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ガンジー(元爺)サーガ  作者: タマ
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のじゃ

最後の元獣人奴隷が去って行くラバーニュを出て5日目、パトロンドへ入って18日が過ぎた。

肩の荷が下りて気が抜けたのか、自然と意味も無くヘラヘラ笑ってた

「ミニラ、降りて来て良いよ」

そう言うと、返事も返さず降りて来てコテンと転がり頭を押し付けてきた


「さびしかったよパパぁ」

ゴメンね・・・・問題を起こせない。その事の窮屈さを骨身に染みて思い知らされた。こんな思いも前世の常識の影響か・・・・好きに生きれば楽なんだけどね、出来ない性格なのは解ってるさ


ここはパトロンド王国の東南の外れ。この先には帰らずの森と呼ばれる、広大なモンスター領域が拡がり。東へ行けばドワーフの国が有るらしい・・行ってみたいな・・ドワーフの国。知識も常識も解らないから怖くて行けないけど・・宗教も違うって言ってたしなあ


「ミニラ、久しぶりに一緒に飛ぶか?」

「うんパパぁ」

帰らずの森の上空を飛ぶ。

「このもりすごくひろいよパパぁ」

「あっちこっちにつよそうなのがいるよ、パパぁ」

ミニラがご機嫌だ


30分程飛んだだろうか

「にんげんがおわれてるよパパぁ」

下を見ると20人程の人間が大型モンスター5匹に追われている

「ミニラ降りて」

モンスターの動きが圧倒的に早い。見てる間に廻り込まれて囲まれ、人間が狩られ始める。人間も立ち向かおうと剣や槍で攻撃しようとするが。体格が違い過ぎるモンスターは4メートル以上は有る熊のような体型をしている・・・降りて近付く間にも5人の腕や足や頭が飛ばされた。


ミニラから飛び降りながら、1体のモンスターの目に魔弾を打ち込む。ミニラが別の1体の頭を砕いた。


地面に着地した瞬間に前転して衝撃を殺し、もう1体に向かって走る。振り下ろされる腕を大きく避けながら目に狙いを付けて魔弾を打ち込んだ。

ミニラは既に2体目の頭を破壊して、逃げ出した3体目の頭を破壊する所だった。


急いで怪我人の様子を見に走るが、5人が既に死亡。重症が3人、手足が千切れた者達が4人。残りの者達も体のあちこちから血を流している。


「ミニラ、頭の無いモンスターを1匹持ってきて」

「わかったあ、パパぁ」


「手足を失った者達の傷口の上を縛れ!」

虚ろな顔で座り込む者達に向かって大声で指示すると、ハッっとした顔でノロノロ動きだす者達


一番傷の酷い者の側に片膝を付いて衣服を引き裂き。傷口を洗い流し手を当てて意識を集中し活性化魔法と造血で時間を稼ぎ。波長を合わせて損傷を調べる。肩から腹迄走る太くて深い爪傷が3本走り内臓の損傷も激しい、特に肺と胃の傷が酷く口から血泡を吐き出してる。ミニラが運んでくれたモンスターに手を当て分解しながら、臓器や血管やリンパ等諸々の修復。構築を続けて傷口だけ塞いで次の人に掛かる。完全に治す時間が無いのだ・・・


二人目も酷い、腹が裂け腸が飛び出し。裂けた腸から汚物が漏れだしている。活性化魔法と造血で時間を稼ぎ、腸を繋ぎ異物を取り除きながら傷口を塞いで放置する


三人目は見た目程酷くは無かった、他と比べての話しだが。右頭部から顔面中央に及ぶ爪傷で顔の右側上部の表面と眼球と鼻が消失している。活性化と造血して、眼球を構築して視神経諸々を繋ぎとりあえず放置


