黒組が行く7
夜が明けた。鳥に手紙を結び、放す
砂浜に向かう
「ヤールー、頼んでいた選抜は終わっているの?」
「はい、既に集めて有ります」
ヤールーが視線を向けた方向には29名の人魚達がいた..あれ、30頼んだ・・・ヤールーの視線に気付き黙り込む..失礼しましたあ..
人魚達1000名に海賊島の周辺に先発を指示して子供達の保護などの作戦を託し。残りの1000名の人魚達には船の護衛と予め予定していた作戦の遂行をお願いする
「これからお前達に魔法を掛けるから。ついてきて」
「「「「はい」」」」
ピョコン、ピョコンと伯爵邸へ向かう
「魔法を掛けるから、1人づつ順番に入って来て」
椅子に座らせて、シャンプーを始めます。Tシャツを脱がせて、胸にはタオルを巻かせて有るので。セクハラでは無いですから、お間違えなく。
俺が洗うのには訳が有ります。魔法と言わないと、人魚達にシャンプーが流行した場合に。海が大変な事になりますから。環境破壊防止措置への尽力だと、誉めて下さい
石鹸で顔をお肌が傷まないように、ソフトに洗います。最後に、レモンを絞ったお湯でリンス効果を出して。
風魔法で仕上げた瞬間に後悔しました..
どうしよう..今更やめられないし..
19才のヤールーが綺麗になって..幼くなってました。
ヤールーと初めて会った時は16才だったのですが..今の方が若く見えるのは何故でしょうか?魔法もコラーゲン療法も何も使用してないのに..
悩んでる時間も無いので、諦めて次に掛かりました。
早朝から始めて、終ったのは10時半頃。3時間半以上掛かりました..1人5分の予定だったのですが。舐めてました..
疲れ果てて外に出て。黒組の選抜メンバー見て途方に暮れて。それでも時間に押されて着替えを済ませ。
全員、準備の終わった頃の港へ、馬車に乗って急ぎます
「遅くなりました」
ユージンとチャールズに詫びる
「まだ時間になって無いから大丈夫だよ」
笑顔でユージンに言われ
「さて、レディをエスコートしなければね」
チャールズにも笑顔で告げられて
「はい、それでは馬車から船迄。全員を抱いて運びましょう」
俺の姿を見て、顔をひきつらせる二人に笑顔で告げて。ヤールーをお姫さま抱っこで船へと運び。船縁に設置した椅子に座らせると、お姫さま抱っこの行列が次々に渡り板を渡って来る
船が港を離れ、漁師船の岸から4艘目の横を通過する迄の時間。ずっと人魚達が若返った理由を考えていたが..ただの汚れが落ちただけ..長年の蓄積した汚れの洗い流しにしか答えが行き着かなかった..
もし、群島で流行したら。群島共和国が海域汚染で滅ぶ..
嫌な予感しかしなかった
見張りの漁師船の横を通過する時はゆっくりと人魚達の笑い声を聞かせ。若々しく美しい顔に驚く漁師風な海賊達の顔を眺めながら通り過ぎた。
{ミニラ、ガリウスさん達は到着してる?}
{うんパパ~、夜明け前についたよお}
{了解、もう少しお願いね}
{わかったあ~}
確認し忘れてた事を思い出して尋ねる。人魚達の若返りのショックが大きいかも..
船はゆっくり海賊島へ向かう
{パパ~、海賊たちかがふねに乗ってるよお}
{何隻の船に乗ってるか解る?}
{全部に乗ってるよお}
{了解、出航した数が解ったら又教えて}
{わかったあ~}
「ユージン、海賊は全部渡すから。奴隷は全部貰って良いかな?」
隣に居るユージンに聞く
「良いけど、奴隷をどうするの?」
「島の開発に使おうと思ってね。海賊より真面目だし」
まだ海賊討伐は終わって無い..
