51.5話
(神視点)
啖呵を切って転移した人間の残り香を感じながら、僕は頬をさすった。
「全く、人間のクセに無茶するんだから」
やれやれ、と両手をヒラヒラさせつつ、流れてきた鼻血を拭った。ここに残ったのは僕だけで、そのほかには何もない。さっきはカッとなっちゃったけど、惜しかったなぁ。
もう少し冷静になれてたらもっとお話しできたのに。⋯まぁ、あれはあれで楽しめたからいいかな。
人差し指と親指で輪っかを作り、足元を見た。輪っかの中には下界が広がっている。
車が道という道を走り、人が所狭しと歩いている。
「ほんと、増えすぎだよ」
こんな予定じゃなかったと頭を抱えるのは散々したしなぁ。とか思いつつ、別のところを見た。
浅黒い肌の男が、銃を持って叫んでいる。男の視線の先には、別の銃を持った男が叫び返している。
「こういうのがなぁ、僕の庭を荒らすんだよ」
輪っかを作っていた指を思い切りピンと伸ばした。男は吹き飛び、影すら残さない。
「頼むから、もっと面白いことをしてくれよぉ⋯⋯。退屈で死にそうなんだよぅ」
背伸びをして地面に倒れ込む。両手で枕を作って、その上に頭を乗せた。
面白いこと⋯⋯。またやるしかないか⋯⋯。
篠村トウマ以上の面白い人間が出てくるかはわからないけど。やる価値はあるよね!
跳ね起き、もう一度下界を覗き込む。心臓の鼓動が大きくなっていき、口角も次第に上がっていく。
もう一度、あの興奮を──────
僕は、指を鳴らした。
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