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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第2部

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第二百三十三話 地球防衛義勇軍魂

 英国軍は仏国首都奪還に向けて準備に入りました。

 敵の将ジェイカルに壊された戦車の修理に、時間を取られています。

 その間に周囲の街の侵略軍が、マモリ玉を首にぶらさげた兵士達によって駆逐されました。

 おそらく地球防衛義勇軍の世界地図の色に青色が少し増えたはずです。


「閣下、お客様がお見えになりました」


 英国軍は、敵侵略軍のバダマ王子が使っていた司令部をそのまま使用しています。

 侵略軍の国旗がおろされ、英国軍の大きな国旗がかかげられています。


「誰が来たのじゃ?」


「仏国暫定政府の将軍が来ておられます」


「なに! どこに来ておるのじゃ」


「戦車を修理している、街外れの倉庫を訪ねてこられました」


「ふーーむ」


 閣下は、仏国軍の意図を考えているようです。

 アゴの下をさすり考え込みました。


「ここへ、お通ししましょうか?」


「いや、わしが行く。ファルコン殿、マーシー殿、そしてシマズヒサシ殿もご同行願えますかな」


「もちろんです」


 代表してファルコンが答えました。


「わしが行くまでに、英国軍のマモリ玉を回収して集めておくのじゃ」


 閣下は惜しげもなくマモリ玉を仏国軍に貸すつもりのようです。


「閣下よろしいのですか?」


 ファルコンが聞きました。


「ふふふ、もしわしが英国の首都を奪還するのならばと考えたのじゃ。やはり、自国の首都は他国の軍ではなく、自国の軍で奪還したほうがよいじゃろう。それに仏国の首都に我が国の国旗を立てたら、いろいろ言うて来る国があるやもしれん」


