7-10
隙間風の差し込む客室に入り、カリンはホールに置かれていた焼いた石を革袋にほおり込んで抱きしめた。
「さむ……」
「まぁ、外よりはマシだな」
サドルバッグを自分のベッドにかけ、濡れたコートを雑にかけると、腰のホルスターから愛用のリボルバーを抜き出した。
肉厚なストッパーを外してリリースすると、冷たい金属音が隙間風の鳴る部屋に響く。
「ねぇ」
「どうした、口数が少ないな」
凍てつく空気の中、ロイは油の匂いを漂わせながら慣れた手つきで星型のエクストラクターが押し出す真鍮の薬莢のプライマーを親指の腹で一つ一つ確かめていく。
「どんな関係なの? ドクトルと」
「……腐れ縁だ。東にいた頃のな」
「戦争の?」
カリンが手際よく毛布に包んだ焼けた石の入った革袋を抱きしめると、ロイは窓の隙間から外の猛吹雪を一瞥し、短く鼻を鳴らした。
「いや、終わってからの付き合いだな」
「そうなんだ……」
カリンはベッドの上に崩れ落ち、熱い毛布に顔を押し付けて呟いた。
白い息を吐きながらロイも腰を下ろす。
しばらくの間、一階の酒場から漏れ聞こえてくる野太い笑い声と、食器や酒瓶のぶつかる軽い音だけが薄い床板越しに響き続けていた。
「ねぇ……」
「âme sœurよ」
突っ伏した姿勢のまま再びカリンが口を開くのと、勢いよくドアを開け、ストーブの熱気と共に使い古したマネークリップを持ったジャクリーヌが飛び込んできたのはほぼ同時だった。




