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「な、なんで密猟者が死んでるの? 熊とか?」
カリンが思わず問いかけたのを無視し、ロイは馬を止め、鞍の上から周囲の雪面を鋭い眼光で見回した。
小屋に着けるようにジャクリーヌも馬車を止め、御者台から軽やかに飛び降りた。
寒風に銀髪をなびかせながら、彼女は視線を足元、雪の上に残された、不自然に深く抉られた足跡へと向ける。
人間のものではない。三本の指先には、凍土すら削り取る太い爪痕。
「ターキーか?」
「ええ、間違いなく嘴のあとね」
聞くが早いか、ロイも馬を降りリピーターを鞍から抜き出す。
「ねぇ、七面鳥狩りでショットガンを持った男が4人食い殺されることって、ある?」
「ターキーじゃない。ターキー鳥だ。走れば馬並み、肉は硬いが塩漬けにすれば冬を越せる重宝な蛋白源だ。……だが」
「一瞬でも油断すれば、こう。ね」
ロイは無造作にリピーターのレバーを起こし、初弾を装填した。
金属質の冷たい腔孔音が、静まり返った森に短く響き……。
合図にしたかのように、まるで手回しサイレンのような轟音が響き渡った。
「カリン、馬車に上れ。ドクトル……なまってたら報酬から差っ引くからな」
「まぁ、相変わらず失礼しちゃうわね」
ジャクリーヌは悪戯っぽく微笑むと、馬車の荷台からロイと同じモデルのカービンを抜き出し、メルトンウールのコートの懐から、鈍く金色に輝く弾帯を滑り出させた。
その扱いは、およそ医者のそれではない。
奥の深林から、けたたましい羽ばたきと、地鳴りのような咆哮が近づいてくる。
「ね、ねぇ、これってヴァッファロー!? スタンピードとか!?」
カリンが悲鳴交じりにライフルを握りしめるのと同時に、足元から激しい地鳴りが伝わってくる。
フロンティアの短い陽光が頂点を描き、振動によって樹冠から舞い落ちた粉雪が、キラキラと幻想的に輝いていた。




