80.5話
(北見アカリ視点)
トウマくんが消えたあの日、私は泣きながら、トウマくんのことをユウナ、シュン、サクラちゃんに話した。
ユウナは「そう⋯⋯」とだけ呟いて、黙ってしまった。
シュンは何も言わなかった。
サクラちゃんは驚いたあと、私の背中をさすってくれた。
今、私は公園のベンチに座っている。四人で遊ぶんだ。さっきの三人と一緒に。
今日はまだ寒くて、みんな長袖を着ている。
春休みに入ったからか、子供達が多い。
「アカリ、お待たせ」
「おはよ、ユウナ」
「いやー寒いねー」
「そうだね」
他愛のない会話をしながら、ユウナは隣に座った。
なんとなく、黙る。ユウナも、トウマくんがいなくなった喪失感は少なからずあるみたい。
「なんか変な感じだね」
「⋯⋯うん」
ユウナは両手を頭の後ろで組んで、ベンチの背もたれに寄りかかる。足も組んで、空を見上げた。晴れと言った天気じゃなくて、雲が空の半分以上を占めている。
「先に言っといてくれたらよかったのに。そしたら⋯⋯」
そしたら──────
紡ごうとした口は動かなくて。風に乗せようとしたら、なぜか、空が潤んで。
「好きにならなかった?」
感じ取ったユウナが答えた。それを聞いた瞬間、首を横に振る。
「ううん。⋯⋯きっと、好きになってたと思う」
スカートの裾を握りしめた。
「また好きになって、お別れの時に泣いちゃうなぁ」
そんなことを言いながら、笑おうとした。でも、乾いた声しか出なくって。
私の頭が、不意に優しく撫でられた。当然、それをしたのはユウナだった。
「幸せもんだね〜、トウマは。ま、いつか、アカリを泣かせたことを後悔させてやらなきゃね」
その時、ユウナのポケットに入っていたスマートフォンが震えた。
「もうすぐで二人ともこっちに来るって。迎えにいこっか」
「うん」
上着の裾で滲んだ目を拭う。
ユウナと手を繋いで、立ち上がる。
また、いつか会えるかな。今度会ったらその時は──────
誤字・脱字報告を受け入れているので送ってくれたら嬉しいです。
いつか、番外編を投稿します!




