交渉?
いつもより多くなっちゃった(200字ぐらい)
差し出された木製のコップを、俺は警戒しながら受け取った。
「ああ、安心しろよ、毒なんて入ってないからな。のんびり飲めよ」
新しく手に入れた【虚偽感知】は発動しない
(嘘はついてない…毒なんて使わなくても俺なんて簡単に倒せると思ってるんだろうな)
水を飲み落ち着いたので俺は余計なことはなにも言わず
「……これ、いくらになりますか?」と聞きいた。
ハンスは俺の顔と学生服をじっと見比べ、フッと鼻で笑った。
「単刀直入に言うぞ。この服の価値はかなり高い、ここまで完璧な作りの服は見たことがない。俺では買えないほどな。だが、後ろ盾のないお前がこれを売ろうとすれば奪われるのは確実だな。最悪殺される」
(もしかして、俺を殺す気か!?いや、まて、落ち着け。焦っても良いことがないのはさっきわかっただろう。相手の言葉に嘘はない。それにこれから殺そうと思っているやつにはこんなこと言わないはずだ)
「あんたも俺からこの服を奪おうとするのか?」
俺がハンスにそういうとハンスは「ふっ」と笑った後
「そんなつもりはまったくないぞ。俺は子供にだけは酷いことはしないと決めているのさ。」
ハンスの言葉からはまったく嘘を感じない。つまりは本当にそう決めているのだろう。
「さあ、ここからが商談だ。俺が出せるのは大銀貨5枚と、そうだな……住む場所はあるか?」
「ありません」
「なら、店の2階に住まわせてやろう。5年は家賃なしでいいぞ。どうだ?」
「……普通の服でいいから3着ぐらいつけてくれ。」
「良いだろう。商談成立だ」
ハンスはそういうとカウンターの奥から茶色のチュニックとズボン、それと大銀貨5枚を持ってきた。これで当面の生活費と拠点は手に入れた。
(だが、確認しておかないといけないことがある)
「なあ、俺はトキという。あんたは?」
「俺はハンスという。ハンスさんでも、マスターでも好きに呼べ。俺はお前をボウズと呼ぶからな」
「……。なあ、オッサン。俺を利用したり、害そうとするつもりはあるか?」
俺がそう聞くとハンスはフッと笑って「そんなつもりはまったくない」と言った。
嘘は感じない。でも、ハンスは裏社会の人間だしばらくはロックオンしたままのほうがいいだろう。
すると、今度はハンスの方から話しかけてきた。
「仕事はあるか?ないなら、紹介してやろうか?」
「結構です。自分で探します。」
「ハッ、まあいい。仕事に困ったらギルドに行けよ。何かしらの雑用はあるはずだからな。まあ、とりあえず二階でのんびりしな部屋は上がって右の部屋だ壊さなければ好きにしていいからよ」
そう言いハンスは階段を指さした。ハンスの言葉にはまったく嘘がない。気味が悪いと思いながら俺は二階に上がっていった。
♢♢♢
その夜、ハンスはトキから買った制服を見ながら一人呟いた
「嘘をつくと罰を受ける、か。面白いやつだ……」
最後までお読みいただきありがとうございます
大銀貨5枚は平民が1人なら、4〜5ヶ月は贅沢をしなければ暮らしていけるかなぐらいの想定です。




