9 魔法少女、クマの討伐を頼まれる
魔法少女になって半年ほど経った。
お父さんを呪いから助けてからは、今のところ呪われていない。
元気に仕事をしている。
そして、わたしといえば魔法少女を続けている。
今後、お父さんが呪われる可能性があるのが一番の大きな理由だけど。
初めて魔獣や妖怪、幽霊を見たときは怖かった。
でも、それが人を襲っているところを見た。
人はなにもできずに魔獣に襲われ、怪我を負う。最悪死ぬこともある。
猟銃で倒しても、他の動物に乗り移るだけ。なにも解決はしなかった。
魔法少女が倒さないと、被害が広がる。
魔法少女を増やせばいいと猫神様に言ったことがあるけど、魔法少女になれる適性を持った女の子が少ないこと。
そして、初めに言われたけど、魔力を持つだけでなく、性格も必要になる。
だから、魔法少女になれる女の子は少ない。
わたしが魔法少女を辞めたら、わたしが嫌だと思っていることを他の魔法少女にやらせることになる。
それに、お父さんがいつまた、呪われるか分からない。
そのときに魔法少女の力が無かったら、お父さんを助けることができない。
だから、わたしは魔法少女を続けている。
この半年の間、瘴気に冒された犬や猫とも戦った。
犬や猫が可愛かったら、戦うことはできなかったと思う。
でも、瘴気に冒された犬と猫は歯を剥き出しにし、睨むような目、可愛らしさはなかった。
そして、猫神様は、わたしが戦えると分かると、妖怪、幽霊とも戦わせた。
妖怪がいるとは聞いていたけど、本当に出会うと、気持ち悪かった。
中には人の形もしており、初めてのときは手が震えた。
幽霊も同様だ。戦うのは悪霊と呼ばれる霊だった。
人を恨んでいる幽霊、あれは別の意味で恐怖を感じた。
その日は、怖くて寝られなかった。
ちなみに中には心優しい妖怪もいる。実際に会ったけど、人に危害は加えないし、敵対心はなかった。
「今日はなに?」
猫神様が家にやってくると、確認とか、他愛もない会話をしに来ることもあるけど、9割方仕事だ。
「熊だよ」
「クマ?」
夏にニュースでクマが増えて、大変だと聞いたことがある。
でも、今は冬だ。
「熊が瘴気に冒されて、凶暴化している。このままじゃ、人里に降りてきたら、大変なことになる。だから、その前に倒すのが、今回の仕事だよ」
クマは怖いイメージと可愛いイメージがある。
たぶん、本物のクマは怖いと思う。
でも、クマのぬいぐるみとかは可愛い。
わたしもお父さんが買ってくれたクマのぬいぐるみを持っている。
動物園で見る子熊も可愛い。
でも、大きいクマは危険だと言うことは子供のわたしでも分かる。
「でも、今は冬だよね? クマって冬眠するんじゃないの?」
「瘴気に侵された魔獣に季節は関係ないよ」
魔獣も冬ぐらいは冬眠してほしい。こんな寒い季節にでかけたくない。
「今日じゃないとダメなんだよね?」
「近くに他の魔法少女はいないからね」
魔法少女は日本中にいる。
距離などで、誰が担当するか猫神様が決めている。
どうしてもの場合は遠出することもあるけど、基本は担当の魔法少女が仕事をすることになる。
「今日、お父さんから電話があるんだけど、出られないと心配するから」
「別に仕事中でも電話ぐらい出てもいいよ。そこまで、禁止はしてないよ」
「えっと、スマホをいじくっていて、バッテリーが……」
わたしは言いにくそうに言う。
スマホのバッテリー残量が5%を切っている。
このままじゃ、バッテリーが無くなる。
連絡が付かなかったら、お父さんが心配する。
小学生のわたしはモバイルバッテリーなんてものは持っていない。
不要だし、スマホのバッテリーが切れるまで外出することはない。
家で充電すればいいので、必要はなかった。
今日も外出する予定はなかったので、猫神様が来るまで、スマホで、お父さんが喜びそうな料理のレシピを眺めたり、動画を見たりしていた。
そんなときに猫神様がやってきた。
スマホのバッテリーが4%になった。
「この時代の子供たちは便利なものがたくさんある代わりに、面倒くさいね」
そんなことを言われても、ほとんどの子供はスマホを持っている。
昔は持っていなかったらしいけど、どうやって連絡を取り合っていたのか不思議でならない。
「でも、大丈夫だよ」
「えっと、出発を少し遅らせてくれるとか?」
「熊が移動しちゃうからダメだよ。それに、その短い時間で人が熊に襲われるかもしれない」
そう言われたら、言い返せない。
でも、お父さんとの約束も大切だ。
「それじゃ、大丈夫って?」
「魔力で充電できるから、移動しながら充電をすればいいよ」
「そんなことができるの?」
「君と同じようにスマホがないと仕事をしないって魔法少女がいて、魔力で携帯電話を充電できるようにしたんだよ」
「凄い」
「それじゃ、僕の手を握って」
わたしは言われるままに猫神様の小さい手を握る。
なにかが伝わってくる。
「手を開いて」
わたしは猫神様の手を離し、自分の手の平を広げる。
すると、わたしの手の上に小さい魔法陣が浮かぶ。
「そのまま手にスマホを握れば、充電できるよ」
わたしはスマホを握ると、スマホの電源が充電中と表示される。
「凄い。凄いよ」
「これで、仕事に行けるよね」
「うん」
わたしは魔法少女に変身すると、スマホを握りしめながら、クマ討伐に向かう。
予告、あのクマたちが登場します。
スマホ魔力で充電いいですね。
朝、起きたとき、スマホの充電がないときはショックです。
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