手足の千切れた者達に活性化と造血をして

「お前達、全員上を脱げ!」

比較的軽傷の者達に命令口調で告げる。見た目大丈夫でも実は深手で安心した頃に死ぬ。昔読んだ小説のお約束パターンを防ぐ為だ


一瞬躊躇い全員が上半身裸になる

「一列横隊!」

俺の掛け声に全員が整列する。背中側に回り活性化魔法を掛ながら、内傷を調べる。全員大丈夫そうだ


「服を来て千切れた手足をそれぞれの持ち主の横へ運べ」

全員服を着て動きだす


俺は既に片膝付いて衣服を引き裂き。腕の傷を洗い流して、再度活性化魔法と造血で準備する。持って来られた腕を繋げ次へ

 

腕の者は服を引き裂き。足の者はズボンと服を脱がして治療する。人間は上半身に急所が集まっているので、傷だけに目を取られて見逃すのは危険だ。


一段落付いて全員の命の危機が去った事に安心して初めて気が付いた。全員が女性だったのだと・・人は極限状態では主要目的以外には思考が及ばなくなる。命の消滅を阻止する、その事に集中していた。5人分の死体がより作用を強めた結果だ


今頃気が付いて、心の中であたふたするも手遅れだと開き直る


気が付いた一番重症だった人が胸も隠さず近寄って来て

「貴方は神様なのか?」

言われ慣れてしまった言葉を投げてくる

「違う、神なら死人も行き返らせるだろう」

そう返した


俺の前には二十歳前後くらいの女性が16人座っている

血に汚れたり上半身裸で胸を隠している者もいる。

耳の形や髪色が違うから種族も様々の混成部隊何だと理解する


「お前達に質問が有る、俺がお前達を治した事は誰にも言わないと誓えるか?」

一番面倒な口止め作業を始める


「誓います。それより命の恩人の言葉に従うのは当然では無いのか?」

全員がうんうん頷いている・・・・あ、あれ・・


「決して言わないと誓えるのだな!」

念を押すと


「くどい!当然と申したであろう」

叱られた・・・


「解った」

そう言いながら、鼻が無くなった女性の側に行く。命は助かっても女性としては、死んだ方がましだと叫びたいのを我慢してるのだろうと思ってしまう程落ち込んでいる。


両手で顔を覆い全身から少しづつ集めた細胞で鼻の形をイメージしながら構築、皮膚と頭髪も再構築させる。手を放すとそこには何の違和感も存在しない綺麗な女性の顔があった

「少し顔が変わったかも知れないが許せよ」

そう告げると、女性が自分の顔に手をやって。確認するように触れてから啜り泣きを始めた

回りの女性達は全員信じられないような物を見る顔をしており、言葉も出ない


次に胸に大きな3本の傷痕が有る女性の肩から乳房腹へと手を当てて綺麗に復元して行く


次は腹を裂かれた女性、次は・・・・・・・全ての女性の完全治療が終わる


「お前達は着替えを持って無いのか?」

そう聞くと南の方角に馬車が有ります。と鼻が消失していた女性が答えた


「ミニラ」

その言葉だけでミニラは上空に向かい

「1キロもはなれてないよパパぁ」


降りて来たミニラに、ユーリアを乗せた時の手の形にして向ける

「はぁいパパぁ」

ミニラが前傾姿勢になり左手を上向きにして地面に付け右手を横から添える


「誰かドラコンに乗って馬車を取りに行ってくれ」

後ろへ下がりたそうな女性達を無視するように一人の女性が前に進み出て

「わたくしが参ります」

俺を見詰めながらそう告げる。その目には恐れも喜怒哀楽さえ浮かんでおらず、何故か突き抜けたような清んだ光が見てとれた


俺はお姫様抱っこで女性をミニラの手の上に乗せた

「ミニラ守ってやって」

「わかったあパパぁ」

ミニラが飛び立って行く。女性達から洩れたため息は自分が選ばれなかった安堵のため息なのだろう・・・


俺は少し離れた所で2メートル四方くらいの浴槽を大理石で作りビバノンノの神様にお願いすると浴槽一杯のお湯が溜まる。

落ちていた背負い袋を拾い浴槽の方へ向かうとタライを作り、お湯を入れて着ている物を放り込み石鹸を取り出して泡立たせて漬け込む。手当ての返り血で蒸せ返るような臭いがして我慢できなかった


