12 魔法少女、父親を殺した犯人を捜す
翌日、わたしはお父さんが自殺した場所に向かった。
わたしにはお父さんを殺した犯人の情報を得ることはできない。
だから、お父さんが死んだ場所にやってきた。
ここは人通りが少ない場所と言っても、畑もあり、昼間は人は通る。
そして、お父さんを殺した誰かが、お父さんのスマホを使って、わたしにここの地図を送ってきた。
つまり、死体が見つかるようにした。
でも、お父さんはわたしが回収したから、誰にも見つかっていない。
お父さんの死体の発見がないと犯人が知ったら、犯人はお父さんを確認するために、ここに戻ってくるはずだ。
これはわたしの願いであり、今のわたしにはこれしかできることがなかった。
あれから、前原さんから連絡があったけど、お父さんは見つかっていないと言う。
お父さんは家のベッドに寝ていると伝えなかった。
お父さんを殺した犯人を見つけるまでは。
そして、わたしは朝も夜も待った。
お父さんが死んだ場所で3日待つと、車に乗った3人の男が現れた。
「死体はないが、ロープが残っている」
木には、ロープがくくりつけられている。そのロープの先にはお父さんの首があった。
「ロープの先が切られている?」
「やっぱり、発見されたんじゃ」
「警察に連絡はない。確認済みだ」
「それじゃ、生きて、逃げたのか?」
「首を吊って、死んだところを確認しただろう」
「そうだけど」
「それじゃ、誰かが死体を持っていったってことか?」
この3人がお父さんを殺した犯人。
「生きているか死んでいるか分からないんじゃ、あの人に、どう説明するんだよ」
あの人?
「ニュースにもならない。警察にも連絡がない」
「もし生きていたら、病院に運ばれた可能性も」
「そうなっていたら面倒くさいな」
「でも、誰が病院に運んだんだ?」」
「娘じゃないか? 娘にチャットで、この場所の地図を送っただろう」
「小学生の?」
あの地図を送ってきたのはお前か。
「発見させて、警察に連絡をさせるように仕組んだだろう。もし、そのときに、生きていたら」
「いや、間違いなく、死んでいた。それはおまえも確認しただろう」
「そうだが、死体が発見されたこともニュースも、警察にも連絡が入っていない。ここでも騒ぎになっていない。だから、あの方が確認してこいと命令をしたのだろう」
警察に知り合いでもいるの?
それに、さっきから言っているあの方ってだれ?
「それじゃ、念のため病院を調べるのか?」
「それよりも娘を調べたほうが早くないか?」
「そうだな。俺が娘のところに行く。お前たちは近隣の病院を調べてくれ」
男が振り返った瞬間、3人が倒れる。
「いてぇ、なんだ」
「足が」
魔法で男の足を凍らせた。
「どうして、足が凍って」
「こんにちは、おじさんたち」
ここから、わたしの殺戮が始まった。
男たちから情報を聞き出した。
犯人はとある事件を調べていたお父さんが邪魔だと思った人たちだった。
邪魔だから、殺した。
理由はそれだけだった。
自分たちが悪いことをしているのに、調べられたら殺すなんて。
犯罪者は大きな組織だった。
その組織は外国人だったり、半グレ、暴力団、警察も関わっていると言う。
警察官って言葉を聞いた瞬間、怒りで狂いそうになった。
お父さんと同じ警察官が、そんな奴らの仲間。
そして、一緒になって、お父さんの殺しに加担した。
わたしはその日、初めて瘴気に侵されていない普通の人間を殺した。
死体は地中の奥深くに埋めた。だから、この男達が見つかることはない。
わたしは3人から聞いた情報を元に、お父さんに関わった人たちを探し、新しい情報を手に入れる。
その中に、関わっている警察官の情報を手に入れることができた。
お父さんの同僚で友達だった人。
わたしにも優しかった。
でも、お父さんを裏切った。
わたしは前原さんが1人になったときに、捕らえた。
「前原さんが、お父さんの情報を流したんですね」
「君のお父さんが悪いんだ。俺は何度も止めた。でも、あいつは捜査を続けた。だから、殺されたんだよ」
わたしは前原さんから情報を聞き出すと殺した。
お父さんを殺した人は、誰も許さない。
そんな、わたしの前に猫神様が現れる。
「魔法少女の力を人に向けるのは許されない行為だよ」
「人を殺す人も悪だよ。魔獣と変わらないよ」
「でも、神は人を殺しちゃダメなんだよ」
「どうして、世界中で殺し合っているでしょう」
