7-11
「えっと、あー、なんて?」
「この国風に言うなら……とってもホットな関係」
カリンの視線に気が着いたのかジャクリーヌは唇に指をあてながら微笑んだ。
「昔の話だ」
「あら、あなたが勝手に離れていったんでしょう? それなのにこんなにかわいいamante (アマンテ)を連れているなんて」
「わかんないけど絶対変な意味でしょ!」
顔を真っ赤にしてベッドから身を乗り出すカリンをよそに、ロイはため息をつき、手元のリボルバーのシリンダーをチャキリと元に戻した。
「……で、いくら毟り取った」
「失礼ね。正当な勝負の結果。少しばかりツキが私に向いていただけ」
ジャクリーヌは悪びれもせず、奪い取ったばかりの分厚い札束が挟まれたマネークリップをヒラヒラと振ってみせた。
「フロア全員の懐を丸ごと頂戴したのか?」
「あら、よくわかったわね。夏の炭鉱で儲けた分を、そのまま私に投資してくれたのよ。本当に気前のいい街ね」
ジャクリーヌがふふっと優雅に笑い声を漏らした、まさにその瞬間だった。
ガシャアァンッ!!と一階の酒場から、テーブルがひっくり返る重低音と、無数のグラスが壁に叩きつけられる派手な破砕音が床板を震わせた。
『イカサマだ! あのアマ、どこ行きやがった!!』
『ぶっ殺して金を取り返せ! 吊るし首にしてやる!』
ドスドスドスッ! と、親の仇でも追うような何人もの荒々しい足音が、軋む階段を猛烈な勢いで駆け上がってくる。
「……やったの?」
「まさか、負けが込んだカモの口ぐせよ」
のんきな会話をよそに怒声と共に、血走った目をした坑夫たちが斧やショットガンを手になだれ込んでこようとする。
だが、それより早く、ロイの右手が振りぬかれた。
「悪いが貸し切りだ」




