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殺された魔法少女、異世界に行く  作者: くまなの


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18 魔法少女、夕食を食べる

 わたしは食事を作るために、冷蔵庫の中に入る。

 流石に寒いので、魔力で体を覆い、寒さから守る。

 知っている食材もあれば、見知らぬ食材もある。

 奥に行くと、さらに扉があり、扉を開けると、肉の塊が並んでいる。

 ここは冷凍庫みたいに凍っている。

 わたしは扉を閉める。

 流石になんの肉なのか分からないので使うのは怖い。

 パンがあったから、見知った野菜中心に食材で料理を作ることにする。


「これと、これで、いいかな」


 とりあえず、見知った食材を手にして、キッチンに向かう。

 掃除をしていたときに確認したけど、ボタンを押せば水が出る。

 そして、コンロっぽいものがあり、ボタンを押すと火は出ないけど、フライパンが熱くなることは確認済みだ。

 電気があるわけじゃないから、電気コンロじゃないと思うけど。どうやってフライパンを熱くしているのかな?

 ちなみにわたしの家はガスコンロだった。

 あと、キッチンにある調味料を確認したけど。

 塩、砂糖、香味料、ソースっぽいものといろいろとあった。

 流石に、醤油と味噌はなかった。

 まあ、これだけあれば料理は作れる。 

 そして、わたし簡単な料理を作る。


「こんなもんでいいかな」


 料理が完成したのにサーチェさんが戻ってこない。

 まだ、片付けが終わらないのかな。

 それに、くまゆるとくまきゅうもいない。

 どこに行ったの?

 わたしは家を出て、隣に作った書庫に向かう。

 中に入ると、部屋の中央で、くまゆるとくまきゅうを背もたれにして、本を読んでいるサーチェさんがいた。


「なにをやっているのかな?」

「ユナ!? えっと、これは……」


 本を読んでいた。つまり、片付いていないってことだ。

 本はくまゆるとくまきゅうが運んだまま床に置きっぱなしになっている。


「人が夕食を作ってあげたのに」

「えっ、夕食?」

「くまゆるとくまきゅうも、なにソファー代わりをしているの!」

「「くぅん」」

「3人とも夕食は抜き!」


 指をさして宣言する。


「ちょっと待って」

「「くぅ~ん」


 わたしが建物から出ると、3人も謝りなら付いてくる。

 せっかく夕食を作ったのだから、今回は許すことにした。

 食材の無駄はよくない。


「本当にいつのまにか日が落ちているわ」


 書庫の建物を出て、サーチェさんは日が沈んでいることに気付く。


「あんな暗いところで本を読んでいて、気づかなかったの?」

「集中すると、気づかないの」

「はぁ」


 ダメ人間だ。

 それは、あの家の状況を見れば分かっていたことだ。


「夜も読めるように、灯りを用意しないといけないね」


それだけ、本が好きなんだと思う。

 わたしが読んでいる本はマンガ。あとは無料サイトに投稿されている小説ぐらいだ。

 異世界転移のファンタジーから、人生をやり直す悪役令嬢などの小説を読んでいたぐらいだ。

 あとは料理本とか?

