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familyーエルドラン編ー  作者: K.Dameo'n'AI


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18/24

現実は厳しい……のよね

深夜。

レオン、フェルナン、トモエ、そしてグランドの四人は、竜の山脈へと続く山道を登っていた。


“始の日から七の日が経った明朝”――。

つまり、明日の朝に何かが起きる。

それまでに山頂のグルド祭壇へ辿り着くには、今から登らなければ間に合わない。

月明かりだけを頼りに、険しい山道を進む。

「いやぁ……きついわね……」

トモエは息を切らしながら、杖代わりに拾った枝をつきつつ歩く。

レオンとフェルナンは息こそ乱れていないが、額には汗が滲んでいた。

「…………」

そして先頭を歩くグランドは、まるで散歩のような軽快さで、歳も疲れも感じさせずに突き進んでいる。

「……私より年上なはずなのに……なんであんなに元気なのよ……」

最後尾からグランドの背中を見つめながら、トモエはぼそりと呟いた。

「グランドは、山岳戦の経験も豊富だからな」

レオンが前を見たまま答える。

「影守として山を走り回っていたフェルナンも、あれくらいの体力はあるだろう」

「はい。1日3度上り下り繰り返す訓練もしてたので……」

フェルナンは少し照れながらも、しっかりとした足取りで歩いている。

「凄いわね……。いや、ねぇ……登山って嫌いじゃないのよ。ただ……この歳で夜中に山登りは、ちょっと……」

トモエは腰に手を当てて伸びをする。

「お、お母さんっ。む、無理はしないでっ」

「大丈夫よ。フェルナン。あんたが、いや、あんたたちが倒れたら、私が担いで帰る羽目になるんだから」

その言葉に、レオンとフェルナンは思わず苦笑する。

そんな中、先頭のグランドが振り返る。

「この先は、道がさらに険しくなります。足元にお気をつけを」

「はぁい……」

トモエは返事をしながらも、『あと5歳若ければ走ってでも登れるのに……』等と考えつつ、心の中でため息をついた。






空が白み始め、山頂が近づいてきた頃。

トモエとグランドは並んで歩いていた。

夜明け前の冷たい空気の中、足音だけが静かに響く。

「ねぇ、グランドさん。貴方……お子さんは?」

突然の問いに、グランドは少しだけ眉を動かした。

「……喋らぬ方がよいのではないか?」

「喋ってる方が気が紛れて楽なのよ。黙って歩いてると、余計に疲れるわ」

「……そうか」

グランドは前を向いたまま、静かに言った。

「一人目が男。二人目が女の……二人だ」

「いいじゃない。兄妹がいたら賑やかでしょ」

トモエが笑うと、グランドも微かに口元を緩めた。

だが、その目はどこか悲しみを帯びているように見えた。

「……なに? まさか私、聞いちゃダメなことを……?」

トモエが立ち止まりそうになると、グランドは静かに首を振った。

「息子は生きている。王国から離れた村で家族もできて、平穏に暮らしている」

「そう……じゃあ、娘さんは……。ごめんなさいね、思い出させて」

「気にするな」

グランドは淡々と続けた。

「娘は……私と同じ道を選んだ。同じ騎士団長まで上り詰めて、な。だが……剣を握る道を選んだなら、立場は関係ない。死ぬときは死ぬ」

その言葉は、あまりにも静かで、あまりにも重かった。

「…………」

トモエは胸が締めつけられるような感覚に襲われる。

ここに来てから、危険な目に遭いながらも、どこか「自分は大丈夫」と思っていた。



でも――この世界の兵士たちは、毎日、命の隣で生きている。

娘を失った父親の言葉が、その現実を突きつけてくる。


トモエは何も言えなくなり、ただ、静かに歩き続けるしかなかった。



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