17.5話
(柊レイ視点)
私たちが最上階に着いたのは、全てが終わった後だった。
脱ぎ捨てられたパワードスーツ。倒れ伏したマキナ。両断された漆黒の立方体。
「一体何が⋯⋯」
レオが息を呑みながら呟く。確かに不自然だ。だがそれより⋯⋯。
「マキナ⋯⋯!」
私の隣にいたリネが飛び出し、マキナを抱き上げる。すでに力尽きていた。当然だ。『マスターサーバー』を殺したから。
私もマキナの元へ駆け寄った。
「痛かったろうに⋯⋯」
マキナの右目は潰れ、左腕は切断されていた。あまりに痛々しい姿が、涙腺を刺激する。
リネが頬にそっと触れた。マキナは小さな子供が寝ているような、そんな顔をして倒れていたのだ。
その表情には、安堵が見て取れる。
「⋯⋯ッ!」
その顔を見た途端、息が詰まったような感覚が襲ってきた。こんな子に残酷な運命を背負わせてしまったのだ。胸の奥から漏れ出る後悔は、とめどなく流れ続ける。
「トウマはどこに行ったんだ⋯⋯」
周りを探索していたレオが戻るなりそう口にする。
「わ、⋯⋯わから⋯⋯ッない」
マキナを抱きしめるリネが、嗚咽混じりの声で言った。
タワーの下では、勝鬨を上げている。
その声を聞いた瞬間、鬱屈とした気持ちは幾分かなくなった。
もう、ここにはいられない。前に進まなければ。
「リネ、レオ⋯⋯行くぞ。遺体はリネが持て」
「トウマは探さないのか?」
「もういい。トウマは名誉ある死を遂げたんだろう」
それだけ言い、最上階を後にする。
数秒後、二つの足音が続いた。
もう、人類は明日を待っている。
地上を目指し、階段を降りる。
最中、二人の顔がフラッシュバックした。
真田マキナ、篠村トウマ──────
君たちの名前は、私の脳に、歴史に、刻んでおこう。
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