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familyーエルドラン編ー  作者: K.Dameo'n'AI


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3/22

あんたはどうしたいのよ

牢の前に立つ騎士団長を見上げながら、トモエは腕を組んだ。

「ねえ……あんた、本当に今の王国がいいと思ってるの?」

騎士団長は眉一つ動かさない。

「……答える必要はない」

「それが答えになってるわよ。……いいとは言わないって」

「…………」

「街も城もボロボロで兵の皆は疲れ切ってる。逆に言うと、あんな汚い男の下で働くことに納得してる人間って、一人でも居るの?」

「……喋るな」

短く言い捨て、騎士団長は踵を返した。

トモエはため息をつく。

「頑固ねぇ……」


さらに数日が過ぎた。

牢の奥で座っていた青年――エルディオが、突然激しく咳き込み、そのまま倒れ込んだ。

「ちょ、ちょっと! 大丈夫!?」

トモエは慌てて駆け寄り、額に手を当てる。

「あんた、ちょっと、なんで黙ってたのっ! 熱出てるじゃない!」

トモエは鉄格子を叩きながら叫んだ。

「誰かー! 来てー!」

駆けつけた兵士は狼狽える。

「ど、どうした!」

「この子、熱があるのよ! お水と布っ。あと、寝かせる場所を――」

「で、ですが……許可がなければ……!」

「許可とか言ってる場合!? 死んじゃうわよ!」

兵士が困惑していると、重い足音が近づいた。

「……何事だ」

騎士団長だった。

トモエはすぐに説明する。

「この子、熱があるの! ちゃんとした場所で寝かせないと!」

騎士団長は短く息を吐き、鍵を開けて牢に入ってきた。

「おかしな真似はするな」

「しないわよ!」

騎士団長は王子の額に手を当て、静かに目を伏せた。

「……長くはないな」

「はぁ!? 何言ってんのよ!」

トモエは即座に否定した。

「ただの風邪が悪化しただけよ!数日ちゃんと寝かせて、栄養つければ治るわよ!」

「……お前は医者か」

「違うわよ! でも、あんたも医者じゃないでしょっ!」

トモエは胸を張った。

「でも、こんなのは誰だって分かるわよ! 風邪だって!」

騎士団長は冷たい目でトモエを見る。

「……信用できんな」

「ちょっと待ちなさい!」

去ろうとする騎士団長の背中に、トモエは怒鳴った。

「こんな若い子が、治る病気で死んでいくのが、本気でいいと思ってるの!?」

「王が出すなと言った。王の命令は絶対だ」

「王様王様って……あんた、自分はないの!?」

その言葉に、騎士団長の表情がわずかに揺れた。

「……黙れ」

低い声とともに、騎士団長は一歩、また一歩とトモエへ歩み寄る。

威圧感が空気を押しつぶすように広がった。

だが――。

「そんな威圧、効かないわよ!」

トモエは拳を握りしめ、勢いよく振りかぶった。

「あんな小汚い男に従ってるあんたなんかっ……怖くないのよ!」

――ぱしん。

トモエ的には“軽くビンタ”のつもりだった。


だが。


「……っ!?」


騎士団長の身体が、まるで大砲で撃たれたかのように吹き飛んだ。

床を滑り、壁に背中をぶつけて止まる。

牢の外の兵士たちが悲鳴を上げた。

「き、騎士団長ぉーーーっ!?」

当の本人であるトモエも驚き固まる。


「……あら、やだっ。あんたそんなに軽かったの? ごめんなさいねっ」

騎士団長は壁にもたれたまま、信じられないものを見るようにトモエを見つめていた。




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