第九話
四天王最後の一人が倒れる。
静まり返る玉座の間。
ヴェイルの王はゆっくりと立ち上がった。
「見事だ、神代零。」
「だが、共存を語るなら──私を超えてみせよ。」
零は驚く。
「共存に賛成じゃなかったのか?」
王は静かに笑う。
「賛成だ。」
「だからこそ、お前たちに未来を託せるか試さねばならない。」
「私は数百年、この種族を率いてきた。」
「恐怖でしか守れなかった。」
「力でしか飢えを止められなかった。」
「そんな王が生きている限り、ヴェイルは変われない。」
王の身体が黒い闇に包まれる。
「来い。」
「最後の試練だ。」
王は歴代最強のヴェイルへと変貌する。
零一人では敵わない。
そこへ、美月も怪人リリスの姿となって並ぶ。
「一人じゃない。」
「うん。」
「二人で終わらせよう。」
人間の英雄と、怪人の幹部。
本来なら決して並ぶことのない二人が肩を並べる。
壮絶な戦いの末、零と美月の同時攻撃が王を貫く。
王は膝をつき、満足そうに笑う。
「これでいい……。」
「新しい時代は、お前たちのものだ。」
王は静かに消滅する。
戦いが終わる。
誰も座る者のいない玉座。
ヴェイルたちは跪く。
「新たなる王を。」
「新たなる女王を。」
零は首を横に振る。
「俺は王になるために戦ったんじゃない。」
しかし、美月がそっと手を握る。
「王になることじゃない。」
「責任を背負うってこと。」
零は玉座を見る。
そして静かにうなずく。
二人は並んで玉座へ座る。
人間とヴェイル。
二つの種族を象徴する二人が、同じ玉座に並ぶ。
零は宣言する。
「今日から、ヴェイルは人を襲わない。」
美月が続ける。
「そして人間も、ヴェイルを恐れるだけではなく、共に生きる道を探してほしい。」
玉座の間に集まったヴェイルたちは、一斉に頭を垂れる。
その瞬間、新しい時代が始まった。




