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familyーエルドラン編ー  作者: K.Dameo'n'AI


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13/22

さすがにあんたはない……わよね。そうよね

その日の午後。

フェルナンと親子のように街を見て回ったトモエは、城へ戻るため門へ向かっていた。

すると――。


「………」

門のど真ん中で、腕を組んで立つ男が見える。


「っ………」

騎士団長レオンだった。


その周囲の空気は、まるで戦場。

通りかかった兵士が全員、距離を取っている。


「……あんた。妹の待ち方は考えた方がいいわよ」

トモエは苦笑しながら言った。

「なっ…………」

レオンはハッとしたように表情を緩める。

「そ、そうか? すまん。無自覚だ」

素直に謝るレオンに、フェルナンは嬉しそうに近づく。

「兄さん。聞いてくださいっ。今日はトモエさんと街の色んな所行きました!」

まるで子供のように報告するフェルナンに、レオンは滅多に見せない柔らかい笑顔を浮かべた。

「そうか。よかったな」

そして、トモエへ向き直り、深く頭を下げる。

「トモエ殿。礼を言う。こんな嬉しそうにしている妹を見るのは久方ぶりだ」

「いや、いいのよ。娘とデートしただけなんだから。ね?」

トモエとフェルナンが首を傾げ合う様子にレオンは固まる。

「娘……だと……?」

顎に手をやり真剣な表情で思案するレオンの肩をトモエは軽く叩く。

「悪いことじゃないんだから、そんな真面目に考えなくていいわよ」

「そうか。……では、無事が確認できたことだし、戻る」

レオンが踵を返そうとした瞬間。

「待ちなさい」

トモエが腕を掴んだ。

「他に用が?」

「今からこの子にご飯作るのよ。あんたも一緒に食べていきなさい」

「……は?」

「いいから、ほらっ。行くわよ!」

レオンの腕を引き、半ば強引に連れ立って、三人は城の食堂へ向かった。





暫くして、木のテーブルを前に座る、フェルナンとレオン。

そこへトモエが盆を抱えて戻ってきた。

「お待たせ。なんとか再現できたかしらねぇ。……まあ、そもそも口に合うかしらね」


盆には――白米、肉じゃが、味噌汁が二人分乗っている。


「わぁ……! なんかいい匂いします!」

「見たことない料理だな……」

「さ、冷める前に食べなさい。私は自分の分取ってくるから」

トモエが厨房へ戻ると、フェルナンは肉じゃがの肉を、レオンは味噌汁をそっと口に運んだ。


「……おいしい……」

フェルナンは目を潤ませた。


レオンはというと――。

「…………」

無言で目元を覆っている。


トモエが戻ってきて、その様子に気づく。

「あら、やだ。あんた……泣いてるの?」

「ゆ、湯気が目にきた……だけだ」

レオンは慌てて否定しながら、肉じゃがを一口。

「…………」

そしてまた目元を覆う。

「口に合ったなら私は嬉しい限りよ」

トモエは微笑み、味噌汁をすすった。


その時だった――。



「母上ーーーっ!! ずるいですよ! なんで僕だけ仲間外れなんですか!!」

食堂の入り口からエルディオの叫びが聞こえてきた。

「大丈夫よ。あなたの分もあるから――」

振り返ったトモエは固まった。

「えっ……あら、あんた達……も……?」

エルディオの後ろには、小隊ほどの兵士たちが整列していた。

「母上の料理が食べたいです!!」

「お願いします!!」

「俺も!!」

「私も!!」

トモエは頭を抱えたが、すぐさま顔を上げると、椅子から立ち上がる。


「よしっ。材料あるから、すぐ作るわっ!」

トモエは厨房へ全力疾走。


「ちょ、ちょっとケインちゃん! ポムくん! 手伝って! すぐ作るわよ!」


「はいっ!」

「任せてください! 腕が鳴るぜー!」

食堂は一気に戦場のような熱気に包まれた。


「ふっ……」

レオンは鼻で笑い、どこか嬉しそうにトモエを見る。

「正直言うと……母親を思いだしてしまった」

フェルナンも微笑み頷く。

「兄さんもですか。……でも、分かりますよ。凄く」

フェルナンとレオンはご飯を食べながら、エプロン姿でいそいそと厨房を動き回るトモエを微笑ましく見るのだった。




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