第三十四話『オッサンパワー』
朝が来た。二人で泥酔したまま、アジトへ戻る。
アジトの扉を開けるや否や、ギルは朝まで作業していたのか、目の下に軽いクマを付けて飲みかけのコーヒーをデスクの上に置いていた。これから寝るのだろう。
「よーおかえりぃー! ギルちゅわーん」
「ただいまだろ……てか、酒クサッッッ……」
ギルは驚いた顔で、『まさかお前ら……』って顔をしている。
「なによぉ……その顔ぉ……」
リンコは電池の切れたロボットみたいに、地面へ倒れそうになっている。ギルがそれを見て、すかさず扉の前へ行きリンコを抱え、そのままお姫様だっこで、ソファーの上へと運んで行った。
「お前が介抱してやれよ……なに一緒になって飲んでんだ……」
「へへえっ~!! わりぃわりぃ……」
「男として0点だな……」
頭を抱えて、大きなため息をつくギル。
「よげいなお世話だっでーの。うっ──」
「お前アジトで吐くとかやめろよ」
「でーじょぶ。今のしゃっくり~(笑)」
と、オッサン全開で気持ちよくなる。ギルはオレのことなど構わず、リンコに薄い布みたいなものを被せ、スマートな紳士みたいだ。こいつはオレとリンコのことを煽ってきたけど、今この光景を見てるといい加減なオレよりもこいつらの方がお似合いに見える。
「もうお前らが付き合えよー」
「はぁ……」
「なんでゃあ? そのため息!?」
「今のお前は好きな人に素直になれない小学生みたいな、そのまま歳だけくって、酒飲んだみたいな野郎だな。オッサン小学生」
「全然好きくねぇし!」
「はぁ……」
「ため息やめろし~」
はぁ……オレも眠い……。ダメだ。もう限界……。床に敷布団でも敷いて寝よう。っと、その前に。
「セネカは~?」
「ああ。今アジトのシャワー浴びてる」
今気づいた。確かにシャワーの水音が遠くから残響している。
『じゃあ、オレ寝るから、あとよろしくー』とオレが言うと、
『なんで朝まで作業してたオレが労われず、お前を労わないとダメなんだよ』と、絶望した表情でオレを睨んだ。知らん! 眠い!




