお願いします。

今後の励みになるので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポ良く進む展開が心地良い [気になる点] 天下一武道会で読み飽きないか心配 [一言] 秋田の師匠を使って、強ハンターを増産するルートが一般的だと思うのですが…
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