第十八話『死の真相』
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──あの日、リンコが学校で普段通りの講義を受けていたその時間。
ベリアル大聖堂の奥、一般の信徒は絶対に近づけない教皇専用の執務室のさらに奥に、その『監視部屋』はあった。
部屋の壁には、下層市民たちが涙を流して罪を告白する『懺悔室』の音声と生体ログを、完全にステルスで受信する大型のモニター端末が並んでいる。
懺悔室の内部はいつも通りの薄暗い小部屋で、信徒たちは壁の向こうの教皇がまさかハイテクな機械で自分たちを覗き見ているとは夢にも思っていない。信徒が『救ってください……』と祈りを捧げるたび、信徒たちの通信端末や座席に仕込まれた不可視の吸光スキャンが、1ミリのノイズも立てずに生命エネルギー『エーテル』を静かに吸い上げていく。
吸い上げられたエーテルが、王宮のサーバーへと無機質に転送されていく数字のカウントだけが、この教皇の部屋のモニターで静かに跳ね上がっていた。
「ククク……素晴らしい。愚かな羊どもめ。絶望すればするほど、お前たちのエーテルは輝きを増す。神などこのアトランティスのどこにもいないというのに、実に見事な搾取システムだ……」
クロムウェルが手元のワイングラスを傾け、冷酷な笑みを浮かべた、その時だった。
部屋の入り口、防音扉のわずかな隙間から、ハッと息を呑む微かな気配が漏れた。
「……誰だ」
クロムウェルが鋭い視線を向けると、そこには、教会の裏に潜入し、信徒のデータが王宮へ横流しされている決定的なモニター画面を目撃してしまったライラの姿があった。
ミサが始まる直前、都市伝説の裏取りのために大聖堂を調べていた彼女は、ついに教会の『本物の闇』の現場を踏んでしまったのだ。
しまった、とライラが後ずさりした瞬間、部屋の自動生体センサーが彼女の侵入を検知し、静かに警告灯を灯す。
クロムウェルは、冷酷な爬虫類のような目でライラを見据え、低く、楽しげに笑った。
「……見たな、シスター」
その声が響くと同時に、背後の暗闇から、王宮直属の漆黒の法衣をまとった暗殺者たちが、ライラの退路を完全に塞ぐように、音もなく立ち塞がった──。