 そんなことを考えながら家の中に入る。

 サーチェさんとくまゆる、くまきゅうもわたしについて、家の中に入る。


「うわぁ。家の中が綺麗になっている。それに料理も美味しそう」


 初めて、家の中に入ったときと比べたら、天と地の差だ。

 物がない。本と布類は片付けたけど、道具類は家の外に出しっぱなしになっている。

 道具に関しては明日、片付ける予定だ。


「3人とも手を洗ってから、テーブルについて」


 言われるままにサーチェさんとくまゆるとくまきゅうは手を洗う。

 くまゆるとくまきゅうも慣れたもので手を洗い、タオルで手を拭く。

 タオルは洗濯して綺麗だ。


「食事するときは、ちゃんと小さくなってね」

「「くぅ~ん」」


 くまゆるとくまきゅうは小さくなると椅子に座る。

 その姿をサーチェさんは驚いている。


「クマが小さくなった」

「クマぐらい、小さくなるよ」

「ならないわよ!」


 異世界でもクマは小さくならないらしい。

 とりあえず、わたしのクマは特別だと言うことを説明する。


「そういえば、あなたの言葉だけでなく、わたしの言葉も分かっていたわね。不思議なクマね」


 サーチェさんは不思議そうにくまゆるとくまきゅうを見る。

 でも、それ以上は尋ねてくることはなく、テーブルの上にある料理に目を向ける。

 わたしが作った料理がテーブルの上に並んでいる。


「本当に、美味しそうね」

「口に合えばいいけど」


 そして、わたしが作った料理を美味しそうに食べてくれる。

 もうお父さんに料理を作ってあげられない。

 サーチェさんが美味しそうに食べてくれるのが少し嬉しい。


「それで、これからどうする? 行く当てがないなら、ここにいてもいいわよ」


 ここが漫画やアニメのような異世界なら、頼る人なんていない。頼るどころか知り合いもいない。

 生きるためには衣食住は必要だ。

 今まではお父さんが衣食住を用意してくれたけど、お父さんはいない。

 頼る人はいない。


「返答する前に、いろいろと聞きたいことがあるんだけど。なにも聞かずに答えてくれる? それが誰でも知っていることでも」


 サーチェさんはジッとわたしを見てから、了承してくれる。


「分かったわ。なにも聞かないし、答えられることは答えてあげる。これでいいかしら?」

「ありがとう」


 なんだかんだで、優しい人だ。

 見知らぬ怪しいわたしを家まで連れて来てくれて、勝手に掃除をしても怒らない。


「サーチェさんは魔法を使っていたよね? 確認だけど、サーチェさん以外の人も魔法が使えるの?」

「その質問の定義が曖昧だから答えにくいけど、いるわよ」

「質問の定義って?」

「どの程度の魔法を指しているか分からないからよ」

「どの程度?」

「あなたが言う魔法とはなに?」

「それは……」


 魔法の定義と言われても困る。


「なにもないところから、火を出したり、水を出したりすることとか、魔力で敵を倒すとか?」

「それが曖昧なの。まず、この程度の魔法でよければ、かなりの人が使えるわ」


 サーチェさんはそう言って、人差し指を立てると、その指先にローソクの火ほどの火が現れる。


「でも、これを大きくすることができる人となれば数は減る」


 今度は手のひらを広げると、その手のひらの上に野球ボールほどの炎が浮かぶ。


「つまり、小さい火だったら、普通の人でもできるってこと?」

「全員じゃないけどね。持っている魔力次第だから」

「全員、魔力を持っているの?」

「魔道具を動かせるぐらいの魔力はあるわね」


 魔道具。

 そんなものは元の世界にはない。

 普通の人はローソクの火程度でも、出すことはできない。

 分かっていたことだけど、ここは、わたしが住んでいた世界とは違う世界だ。

 わたしは椅子に寄りかかり、天井を見る。

 明るい球が照らしている。


「あの明かりは、どんな原理で光っているの?」

「魔石だけど」


 ファンタジー漫画や小説にしか出てこない言葉だ。

 つまり、電気ではないってことだ。

 それじゃ、コンロも魔石で熱くしているのかな。


「他に聞きたいことは?」


 わたしは首を横に振るう。

 もう、十分だ。

 ここが地球じゃないことを、再認識したかっただけだ。


「それじゃ、わたしからも聞いてもいい? もちろん、答えられないことは言わなくていいわよ」

「答えられることなら」


 答えられないことの方が多い。


「もう一度聞くけど、あなたはどこから来たの?」

「…………」


 少し考える。

 目の前に女性を見る。

 出会って数時間だけど、信じたい。

 もし、裏切られたら逃げればいい。


「……別の世界から来たって言ったら、信じてくれる?」

「信じられないけど、あなたの言動からしたら、信じるしかないかと思っているわ。あなたが尋ねたことは子供でも知っていることだから」


 子供でも知っていることをわたしは知らなかった。


「それに、あなたが初めて尋ねた地名が一つも分からなかった。わたし、これでも知識はあるほうなのよ」


 膨大な本があった。


「でも、本当に別の世界から来たの?」


 確認するように尋ねてくる。


「わたしも信じられないけど、そうみたい」

「元の世界に帰る方法は?」

「分からない。それに、元の世界に帰っても……」


 元の世界に、わたしの居場所はない。

 父親の死体を隠し、わたしも行方不明。

 そもそも、わたしは魔力を増幅させて、爆発して死んだはずだ。

 くまゆるとくまきゅうが心配そうに擦り寄ってくる。

 もし、元の世界に帰っても、猫神様に襲われるかもしれない。そんなことになれば殺される。

 そんなわたしをくまゆるとくまきゅうは守って、怪我をし、また死ぬかもしれない。

 くまゆるとくまきゅうが死ぬところは二度と見たくない。

 わたしはくまゆうとくまきゅうを抱きしめる。

 わたしの家族はくまゆるとくまきゅうだけだ。

 なにより、あれが夢でなければ、両親は、この世界で生きてほしいと願っていた。

 ……あの世界にわたしの居場所はない。

 わたしは決める。


「帰る方法があったとしても、帰らない。ここでくまゆるとくまきゅうと暮らすよ」

「なら、これ以上はなにも聞かないわ」


 サーチェさんは微笑んでくれる。


ユナはくまゆるとくまきゅうと一緒に、この世界で暮らすことを決めました。


※異世界編より、投稿は2~3日おきに投稿させていただきます。

※面白いと思ったり、続きが気になりましたら、ブックマークや評価をお願いします。

※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ユナ、メイドになる 冒険者もいいけど
くまゆるとくまきゅう、背もたれにされてもいい子してるの かわいすぎです。
生活能力・女子力高いユナって・・・最高!? にしても上位管理者(上司)は詫びの一言も無いんかーい。
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