「奴隷だけで、足りるの?」
海賊も要るか?って意味なら要らない
「危険な生き物の排除と。日除け小屋だけで大丈夫だから」
人魚達は、質素な生活が基本です
「日除け小屋?」
王子様には理解不能な生活だよ。地面で寝るしね
話をしていると、海賊が動き出した。
{パパ~、全部の船がそとにむかってるよお~}
{全部は嬉しいな、もう少ししたらガリウスさんの上に移動してね}
{わかったあ~}
「ユージン、海賊が出て来るよ。8隻全部が」
「本当だ、1隻目が出て来た」
ユージンにも見えたようだ
「ヤールー、交代しながら水流魔法で動きを止め続けるのを忘れないように。それから、ドレスは脱いで出撃してね」
人魚達のドレスの下には、装備したままの状態になってる
海賊島の艦隊が8隻全部が姿を現してこちらに向かって来るのが見えた。俺は心の中で、よっしゃあ!と叫んでた
最後尾の海賊船が島から3キロ以上離れたのを見て。ヤールーにドレスを脱がさせて、出撃させた。先頭の海賊船とこの船の距離も3キロを切った
{ミニラ、合図の赤玉を落として}
{は~い}
{ガリウスさんが赤玉に気付いたよお~}
{ミニラ疲れるだろうけど商船を引っ張って来てくれるかな?}
{まかせて~}
この作戦で1番面倒なのは、囚人の収容と奴隷の回収。鎖を切れる、アダマンタイトの短剣は1本しかない。回収した奴隷を乗せる船も待たないと来ない。人魚達の足止め時間を如何に短縮出来るかが、最大の課題なのだが。ミニラが何とかしてくれた
「義兄上、2隻の戦艦を港に戻して予定通りに行動させて下さい」
「了解した」
チャールズが走って行った
「ユージン、予定通り。ロープの先に輪を作って準備を頼むよ」
「了解した、司令官殿」
ユージンがふざけて言う
海賊船は8隻全てが動きを封じられて。船上で大騒ぎしてるのが見える。
時間を長く感じ、ひたすら港の方角に視線を向ける。最初小さな点が少しづつ大きくなり。かなりのスピードで近付いて来る。
「ゴルルルル!」
ミニラの声が響き渡る、1隻目の船を沈めろの合図だ
横をミニラと商船が通り過ぎる
「義兄上、この船も進ませて下さい」
ゆっくり海賊船に近づいていたのだが、ミニラの勢いに。追い抜かれてしまった。
「全速前進!」
チャールズの声が響く
訓練していない為に連携がバラバラだが仕方がない..
そうこうしている間に1隻目が沈み始める
「うわあ、本当に沈んで行くよ。凄いね」
ユージンが、楽しそうな顔で独り言を言ってる
「やるねえ!」
チャールズも笑うのか、驚くのか、どっちだよ
船縁から吊るされたロープが下から引かれ始めた。足を入れて引っ張れば締まる、俗に言う首吊り縛りだ。人魚達の安全上足を引っ張るのは欠かせない要素
次々と引き揚げられては縛られる海賊達、商船でも同じ状態だ。獣人達は脇の下にロープを通され上がって来る。2隻目、3隻目が沈む頃に自力で商船が次々に到着して。引き揚げ作業に参加し始めると。能率が上がり、海賊船の沈むペースも早くなった。
最初の海賊船の海賊と、獣人の回収には40分以上掛かった。2隻目も同じくらい。3隻目の時には2隻の商船が参加して30分弱。5隻の商船全てが参加した4隻目以降は20分と待たずに、次々と沈む。
3時間半程で、全ての海賊船が沈むのを見ていたユージンが
「凄いね、これは戦いとは呼べない。単なる蹂躙だよ」
タメ息混じりに感嘆の言葉を洩らす
「戦で沈めるだけなら、一斉に沈めれば片が付きます」
色んな意味を込めて冷静に言葉を紡ぐ
「そうだね..バカな事を考える奴が出たら、大変だね..」
ユージンの言葉にも色んな意味が..
今日は、まだまだ終わらない..




