間話1
気がついた時には、俺は床に大の字で寝そべっていた。どうやら泣き疲れていたらしい。右手にはマキナの髪飾りが握られていた。
つまみあげ、顔の上に掲げる。
髪飾りにはピンクの丸い花が刺繍されているものだった。
起き上がり、自分の部屋にある勉強机に飾る。
窓際に行き、カーテンを開けた。既に太陽は昇っていて、落ちかけている。
「疲れたなぁ⋯⋯⋯⋯」
誰に聞かせるわけもなく呟いた。腰を反らし、伸びをしながらベッドに倒れ込む。なんの変哲のない天井を見つめた。自分の心臓の鼓動が大きく感じられる。
途端にお腹がなった。
「飯、食うか」
◇◇◇◇◇◇
一階に降りると、冷めた炒飯が置いてあった。両親は共働きなので、休みの日の晩御飯はいつもこうだった。
炒飯を電子レンジに突っ込み、テレビの電源をつける。芸人の笑い声が聞こえてきた。熱々のおでんを食べる企画をしていた。
いつもは微笑むぐらいはしていたはずなのに、なんともならなかった。
電子レンジから炒飯を取り出し、掻き込む。すぐに食べ終わる。誰かと話さずに食べるご飯は久しぶりだった。
ダイニングにあるソファに座り、テレビを眺めた。
すると、バラエティ番組が終わり、番組が切り替わった。
毎週末にある、昔放映していた映画を地上波で流す番組だった。
今週はゾンビ映画を流すらしい。少し前に話題になった映画だった。
⋯⋯確か、大物俳優が主人公の吹き替え版として出ることで話題になったっけ。
実際は棒読みで、期待通りのクオリティではなかったはずだ。
外国の美女が銃を構えて、ゾンビに向かって発砲している。その背後にいるのは主人公だった。互いに背中合わせになり、ゾンビに囲まれながらも、決して諦めなかった。華麗にヘッドショットを決め、窮地を脱した。
そしてなんやかんやあり、血清を手にいれ、ゾンビウイルスを根絶。晴れて二人は結婚。永遠の愛を誓ったとさ。
実際にこんな上手くいくのだろうか。きっと無理だ。だって、俺がそうだったんだから。誰も死んで欲しくない。そう思ったのに、マキナは死んでしまった。
一体、いつまでこんなことを考えれば良いのだろう。そんなことを考えながら、一ヶ月が経った。
◇◇◇◇◇◇
深夜、ベッドに潜り込んで携帯をいじっていると、空が光ったような気がした。カーテンをめくってみると、一つの欠けもない月がそこにいた。
「すげ」
良いものを見たと思いながら、ベッドに再度潜り込もうとすると、俺の体が淡い光に包まれた。
これは、あの時の──────
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