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familyーエルドラン編ー  作者: K.Dameo'n'AI


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17/22

現場に100回は行きたくないわね

 レオン、エルディオ、グランドはアーヴェルの私室へ向かい、トモエとフェルナンは文官フレアの部屋を調べていた。

「怪しい物なんて、大体は片付けられてるのよねぇ……」

トモエはフレアのデスクを覗き込みながら呟く。 フェルナンは本棚の前で立ち止まり、一冊の本に手を伸ばそうとした。

「待った」

「ひゃっ……! な、なに、お母さん……」

「今は今は“お母さん”はやめておきなさい。外に兵士さんもいるんだから」

フェルナンは真っ赤になって口をつぐむ。 トモエは本棚を鋭い目で見回した。

「本棚ってね……読んでない本の前には埃が溜まるものなのよ」

「 埃……?」

「そう。逆に、埃がない本の前は――」

トモエは埃が薄くなっている一冊を引き抜いた。


「この本だけ、よく読んでたみたいね」

フェルナンも顔を寄せてくる。

トモエは本を開いた。

「……やっだ、これ。えっちなやつ!?」

挿絵が多く、しかもそのほとんどがあられもない女性の姿。

「 ふぁ……あ……ひゃ……ひゃぁ……!」

「フェルナンは耳まで真っ赤にしてあわあわしている。 まったく……男ってのは……」

トモエはため息をつきながら、本を逆さにしてパラパラと振ってみた。

「あー……外れね」

怪しい紙切れや暗号のメモは落ちてこない。

「ふぅ。……そんな簡単にはいかないわね」

「トモエは本を閉じた。 まあ、現場100回って言うし……」

「現場……100回……?」

フェルナンは首を傾げる。

「そうよ。現場に何度も足を運べば、何かしら見えてくるってこと」

「でも……現場って、水路? それとも、兵士が襲われた通路……?」

フェルナンが考え込み、トモエは腕を組み、ふぅと息を吐いた。

「 まったく分からないわね……」

その言葉は、静かに部屋に落ちていくのだった。









 

フレアの部屋とアーヴェルの部屋を調べ終え、一行は再び政務室に集まっていた。

レオン、エルディオ、グランド、フェルナン、そしてトモエ。

「 アーヴェルは不在だった。部屋も片付けられていて、めぼしい物は何もなかった」

レオンが報告する。

「そっちはどうだ?」

「問われたトモエは、鼻で笑った。

「えっちなやつしかなかったわよ。ね?」

「 ひゃっ……あ、あの……!」

フェルナンは耳まで真っ赤になって俯く。


その瞬間――。


「えっちなやつだと!? 妹にあいつは何を見せたというのだ!! 二度殺してやる!!」

レオンが机を叩いて立ち上がった。

「 まあ落ち着きなさいな。本よ本。ちょっと絵を見て赤くなっちゃっただけよ」

「えっちな本だと!? 三度殺してやる!!」

「だから、ちょっと落ち着きなさいっての!」

トモエがレオンの額を指で弾くと、レオンは「ぐっ……」と声を上げ、黙った。



その横で、エルディオが顎に手を当てて呟く。

「 結局……何も分からないまま、ですね……」

政務室に重い沈黙が落ちる。

その中で、グランドが静かに口を開いた。

「 ……フレアのことですが」

全員の視線が老兵に向く。

「 奴は、アーヴェルと深く関わっておりました。表向きは文官でしたが……裏で何をしていたかは分からぬ。必ず、何かあるはずです」

「トモエは腕を組む。 現場100回。……もう一度行くしかないわね」

そう言い、トモエが部屋を出るべく歩き出すと、赤く俯くフェルナンを押しのけ、レオンが続く。









「さて……他に見てない所……あるかしらね?」

フレアの部屋に戻ったトモエは腰に手を当て部屋を見回す。

「ここで……妹が……えっちな目に……っ!」

レオンは悔しそうに舌打ちし、本棚へ目を向ける。

「えっちな“目”って、流石に大げさよ」

トモエは呆れたように言いながら、散らかった部屋を見回した。

「まあ、フェルナンも年相応だからあるんじゃないの? うちの娘の部屋だって、怪しい部分はあったりするわよ?」

「 フェルナンはない! 妹は、剣と鎧と体術が好きな、健全そのものだっ!」

「 全っ然、健全じゃないわよ、それ……」

トモエはため息をつく。

「あなた達の境遇や、今の立場を否定はしないけどね。……街で仕事して、それなりに恋して、やがて結婚して、子供が生まれて家族を持つ……そういう暮らしの方が普通よ」

レオンは一拍置いて、静かに言った。

「 ……確かに、それはあるかもしれん」

だが、と続ける。

「意図せずえっちなものを見せられるのは違う。……あくまでも本人の意思でだ」

その真剣な顔に、トモエは思わず吹き出した。

「そうね。確かに、親の立場でもそう。分かってるつもりでも、子供の部屋の思わぬ発見は複雑な気持ちよ」

そう言いながら、トモエは散乱した白紙に目を留めた。

「……もしかして」

机に転がっている細長い木炭のようなものを手に取り、散乱する白紙の一番上にあたる紙をゴシゴシと塗りつぶしていく。


「何をしている?」

「こうして塗りつぶしたらね、この上で書いていた文字が浮かび上がったり……とか?」


トモエが塗り進めると、文字が浮かび上がっていく。


「……あらやだ……この世界で、こんなベタなことが」


トモエとレオンは思わず顔を見合わせた。

そこに浮かんだ文字は――。

 

『手筈通り、始の日から7の日が経った明朝。グルド祭壇にて』


「なにこれ?」

トモエが首を傾げると、レオンは目を見開いた。

「始の日から7の日……! 明日だ!」

「明日? その、グルド祭壇でなにかあるの? というか、グルド祭壇って何なの?」

トモエの問いに、レオンは答えた。


「竜の山脈にある祭壇だ。この国の守護神が祀られている聖域」


トモエは眉をひそめた。



「……守護神の聖域で、明日の朝って……絶対良くない事よね……」




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