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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第2部

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第二百三十話 突撃!

「バダマ様!」


 扉をノックして兵士がその扉を開けました。


「うむ、どうした」


 バダマ王子は王国の第256番目の王子です。

 侵略軍の特別遊撃軍の総責任者です。

 ファルコン達を仏国で最初に迎え撃つ侵略軍の指揮官に、ユーラシア大陸軍最高責任者ゲンバ元帥に任命されました。

 気位が高く、首都の王国軍とは連携を取らず、自分の手勢だけで戦うつもりのようです。


 街の役所のような立派な建物を司令部にしています。

 建物には王国の大きな旗が掲げられて、はげしく音をたててはためいています。


「し、失礼しました。入浴中とは知らず」


 バダマ王子が全裸だったため、報告の兵士は部屋の扉をあわてて閉めました。


「いや、風呂は終わっている。気にせず中に入り、用件を早く言え!!」


「はっ! すみません。ほ、報告します」


 兵士は顔を伏せて言いました。


「うむ」


「いよいよ、英国軍が海を渡り終わりました。その数、およそ二万。海上には巨大な空母がいます」


「なるほど」


 バダマ王子は、ニヤリと笑いながら服を着始めました。

 バダマ王子の見た目は金髪の貴公子です。

 ですが、性格はいくぶん破綻しています。

 これまで、恐いものを知らずに育ってきたように感じます。


「よし、作戦室に重臣達を集めよ」


 服を着たバダマ王子は、私室を後にしました。




 バダマ王子は、作戦室に入ると一番奥の立派な椅子に座り、足を机の上に放り出し、ふんぞりかえりました。

 胸のボタンも開けたままで、とても態度が悪いですね。

 目を、半分閉じて部屋の扉を見ています。


「失礼します」


 続々重臣達が入って来ました。

 10人が席につきます。


「よし、そろったようだな。さっそく始めよう」


 バダマ王子は態度の悪いまま言いました。


「敵は、海峡を渡り真っ直ぐ首都を目指し進軍を開始しました」


 立派なヒゲの重臣が言いました。

 ここで、英国軍の詳細が説明されます。

 さすがに、敵の情報を正確につかんでいるようです。

 ですが、一番肝心なマモリ玉の存在はつかんでいないようです。


「よろしかったのですか。上陸を阻止しなくて。かつてドイツ軍は、あの海岸線を死守しようとしましたが」


 気の弱そうな重臣が言いました。

 言いながら、笑っています。


「ふふふ、バカ共に上陸されて困ることなど、我が軍にはみじんもない。英国では貧民出のシュバーリが負けたが、しょせん貧民だ。そんなもんだろう。王族の俺様が負けるはずなどあろうはずもない。ふふっ、ジギンゲン、わかっているだろう」


 ジギンゲンと言われた気の弱そうな重臣が笑いながら頭を下げました。


「王子、今夜夜襲でもかけますかな」


 立派なヒゲの重臣が言いました。


「ジェイカル、わかっているだろう。まったくお前達2人は」


 立派なヒゲの重臣はジェイカルという名前のようです。

 ジェイカルは立派な体で、軍服を着たままでも筋肉が盛り上がって存在を主張しています。


「で、あれば、ここで真っ向勝負、雌雄を決するという事でよろしいですな」


 ジェイカルが言いました。


「ふん、真っ向勝負ではない。じゅうりんだ! バカ共を皆殺しにするだけの戦いだ。全員に休みを与えて、明日からの戦いにそなえさせよ」


「はっ!!」


 重臣達が部屋を後にします。


「ジェイカル、ジギンゲン、ちょっと待て」


 部屋を出ようとする2人の重臣を、バダマ王子が止めました。

 ジェイカルとジギンゲンは、バダマ王子にとって他とは一線を画する存在のようです。


「どうなされました」


 ジェイカルが再び椅子に戻ります。


「ふむ、おやじから依頼された美女集めの件だが」


「おお、あれですか。すでにとびきりの美女がずいぶん集りましたぞ」


 ジギンゲンが言いました。


「中止になった」


「はっ!?」


 ジェイカルとジギンゲンが、同時に目を見開いて王子をみます。


「理由はよくわからんが中止だ。まあ、よいではないか。せっかく、選りすぐりの処女ばかりだ。俺達で楽しめばよう」


「そ、それでは、明日からの戦いに支障がでますぞ」


 ジギンゲンが言いました。


「ひゃぁぁーーはっはっは!! ふふふ、この世界の軍などその程度で丁度いいだろう。何しろ奴らの攻撃は下級程度の防御魔法で無効化出来る。そして、奴らは軽い攻撃強化魔法で、防御を全くできない。魔人軍と比べれば楽なもんだ。万が一にも負けることなどはない」


「で、ありますな!!」


 ジギンゲンがいやらしい笑いを浮かべます。


「最初に俺様が数人選ぶから、あとはお前達が好きにしろ!」


「ははっ!!」


 全員が司令室を後にしました。






 英国機甲師団は揚陸艦から下りると、敵の要塞を全速で目指します。

 侵略軍に急襲され助けを求める仏国の民衆を助けるため必死です。

 そこには、地球防衛義勇軍ファルコン隊も同行しています。

 4000個のマモリ玉を有効に活用するため、戦車には1人ずつファルコンの部下が乗車します。


 空母には、マモリ玉を持ったパイロットが攻撃命令を待ちます。

 距離があるため、空母上では効果がありませんが、攻撃のため敵の要塞に近づけば、閣下の持つ黄金の玉に近づくことになり効果が発揮されます。


 ――はっ!?


 もしかすると、今は空母がマモリ玉の効果範囲外。

 攻撃されればひとたまりもないかもしれません。

 全く弱点がないのかとも思いましたが、ここに大きな弱点がありそうです。

 でも、侵略軍には有効な空軍も海軍もありません。

 ひとまずは安心というところでしょうか。

 まあ、マモリ玉の存在すら知りませんから大丈夫ですね。




 街はのどかな田園の中にありしずかです。


「王子!! 敵は目視出来ませんが、至近距離まで近づいています」


 武官の長ジェイカルが、興奮気味に言いました。


「突撃命令が出れば、すぐにでも襲いかかってくるでしょう」


 文官の長ジギンゲンが言いました。

 その時、腰がカクンとなりました。

 3人の姿は、前線の塹壕の中にありました。


「よし、魔導師隊、各部隊に強化魔法をかけよ。これでバカ共の攻撃は無効化出来る。一気にじゅうりんするぞ」


 バダマ王子の号令で、全軍に強化魔法が施されました。




「せんぐーーん!! とつげきじゃーーーー!!!!」


 英国陸軍閣下の号令がかかりました。


「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!」


 英国機甲師団が一気に前進を始めます。




「王子、見えました!! 敵は戦車隊が前面におりまするぞ!!」


 ジェイカルが叫びます。


「バカが!! ゆみたーーい!! 戦車を狙えーーーー!!!! 思い知らせてやるのだーー!!」


 英国機甲師団は、射程距離に入っているはずですがまだ攻撃をはじめません。

 最初の攻撃は侵略軍、バダマ王子の軍でした。

 矢は、一直線に戦車に向かいます。

 重力を無視した軌道の矢は、強い魔力をまとっています。

 真っ直ぐ先頭の戦車に向かっています。

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