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数時間後。
「いや、助かったよ」
豪華な駅のプラットホームに足をおろした二人に、客車の上からラッキーが声をかけた。
「降りないの?」
「いんや、アタシらはこのまま東海岸までの契約。降りるのはアンタらと、あの貴族様方さ。この街の保安官とのやり取りは任せるよ」
そう言いながら前方を見ると、いくつかの死体と、降伏したガンマンたちが並べられていた。
彼らに銃を向けるのは、ビシッと執事服を着込んだ男と、同じくメイド姿の女。そしてその奥に、優雅に構えた少女。目が合うと、彼女はほんのわずかに微笑んだ。
「あんたらの活躍に対してギルドの報酬山わけじゃ少なかったがね。結局あの時居た男以外は雇われのチンピラども。ただ……」
ラッキーが言葉を区切ると、三人の視線が保安官助手によって運び出される男の死体に向かう。
「いや、リッチのフカシだとばっかり思ってたけどさ、早撃ちロスコってのはここらじゃ一番の賞金首だって」
ラッキーは面白そうに笑った後、カリンに優しく微笑んで見せた。
「アンタの手柄さ。凄いじゃない」
そう言って客車から手を伸ばしてきたラッキーの手を、カリンが握り返す。
「わっ、ちょっと!?」
「……恥ずかしいこっちゃないよ。あのゲイリーなんて初めての時はクソもらしたもんだ」
引き寄せてハグをしたまま、カリンの耳元でラッキーが囁く。
「え?」っと、一瞬固まったカリンは耳まで真っ赤にしてバッとラッキーから離れた。
「ははっ!じゃあ、あいつらをおろしたら出発さ。あの貴族の嬢ちゃんらも降りるらしいが……あぁ、ゲイリーは連れていくよ、向こうに家族がいるんでね」
ふー!っと猫のように威嚇するカリンに微笑んで見せ、ラッキーは小さくひらひらと手を振った。
「じゃあ、お二人さん」
「もうっ! うん、じゃあね、ラッキー!」
手を振りかえすカリンに再び微笑んで見せ、ラッキーは首を振った。
「クンバさ」
「え?」
「アタシの名前。覚えときな! 知ってるやつは多くない」
その時、機関車の汽笛が鳴り響きゆっくりと前進を始めた。
「あんたとロイに何かあったら知らせな! ゴットマザーになってやるから!」
呆気にとられる二人に見送られながら列車は加速していく。
「あー、そろそろいいか、お二人さん?」
保安官のバッチをつけた男が、呆れたように声をかけるまで、二人は並んでフリーズしていたのだった。