「なるほど、さすがは閣下です」


「ふふふ」


 閣下は自分が言ったことに満足したのか。

 何度もうなずきながら笑いました。




「ふーーむ! すごいもんだのう。鋼鉄製の戦車をヤリの一撃でここまで破壊するのか。だが、さすがは英国軍だ。大勢の兵士を倒しておった。火力は最強だ」


 仏国軍の将軍は部下数名と、倉庫の破壊された戦車をみつめています。

 ヤリで切られたとは思えないほど、綺麗な断面で車体から車輪まで大きく切られています。


「お待たせいたしました」


 閣下は、解放された倉庫の入り口から中にはいると。丁寧に笑顔で言いました。


「いやいや、英国軍の兵器を見せてもらっていたので、時間の立つのを忘れておりました」


「本日はどのようなご用件で?」


「ふむ。すでにおさっしとは思うのだが、武器をお貸し願いたいのだ。出来れば首都の奪還は、我が国の軍の手によって成し遂げたい」


 仏国軍の将軍は深く頭をさげました。

 下げたまま静止して、頭をあげません。

 閣下は、やはりと言う顔をしました。


「おお、お手をお上げ下さい。むろんわが国は、協力をおしみませんぞ」


「では……」


 将軍が目を見開きましたが、笑顔を作らずに言いました。


「我が軍が用意したものは、必要な分だけ全部お貸ししましょう。兵も協力させます」


「お、お待ち下さい。兵士は必要ございません。兵力は充分足りております」


「なるほど、それはすばらしい。やはり自国の首都は、自国民で取り戻したいとおっしゃるのですな。わしもそう考えておりました。おい! あれをお持ちしろ!!」


「はっ!!」


 英国軍の兵士が走り出します。

 戻って来た兵士の手には、マモリ玉が箱に入れられて宝玉のように、うやうやしくあつかわれています。


「これは?」


「ふふふ、これこそが、我が軍の秘密兵器です。これも、お貸しいたしましょう」


 閣下は自慢そうに鼻の穴をピクピクさせながら言いました。

 英国軍の兵士が将軍の胸元に大切そうに差し出します。


「いったい、なんですか?」


「それは、おマモリです。それこそが、英国軍の秘密兵器です」


「あははははは、これが秘密兵器!?」


 仏国軍の将軍が笑いました。

 でも、次の瞬間残虐な表情になりました。


「このような物、わが仏国軍には、必要ございませんなあ」


 そう言うと仏国軍の将軍は箱を上下逆さまにしました。

 ザッと水が流れ落ちるような音がしました。

 そして、コンクリート製の床でパチパチと銀色のチンコ玉がはねます。

 ドスンと重い金色の玉が落ちて転がります。


「うおっ!!」


 閣下が両手を震わせて狼狽します。


「おお、これはまさか、純金製ですかな。この金色の玉だけはもらっておきましょうか」


 そう言うと、仏国軍の将軍が金玉を持ち上げました。


「おいっ!! お前達何をしている!! チンコ玉をひろうのじゃーー!!」


 閣下が叫びました。

 英国軍の兵士があわてて床を転がるチンコ玉を追いかけます。

 戦車の整備をしている兵士達まで工具を放り投げてチンコ玉を追いかけます。

 戦車なんかよりもっと「大切だー」といわんばかりです。

 ファルコンも、マーシーさんもシマズヒサシさんもチンコ玉を追いかけます。

 チンコ玉は転がり側溝に落ちて、たまった汚泥に埋まります。

 兵士達もファルコン達も、迷わず側溝に入り、手もズボンも泥に汚れながら探します。


「ふふふ、このような物、我が仏国軍には必要ございません。こんなものより、機関銃を追加してもらう方がありがたい」


 あわてて、チンコ玉を探す兵士や、ファルコン達を見おろしながら仏国軍の将軍が、さげすむような目をして言い放ちました。

 気休めのようなお守りはいらないということなのでしょう。

 仏国人には仏国人の信じる神様がいます。

 他国に勧められるお守りはいりませんよね。わかります。

 大きなお世話です。


「ぐぬぬぬぅぅぅぅーーーー!!!!」


 閣下がくちびるを震わせます。

 しばらく閣下は話すことも出来ないようです。

 うなり続けます。

 でも、ようやく話せるようになると、閣下は怒りのままに言いました。


「……こ、ここ、この上は、我が英国軍の兵士は引き上げさせていただく。兵器だけは置いていくので仏国軍だけで、ご存分に御戦いくだされ!!」


「ふむ??」


 仏国軍の将軍は、閣下が何をそんなに怒っているのかわからない様子です。

 最初から兵士の援助はいらないと言っていましたし。


「ファ、ファルコン殿」


 閣下は、両手を汚泥まみれにして、泥に汚れたチンコ玉を見つけて微笑むファルコンの姿を見ました。


「どうなされました?」


 ファルコンはチンコ玉から閣下に視線を移します。


「我が軍は英国へ帰るが、ファルコン殿はどうなされますかな」


「閣下、それを聞きますか? 決まりきった事にございます。我々は何をされようが、協力をします。それが地球防衛義勇軍です」


「ぐっ!! ふっふふ!! ふあぁーーぁーっはっはっはっ!!」


 閣下は、うっすら涙を浮かべて大きく笑いました。


「ふむ、地球防衛義勇軍の申し出はありがたいが、やはりここは我が仏国軍だけでやりたい。遠慮してくださらんか」


「ふふふ、もちろん。将軍がそう言われるのならば手出しはいたしません。ただ1つだけ聞いていただきたいことがあります」


「ほう。なんでしょうかなあ?」


「はい。敵司令官は、圧倒的な強さを持っています。直接戦う事はせず、わが姫神の一族の族長に戦っていただくことを進言いたします」


「あはははは!! わかった! わかった!! 後は頼むぞ!!」


 仏国軍の将軍は、頭の上で手を振りながらくるりと反転して倉庫の外に向かいます。


「はっ!!」


 配下の兵士が仏国軍の将軍に敬礼をしました。


「くそっ!! 何て奴だーー!!」


 閣下が怒っています。


「ぷっ!」

「くくっ!!」


 マーシーさんとシマズヒサシさんが吹き出しました。

 ですよね。

 たしか、閣下も最初は同じようなものでしたよ。

 金玉とチンコ玉を、汚いゴミの入ったゴミ箱に捨てたように記憶していますけど。


「2000個ありましたーー!!」


 見つけたマモリ玉を、綺麗に洗って数えていた兵士達から声がかかりました。


「おおーーっ!!」


 倉庫に歓声があがりました。

 英国軍の兵士は全員マモリ玉のありがたさがわかっているようです。


「しかたがないのう」


 閣下は喜ぶ兵士達とファルコン達を黙って見ていましたが、ぼそっとつぶやきました。

 閣下もこのまま仏国軍の後方支援をする事を決めたようです。

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