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精霊王の子って退屈すぎない?  作者: nanon
王都へ
11/19

小さなパーティと幻獣

僕とモルダはだいぶ歩いたので休憩することにした。妖精や精霊はこの程度で疲れたりはしないが、甘いものが食べたくなったんだから仕方ない。


僕はえいっと空間に手を突っ込んだ。

僕は大体何でもできる、こうやって時空を歪めて、食べ物を入れても腐らない、重くない、荷物にならない空間だって造れる。


モルダは目をキラキラさせながら僕を見ていた、ふふん!こういう視線が嬉しいんだよね~。

「モルダ、ここで少しお茶の時間にしようか!」

『はい~了解です!』

僕はパンケーキと紅茶を出すと、モルダは木々を成長させてテーブルと椅子のようにした。これも悪くない…。と、出しかけていたテーブルと椅子をしまった。


気づくと、周りに妖精が集まっていた。

『愛子様~私にもー!』

「はい、どうぞ~ゆっくり食べるんだよ」

『もぐもぐ』


『……』

な、何だろう。モルダがじっとこちらを見てるんだけど。あ………

「モルダ、あーん」

『!!!!』

一瞬キョトンとしたモルダが直ぐに気づき真っ赤になりながら口を開ける。

『もぐもぐ…』

嬉しそうな顔でパンケーキを噛み締めていた。

「あはは」

バササッ

肩に小鳥がとまる。木のテーブルには兎や小鳥、リスの様な小動物が集まり、妖精も集まった小さなパーティになった。


僕はありったけの果実を出して振る舞い、妖精と楽しく話していた。

突如頭に響く声。

《っ!!!―!! いた…………ぃ!》

「!!」

ガタッ


何だ? これは……念話?

突然頭に響いた声に妖精たちも驚いていた。

『ディアン様、私が!』

と、声のする方に行こうとするが、僕も気になる。

「僕も行く。」

『…』

行った先に何があるのかわからない状況に僕を連れて行きたくない、とモルダは目で訴えるが、僕も気になる。

「行こう」

僕が頑なだったため、モルダはフーと息を吐くと諦めた様子で。

『はい!』

と元気に返事をしてくれた。


10分ほど60キロほどの速さで走っていると、何か力の強い生き物の気配を感じた。

『ディアン様』

「うん。」

近づくにつれ、気配が大きくなる。

ガサッと茂みを抜けると、血まみれの黒い何かが倒れていた。


《怖い、痛い、熱い、怖い、》

そんな声が繰り返し聞こえてくる。

『ディアン様』

「うん」

モルダも気づいたようだ。血まみれの何かは、2メートルくらいの大きな鳥型の幻獣だった。

幻獣とは、幻の獣でお伽話の中の存在とされる。ここ、1000年は見かけることもなかったらしい……。あとから追いついた妖精が口々にそう言っていた。僕は、精霊の国でよく見かけてたまに遊んだりしていた。他にも、神の遣わせた獣と呼ばれる神獣もいる。今ではお伽話でもあまり語られない存在だ。神獣は、神の遣いだと人間は言うけれど僕は神を見たことがないし、きっと人間からしたら僕の父上がそういう存在なんだろう。

《だ、れ……》

幻獣は僕達の存在に気付いたのか警戒しながらうっすら目を開けて念話で話しかけてきた。

「僕はディアン。精霊だ、君は幻獣だろう。どうしたんだその怪我は…」

あちらこちらから血が流れていた。放っておけば危険だろう。

《精霊、僕は油断して人間の罠に嵌ってしまった。それでできた傷。うぅ…痛いぃ……》

そういいながら警戒を解いた。信じてくれたようだ。念話ではだいぶ威厳を込めているが、その様子では限界も近いだろう。それに傷が、痛むようだ。


僕はそっと近づくき幻獣に触れ、手のひらに力を込めた。

すると幻獣は光に包まれた。

《なに!?》

光から現れた幻獣は傷一つない美しい姿だった。

「僕が治したんだ。」

《何で!!!》

「目の前で死にかけてる奴がいたら助けるさ、それに放っておいて死なれたら、妖精に嫌われちゃいそうだからさ。」

『ディアン様の事を嫌うなんて事絶対にありえません!』

『そうだよー』

『そうそう』

と、モルダと妖精達は言ってくれたので嬉しかった。

《君ディアンというの………ディアン?  精霊王様の子?》

「そーだよ」

《なっ!! 何でそれを言わない!!》

と、幻獣は頭を地面につけて低い体制になった。

「え!? なにしてんの?」

急にどうしたというんだ。


《知らなかったのですか、幻獣は精霊王様によって生み出された存在。精霊王様は幻獣の代々の主。そのお子となれば、それはまた守るべき存在であり主になる。》

急に丁寧語になってそんなことを言い始めた。


「何それ、初めて知ったよ…」

なんだ?父上は幻獣を創ったのか? そんな事ちっとも、教えてくれなかったのに! 次に会うときに聞いてやる!

《そんなディアン様に治して頂けるなんて光栄の極みです!!!!》

興奮で震えているようだ。

すると、モルダがなにかぼそぼそと言い始めた。


『なんて羨ましいやつだ、私も…怪我をすれば………』ボソボソ

「いやいやいや! モルダ、そんなことしちゃダメだよ!!」


モルダはコクっと頷いたが…顔が少し黒い笑みだぞ…

本当にしないよな?大丈夫だよな?



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