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3-8

 数時間後。


「いや、助かったよ」


 豪華な駅のプラットホームに足をおろした二人に、客車の上からラッキーが声をかけた。


「降りないの?」

「いんや、アタシらはこのまま東海岸までの契約。降りるのはアンタらと、あの貴族様方さ。この街の保安官とのやり取りは任せるよ」


 そう言いながら前方を見ると、いくつかの死体と、降伏したガンマンたちが並べられていた。

 彼らに銃を向けるのは、ビシッと執事服を着込んだ男と、同じくメイド姿の女。そしてその奥に、優雅に構えた少女。目が合うと、彼女はほんのわずかに微笑んだ。


「あんたらの活躍に対してギルドの報酬山わけじゃ少なかったがね。結局あの時居た男以外は雇われのチンピラども。ただ……」


 ラッキーが言葉を区切ると、三人の視線が保安官助手によって運び出される男の死体に向かう。


「いや、リッチのフカシだとばっかり思ってたけどさ、早撃ちロスコってのはここらじゃ一番の賞金首だって」


 ラッキーは面白そうに笑った後、カリンに優しく微笑んで見せた。


「アンタの手柄さ。凄いじゃない」


 そう言って客車から手を伸ばしてきたラッキーの手を、カリンが握り返す。


「わっ、ちょっと!?」

「……恥ずかしいこっちゃないよ。あのゲイリーなんて初めての時はクソもらしたもんだ」


 引き寄せてハグをしたまま、カリンの耳元でラッキーが囁く。

 「え?」っと、一瞬固まったカリンは耳まで真っ赤にしてバッとラッキーから離れた。


「ははっ!じゃあ、あいつらをおろしたら出発さ。あの貴族の嬢ちゃんらも降りるらしいが……あぁ、ゲイリーは連れていくよ、向こうに家族がいるんでね」


 ふー!っと猫のように威嚇するカリンに微笑んで見せ、ラッキーは小さくひらひらと手を振った。


「じゃあ、お二人さん」

「もうっ! うん、じゃあね、ラッキー!」


 手を振りかえすカリンに再び微笑んで見せ、ラッキーは首を振った。


「クンバさ」

「え?」

「アタシの名前。覚えときな! 知ってるやつは多くない」


 その時、機関車の汽笛が鳴り響きゆっくりと前進を始めた。


「あんたとロイに何かあったら知らせな! ゴットマザーになってやるから!」


 呆気にとられる二人に見送られながら列車は加速していく。


「あー、そろそろいいか、お二人さん?」


 保安官のバッチをつけた男が、呆れたように声をかけるまで、二人は並んでフリーズしていたのだった。


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