第一話:覗きに腕押し
第一話
展開にはお約束というものがあり、男子生徒が女子生徒に扮して女子高に侵入するのはよくある話だ。
勿論、それはあくまで創作上のお話。実際にやる奴はいないし、うまく潜入出来るなんて余程の事がない限り(特別な訓練を積んだりな)無理だ。
出来なかったらどうなるか……決まっている。俺みたいに警備室のお世話になるのさ。
「マジ、すみませんでした」
「これはどういうことですか。身分証明証を提示してください」
女性の警備員さんに睨まれて俺、大ピンチ。スカート履いて怒られるとかどういうプレイだよ。
そんなAVは見たこともなければ聞いたこともない……っと、現実逃避をしている場合ではないな。
「あの、この電話に出てもらえますか」
困った時の緊急連絡先をプッシュし、俺は凄く怖い表情の警備員さんに電話を渡した。それなりに使いこんだ俺の携帯電話が逆折りされないか心配しつつ、この時が終わるのを祈っていた。
スカート、すーすーする。女性物のパンツはきつい。ブラジャーとか……何のために着けてるんだよ、俺。
「あ、えっと……本当ですか。そうですか、はい。はい、わかりました」
二言三言、話をした後に俺の相棒が手元に返ってくる。
「迎えが来るそうですよ」
「よかった……」
軽蔑したまなざしを向けられると困るが、仕方がない。
「ん?」
窓の外に、人がいた。
この学園の制服を着ており、ニヤニヤした感じの女の子だった。面白いものを見る目で俺の事を見ている。
「どうかしました?」
「あの、外に人が……」
「外?」
そう言った俺の言葉に警備員さんは外へ首を向ける。
「何もいないじゃないですか」
「……おかしいな」
警備員さんは窓を開け、外を確認してくれている。
「足跡はありますね」
前日、雨が降っていたのでぬかるんでいる地面には確かに女性の足跡があった。
「しかし、この短時間で無理でしょうね」
「ですね」
それでは外にいたはずの少女はどこへ行ってしまったのだろう。
俺と警備員さんは首をかしげていた。
微妙な空気が流れる詰め所に、チャイムの音が聞こえてくる。
「どうやらきたようですね」
「迎えですか……」
自分がNKKに所属している事をどうやら警備員さんは知っているようなのでおそらく、この町に住む吸血鬼が来てくれたのだろう。
吸血鬼が出てくるのなら俺の出る幕はないだろう。
出掛けに手紙を放り込んできた友達の顔を思い出しながらすぐに帰れるのではないかと考えていたのだった。
さて、始まりました気になるあの子と透明人間。アブノーマルと変化球をコンセプトに続けていきたいと思います。少しの間は話が繋がっていますが、途中から話がばらけていくのを先に言っておきますね。次に、シリアスなシーンはおそらくありません。おふざけシリアスはあるかもしれませんがね。