「それは人が決めたこと。人が殺し合うのも自由。そして、それで人が滅んだとしてもね。僕たち神は見守るだけ。それが人が選んだことだから。僕たちの役目は未知の脅威から守る。それだけだよ」
話が通じない。
それからわたしは猫神様とは敵対関係になり、他の魔法少女に狙われることになった。
猫神様は魔法少女たちに、わたしを殺してでも止めるように命令をしていた。
わたしは猫神様と魔法少女たちから逃げ、数日ぶりに家に戻ってくる。
凍らせたお父さんの氷は少し溶けかかっている。
わたしは溶けないように、さらに凍らせる。
まだ、お父さんを見つけられるわけにはいかない。
「お父さん、きっと、わたしが仇を討つから」
でも、ここには、長居はできない。
いつ、猫神様と魔法少女が来るか分からない。
この家には二度と戻って来られないと感じている。
お父さんとお母さんとの大切な思い出の家。
でも、この家には誰もいない。
二度と帰ってくることはないかもしれない。
わたしは家にあるものを異空間ボックスにしまっていく。
ここにあるものは、お父さんとお母さんとの思い出だ。
残して行くのは、凍ったお父さんだけ。
お父さんを異次元ボックスに入れて運ぶことも考えたけど、わたしが死ねば、お父さんはずっと異次元ボックスの中に入ったままになる。
でも、ここなら、いつか誰かが発見してくれる。
ちゃんと、眠りに就いてくれる。
それから、お母さんの写真を持っていくことも考えたけど、その写真はお父さんの横に置いた。
お母さんの写真はスマホに入っている。
「お母さん、お父さんをお願いね。わたしもお父さんを殺した人を殺したら、そっちに行くから」
わたしは猫神様と魔法少女から身を隠すために、誰も住んでいない家に隠れたり、山の中で休んだりした。
「くまゆる、くまきゅう」
「「くぅ~ん」」
お父さんがいなくなったけど。くまゆるとくまきゅうが傍にいてくれる。
わたしの大切な家族だ。
殺した前原さんから聞いた話だと、お父さんの殺しの指示を出したのは外国人の犯罪者グループ。
そして、それを自殺で処理させようとしたのは、この街の警察官のトップ。
ここが繋がっていた。
前原さんも警察官のトップからの指示だと言っていた。
この2人を殺すまでは、猫神様に捕まる訳にはいかない。
猫神様は、わたしを処分しようとしている。失敗作だと言っていた。お父さんを殺した犯人を殺すまで、死ぬわけにはいかない。
どうにか、わたしは外国人の犯罪者グループのトップ。お父さんを殺すように指示を出した男を見つけた。
でも、その近くには魔法少女のチカさんがいた。
わたしが来ると知って、先回りをしていたみたいだ。
チカさんがわたしより、二歳年上の魔法少女。
いろいろと教わったことがある。
そんなチカさんと戦いたくない気持ちはある。でも、お父さんを殺した人を放置することはできない。
それに、すでに人を殺しているわたしに残された時間は少ない。
猫神様から、逃げ切れると思わない。
捕まれば、魔法少女の力を失う。
そうなれば、お父さんの仇が討てない。
そして、何度かチカさんとの戦闘を行いながらも外国人の犯罪者グループのトップと幹部たちを殺すことができた。
でも、その代償として、チカさんや魔法少女から襲われ、怪我を負った。
「「くぅ〜ん」」
くまゆるとくまきゅうが心配そうにする。
「大丈夫だよ」
簡単な治療を行う。
痛みが和らぐ。
まだ、戦える。
あと一人。
この街の警察官のトップだけだ。
「来るな! おまえがみんなを殺したのか!」
スーツを着た男がわたしに拳銃を向ける。
「お父さんを殺したのはあなたでしょう」
「あいつが、捜査中止の命令を無視したからだ」
「警察官として、犯罪者を捕まえるのは当たり前のことだよ。そんなこと、子供のわたしでも知っているよ」
「この世は綺麗事ばかりで成り立ってるわけじゃないんだよ」
男が拳銃を発砲する。
でも、わたしの魔法壁が防ぐ。
「バケモノ」
化け物を倒してきたわたしが化け物と呼ばれるとは思わなかった。
魔法少女になったわたしはこんな人たちを守るために、化け物と戦っていたのかと思うと吐き気がした。
もう、お父さんもお母さんもいない。
わたしは無感情の気持ちのまま、魔法を放った。
犯人は現場に戻ってくる。ですね。
初めての人殺しです。
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