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familyーエルドラン編ー  作者: K.Dameo'n'AI


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23/24

神や仏以上に私は許さない

医務室の入り口扉の傍。


フェルナンは壁にもたれ、膝を抱えて座り込んでいた。


「……ぅぅ……」


山頂での戦いから数日。フェルナンはずっとこの調子だった。


何も食べず、誰とも話さず、ただ膝を抱えて、自分の世界に閉じこもっている。


トモエが何かを作って持ってきても――。


「っ……!」


手を弾き飛ばす。


床にぶちまける。


あるいは、無視して放置する。


「…………」


トモエは叱らない。


怒らない。


責めない。


ただ無言で片付けて、フェルナンの近くに座る。


「…………」


そして、そっとフェルナンの肩に触れようとしては、触れられずに手を引っ込める。


トモエも数日、フェルナン同様同じ行動の繰り返し。




「ぅぅっ……………」


小刻みに震えるフェルナンの肩。喪失から、理由に彷徨い、結果、自分を責め続ける痛み。




「ふぅ……」




トモエは静かに息を吐き出すと、立ち上がる。




「……………」




まっすぐ前を向き、医務室の扉を開けると中へ入っていく。






奥へ一歩、また一歩と歩んでいく足音だけが、静かな部屋に響く。




「…………」




そして――たどり付いた先、そこには、上体に包帯が巻かれた痛々しい姿のレオンが横たわっていた。


医師の診断によると、出血多量で助かる望みは薄く、今生きているのも不思議なほどだという。




「…………」


トモエはレオンを見下ろし、拳を握りしめた。


「許せないわね……グランドも……」


トモエの声は怒りで震える。


「妹をほったらかして死のうとしてる……あんたもっ!!」




言うと同時にトモエのビンタがレオンの頬にクリーンヒットした。




レオンの首がぐりんと曲がり、身体が浮き上がって、そのままうつ伏せに転がる。


「っ……た……」


微かに、声が聞こえ、トモエは目を丸くした。


「あら、やだ。本当に生き返ったっ?」


レオンは呻きながら、かろうじて言葉を絞り出す。


「……しに……そう……だ……」


その声は弱々しく、だが、確かに“生”を掴んでいた。


「はぁー……ったく」


トモエは大きく息を吐き、レオンの背中にそっと手を置く。


「馬鹿……死ぬなんて許さないわよ。神や悪魔が許しても、わたしは許さないんだから」


その声は、怒りと、悲しみ……そして――安堵と愛情に満ちていたのだった。



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