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「疲れたぁ……」
「休むなら自分の部屋で休め」
当然の様に固いベッドに横になるカリンにロイはお決まりの様に苦言を呈した。
死体と捕虜を保安官に引き渡した後、懸賞金を受け取った二人はこの街でもっともマトモなホテルを選んで部屋を取っていた。
最近ではめっきり生息数が減ったというトライホーンバッファローの革が敷かれた部屋は、いかにもフロンティアを訪れる金持ち向けといった感じで……お世辞にも趣味がいいとはいいずらかった。
「いいでしょ?」
ブーツまで脱いでくつろぐ姿にロイは小さくため息をついた。
「かってにしろ」
疲れた体を椅子に預け、ロイは自身を縛っていたサスペンダーを外す。
「それで、この後はどうするの?」
「明日の3時10分の汽車で元居た街に帰る。それだけだ」
面倒くさそうに答えながら、ロイはサドルバックを漁り……
「これ?」
カリンが黒馬物語を掲げて見せた。
「はい、どうぞ」
無言で差し出されたロイの手に本を乗せ、カリンはゴロンと寝返りを打つ。
「でも、教えてくれるんだ」
「なに?」
「今後の予定」
なんでもなさそうに言ったカリンにロイは顔を上げ……小さく首を振ってページをめくる。
「なんか不思議だなって」
カリンは天井を見上げながらぼんやりとつぶやく。
「今までだって隠してたわけじゃない」
ロイは興味なさげに返しながら、ページをめくる手を止めない。
「そうだよね。勝手についてきてただけだし」
カリンは再び寝返りを打ち……夕陽の中、無言で本を読むロイを見つめた。
パパっていうのはこんな感じなのかな?
静かに過ぎていく時間の中、カリンはゆっくりと沈んでいく夕陽に導かれるように襲ってくる睡魔に降伏し意識を手放した。




