第八話
リリス――美月を救った後。
零はヴェイルの本拠地へ招かれる。
玉座に座るのは、ヴェイルを統べる王。
人間と変わらない姿。
威厳に満ちた初老の男。
王は零を見つめ、静かに言う。
「よく来た、人の英雄よ。」
零は剣を抜かない。
「今日は戦いに来たんじゃない。」
「話をしに来た。」
王はわずかに目を細める。
「……ほう。」
零は真っ直ぐ王を見据える。
「人間とヴェイルは共存できる。」
「美月が証明してくれた。」
「感情だけでも生命を維持できるなら、人を殺す必要はない。」
王はしばらく沈黙し、やがて口を開く。
「確かに可能だ。」
「だが、それは容易ではない。」
「人間は我らを恐れ、我らは飢えに苦しむ。」
「共存は理想でしかない。」
零は一歩前へ出る。
「理想だから目指す価値がある。」
「俺はその未来を諦めない。」
王は静かに立ち上がる。
「ならば、一つだけ問題がある。」
玉座の間の扉が開く。
現れたのは四天王の一人。
巨大な殺気を放つ怪人。
「人間など家畜だ。」
「捕食をやめるなど愚かしい。」
王は静かに言う。
「彼は我の命にも従わぬ。」
「共存を望むなら、止めてみせよ。」
四天王は街へ向かう。
「恐怖も絶望も、最高の餌だ!」
逃げ惑う人々。
零は変身する。
「変身。」
ヒーロー・ゼロ。
そして、その隣にはリリス――美月。
「零くん。」
「一緒に行こう。」
二人は肩を並べて最後の戦いへ向かう。
戦いの中で四天王は叫ぶ。
「感情を食うだけでは弱くなる!」
「俺は力を選ぶ!」
「支配こそヴェイルの未来だ!」
零は答える。
「違う。」
「力じゃない。」
「誰かを守りたいという想いこそ、人もヴェイルも強くする。」
激闘の末、零と美月は四天王を撃破する。
最後に四天王は笑う。
「共存など……夢物語だ。」
その身体は静かに崩れ去る。