パンツ1枚になった俺は洗面器を作り、頭からお湯を被って石鹸で洗い始める。一通り洗い終わった頃に馬車が帰って来た。


馬車を取りに行った女性が

「戻りました」

と告げて何故かそこに立っている


魔力の消耗で疲れ切った体を温めていると

「何をしておるのじゃ?」

胸に3爪傷が有った女性が聞いて来た


「風呂に決まっている」

平然と答えると


「それは知っておる、ここはモンスター領域の外れで危ないのじゃ」

俺にはミニラが居るから


「問題無い」

そこまで言って、風呂から出て服を洗い再度洗って石鹸を落とした

 

「お前達に、剥ぎ取りが出来るやつは居るか?」

そう聞くと5人程が手を上げる


「見張りはしてやるから、風呂で順番に血を流せ。お前達は剥ぎ取りが終わったら風呂に入れ」

と勝手に指図して洗濯物を持ってその場を離れる。パンツ1枚なのに清々しい程、堂々と出来た


「ご主人様、わたくしは如何致しましょう」

何故ご主人様なのか?面倒なので聞き流す


「風呂に入って血を洗い流せ」

洗面器と石鹸を渡す


「承りました」

答えも変だ・・・・


少し離れた所で洗濯物を風魔法で乾かし身に纏う

「ミニラ、近くにはモンスター居ないよな?」

「うん、大丈夫だよパパぁ」

「そっか、ありがとう」

「はぁいパパぁ」


浴槽の方に背を向けて森を見張ってると

「全員終わったのじゃ、済まなんだの」

と言われてやっと気が付いた。色んな小説に出ていたのじゃ属性の女の子、この世界には居ないのかと思ってたら居た。


君は今日からのじゃです


「気にするな」

と言って振り向き驚いた。洗って垢が落ちたのか少し幼くなった。のじゃが居た


「勝手に石鹸を使ったのか?」

別に責めるつもりはない


「うむ、あれは良いものじゃな」

堂々としてはります、ムム強い


馬車の方に行くと全員さっぱりした顔で着替えも終わっている

横には綺麗に剥ぎ取られたモンスターが


礼がしたいから付き合えと言われ、素材も運んで貰えるので同行する。町に冒険者ギルドが有るらしいので向かって貰う


カウンターの女性に素材を買い取って欲しいと言うと。右端のカウンターが査定場所だと言われ、女性達に手伝って貰い4匹分持ち込む。1体はグシャグシャでダメだったらしい・・・

カウンターの横で待ってると


「将軍、もうモンスター狩って来たんですか?流石ですね」

海賊島から連れてきた獣人だった、名前は忘れたが


「将軍とはなんじゃ?」

のじゃが聞いた


「お連れ様なのに知らないんですか、ローレシアの飛龍将軍ガンジー様ですよ」

自分の自慢のように嬉しそうに言うと、女性達だけで無くギルド中が騒然となる


「お前が、西のドラコンを倒した飛龍将軍ガンジーなのか?」

のじゃが不思議そうに言う

うしろの方で、本当にあんな若造が神の如く強く優しいのか?信じられないな、ゲインズのホラじゃ無いのか?って聞こえた

あの元奴隷、ゲインズって言うのか。獣人の名前の方が耳に残った


カウンターで番号を呼ばれたので行くと

「ギルドカードをお願いします」

と言われ提示する


「ガンジー様、キングリーの素材の買い取り金と明細です」

明細には、金貨1563枚と総計の所に書いて有った白大金貨とそれ以外を別々の袋に入れ。女性達の所に戻ると、剥ぎ取りをした5人に分けろと大金貨1枚渡した


ゲインズにじゃあなと告げてギルドを出て、ギルドで聞いた最上級のホテルに向かう




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