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殺された魔法少女、異世界に行く  作者: くまなの


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13/21

13 魔法少女、死ぬ

 お父さんを殺したことに関わった人を全員殺すことができた。

 男を殺し、建物の外に出ると魔法少女たちに囲まれた。

 わたしは防戦する。

 数が多い。8人の魔法少女たちが次々と攻撃をしてくる。

 でも、心の半分は死んでもいいと思っている。

 お父さんを殺した人は殺した。

 お父さんはいない。

 もう、思い残すことはない。

 でも、わたしを守るためにくまゆるとくまきゅうが魔法少女たちと戦う。

 どんなに傷ついても、わたしを守ろうとする。

 魔法少女たちが一斉に攻撃するが、くまゆるがわたしの代わりに攻撃を受ける。

 くまゆるはボロボロだ。

 それでも、くまゆるは倒れない。


「くまゆる!」

「くぅん」


 くまゆるが魔法少女たちに向かっていく。

 それと同時にくまきゅうがわたしを背中に乗せ、逃げ始める。


「くまきゅう、くまゆるが」


 わたしの言葉でも、くまきゅうは止まらない。

 わたしとくまゆるは繋がっている。

 その繋がりが途切れた。

 くまゆるが死んだ。


 くまきゅうも分かっているはずだ。

 でも、逃げる。

 後ろから魔法少女が追ってくる。

 くまきゅうの体に魔法が当たる。

 でも、くまきゅうは止まらない。


「くまきゅう、もういいから」


 くまきゅうの速度が落ちていく。

 そして、わたしを庇うように魔法少女たちの攻撃を受け、地面に落ちる。


「くまきゅう!」

「くぅん」


 くまきゅうは逃げてと訴えてくる。

 魔法少女たちが地面に降り立つと、わたしに攻撃を仕掛けてくる。

 その全ての攻撃をくまきゅうが、わたしの代わりに受ける。


「くまきゅう!」


 魔法少女たちは、トドメと言わんばかりにくまきゅうに攻撃をする。


「やめて!」


 わたしの言葉は届かない。

 くまきゅうは魔法少女たちの攻撃を受ける。

 そして、くまきゅうとの繋がりが途切れた。


「……くまきゅう」


 わたしを庇って死んだ。

 魔法少女になって、共にいてくれた。

 寂しいときも、悲しいときも、嬉しいときも傍にいてくれた。

 でも、動かない。

 くまゆるも、わたしを逃がすために犠牲になって死んだ。


「もう、守ってくれるクマはいませんよ」


 くまゆるとくまきゅうを殺した魔法少女が近寄ってくる。

 その魔法少女の肩の上に猫神様がいる。


「残念だよ。君は魔法少女として、才能があったのに。契約を破るなんて」

「その才能があったおかげで、お父さんの仇を殺すことができたよ」


 魔法少女になるには人に危害を与えてはいけない契約だった。

 でも、わたしは魔法少女の力を使って、人を殺した。


「魔法少女の力は人に向けるものじゃないよ。守るためにあるんだよ」


 その人間がお父さんを殺した。

 魔法少女の力はお父さんを守ってくれなかった。

 無価値なものだ。

 いや、お父さんを殺した者たちを殺すことができたから、最終的には価値があった。

 魔法少女の力がなかったら、お父さんを殺した者を殺すことはできなかった。


「悪魔も妖魔、魔獣も悪なら、人を殺す人も悪でしょう」


 どうして、人を殺す人を悪としないのか。


「僕は人間の味方だから」

「わたしのお父さんも人間よ」

「うん、知っているよ。だから、人間と人間の争いには関わらない。それは僕の管轄ではないからね」


 この猫はそうだ。

 人間が好きと言っているが本質は無関心。

 人が死のうが関係ない。

 人に危害を加える、対外生物のみしか見ていない。


「それじゃ、魔法少女が魔法少女を殺すのはいいの?」

「もちろん理由がなければダメだけど。君は人を殺したからね。それは、魔法少女として失敗作だから、廃棄対象なんだよ」


 わたしが失敗作。


「それじゃ、目の前にいる魔法少女が成功作ってこと?」


 白猫に言いなり、魔獣や悪魔と戦う。


「もちろん」

「あなたもバカね。普通に魔法少女をしていれば、いろいろな恩恵が貰えたのに。父親が殺されたぐらいで」


 魔法少女の一人が笑う。


「それはあなたが父親が嫌いなだけでしょう」


 この子は父親を嫌っていた。


「当たり前でしょう。臭いし、抱きついてきたり、うざい。いないほうがマシよ」

「父親があなたのために、どれだけ頑張っているか分からない子供ね」


 そう言った瞬間、わたしは顔を蹴られる。


「あなたに言われたくないわよ」


 わたしも知らなかった。

 わたしが知ったのは母が亡くなったからだ。

 母は2年前に病気で亡くなった。

