異世界の情報
説明回は長くなるのが相場だよね
「まあ、こんなところか……。」
路地裏の冷たい地面に這いつくばり、鼻水と涙で顔を汚したビリー。こいつには俺が知りたかったこの世界の情報を罰を与えるぞと脅しながら吐かせた。
(嘘をついていないか虚偽制裁を発動しつつ確かめたから間違いはないだろう。にしても……)
俺は自分の胸元−−仕立てのいい日本の学生服に目を落とす。ビリーが俺を襲ったのは、この「見たこともないほど上質な生地の服」が高値で売れそうだと思ったかららしい。
(まあ、たしかにビリーの服とは雲泥の差だよな。売るか、目立つだろうし、なにより金がいる。日本円は当たり前だが使えない)
俺は冷淡な視線をビリーに下ろす。
「おい」
「は、はいぃっ!」
「俺のことやここであったことを誰にも話すなよ」
「わかった。誓う!絶対、誰にも言わねぇ。いや、言いません。だから、もうやめてくれ!これ以上やられたら死んじまう!」
必死に首を縦に振るビリー。。
(殺しはバレたときに面倒だよな……)
「……行け。」
俺がそう言うやいなや、ビリーは一目散に路地裏の闇に消えていった。
(あれだけ怯えていれば、他人にしゃべることもないだろう。)
♢♢♢
路地裏を抜け、夜の街へと足を踏み出す。
見上げる空には、不気味に輝く2つの月。異世界に来たのだと冷たい夜風が改めて実感させてくる。
(ビリーから得た情報を整理するか)
歩きながら、頭の中でログを反芻する
ここは【サンタマリア王国】という国の貧民街。
国教は【聖光真教】で聖光神という男の神を唯一神として崇めている。
この世界には1000人に1人ぐらいの割合で【恩恵】という特別な力を授かるものが居る。曰く、【恩恵】は聖光神から与えられたものである、とのことだ。
(聖光神……男の神、か)
俺の脳裏に浮かぶのは、あの不敵に微笑んでいた自称・女神の顔だ。
俺に能力を与えたのは女神のはずだ。
(まあ、どうでもいいか。今の俺には関係ない話だ)
あいつが何を企んでいるかは知らないが、もう騙されて利用されるのは懲り懲りだ。
そんなことを考えているうちに俺は目的としていた場所に到着した。
「ついたな…【無名の秤】」
ここはビリーが俺からこの学生服を奪った後に売ろうとしていた店だ。ハンスと言う男が経営しており、貴重な物や珍しい物の買い取りや販売を行っているらしい。
「じゃあ、行くか……」
そう言って俺は店の扉を開けた。
お読みいただきありがとうございます。
ストックを作っておけばよかったと後悔している今日このごろ。