 それから、わたしは働く父の代わりの家のことをした。

 父はしなくてもいいと言ってくれたけど、大好きだった母の代わりにしたかった。

 凄く大変だった。

 料理、洗濯、掃除。なにより、お金だ。

 料理をするのは食材が必要だ。

 父にお金を渡され、買い物をするようになって、お金の大切さを知った。

 人が生きるには衣食住が必要だ。

 わたしが住んでいた家はローンと言うものがあり、毎月、多くのお金を支払う事になっていた。

 何十年間も払い続け、自分の家になるとお父さんが言っていた。

 生きていくには、服も必要だし、雑用品も必要だ。

 そして、なにより、毎日食べているご飯だって、お父さんが仕事をして、お給料を貰っているから、温かいご飯が食べられる。

 目の前の女の子は、そんなことも知らない。

 働く父親がいるから、綺麗な服を着れて、美味しい物を食べられ、暖かい家に住めることを。


「なによ。その目は」


 わたしはもう一度蹴られる。

 動けないわたしは、躱すことはできない。


「あと、他の魔法少女の代わりよ」


 ツインテールの魔法少女はさらに蹴ってくる。


「ふふ、面白い。あれだけ、わたしたちを苦しめたあなたが、地面を這いつくばるなんて」

「君のせいで、めちゃくちゃだよ」


 猫神様がわたしの前に来る。

 もう少し近づきなさい。


「魔法少女の力は人を殺す力じゃないって説明したよね」

「その魔法少女の力で、わたしの召喚獣を殺しておいてなにを言っているのよ」


 わたしには使い魔のクマの召喚獣がいた。

 でも、わたしを守るために魔法少女に殺された。

 くまゆるは、わたし逃がすために殺され、くまきゅうは魔法少女の攻撃からわたしを守るために死んだ。


「闇落ちした魔法少女の使い魔は処分対象だよ」

「ふふ」


 笑みがこぼれる。

 闇落ちした魔法少女。


「どうして、笑うんだい」


 家族も守れないなら、それでもいい。

 お父さんが殺されて、笑っていられるほど、できた魔法少女じゃない。

 我慢するつもりもない。

 大切なものを守るためなら、闇落ちだってする。

 でも、わたしはなにも守れなかった。

 お父さんは殺され、くまゆるとくまきゅうもわたしを守るために死んだ。

 わたしに力がなかったから。


「さっさと、殺して。もう、この世界に未練はないから」


 お父さんもお母さんもいない。

 くまゆるとくまきゅうもいない。

 この世界で生きる意味はない。

 死ねば、お父さんとお母さんのところにいける。

 くまゆるとくまきゅうに会える。


「いいから、さっさと殺しましょう」


 怪我をしている魔法少女が猫神に言う。

 わたしを殺そうとしている時点で、わたしと同じ穴のムジナだ。

 でも、目の前の魔法少女たちは分かっていない。


「最後に一つだけいい?」

「なんだい」

「お礼だけは言わせて」

「お礼?」

「この力がなかったら、お父さんの復讐はできなかった」


 そして、あなたを殺せなかった。

 最後の言葉は心の中で呟く。


「……」

「なんて言ったの? もう、声も出せないのかな?」


 猫が近づいてくる。

 もっと、近づいて。


「悪魔って言ったのよ」

「僕は神様だよ」


 猫が倒れているわたしの顔を引っ掻く。

 もう、感覚が麻痺して痛さが分からない。


「それじゃ、死んでくれるかな」


 手も足も動かない。

 でも、口は動く。

 わたしは猫の足に噛み付く。


「なんだ。離せ!」


 思いっきり噛む。

 くまゆるとくまきゅうの仇。

 死ぬとしても、このまま死ぬことはできない。

 お父さん、お母さん、くまゆる、くまきゅう、今からそっちに行くから。

 魔力を増幅させる。

 生命を燃やす。


「やめろ! 攻撃をしろ!」


 魔法少女たちがわたしに攻撃を仕掛けてくる。

 でも、噛み締めた歯だけは緩めない。

 死んだかどうか確認ができないのは残念だけど。

 わたしは魔力を暴走させ、魔法少女と猫神を巻き添えにして爆発した。


1話に繋がります。(1話と若干、心の描写が違いますが、1話でどこまで書いていいのか悩んだ結果です)

次回で、プロローグは終了です。

くまゆるとくまきゅうが死ぬシーンは書いている自分も悲しかったです。

自分には大切な仲間を殺す話は書けないと、あらためて思いました。


面白いと思ったり、続きが気になりましたら、ブックマークをよろしくお願いします。

※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
個人的には魔法少女達がどうなったのか知りたいでさね
作品は変わってもユナさんはユナさんだな(^^)v
人をやることを覚えた魔法少女はどこかでやりそうな気もする
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