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②
沈黙が訪れている。それが俺の鼓膜奥に響いている。沈黙が響くなんて可笑しい表現だと思うかもしれないが、先程迄俺はあの炎の息の轟音に追われていたんだ。
俺は『竜の涙』を握りしめる。きっとこいつはあいつのものなんだろう。
噂で聞いてことがある。『竜の涙』は母竜から子竜へと受け継がれる。それは誇り高き竜の一族の証として。この世界には今でも深い迷宮に棲む竜が居る。
その中でも俺が潜り込んだ迷宮に棲むベオドラムは赤竜と言ってこの地方に住む竜の中では破格の家格の竜だ。
それもそんじょそこらのB級何てもんじゃない、古文書にも記されている神の使いとして登場する赤竜の一族なんだ。
だから俺も始めてあいつが今長い『黄金の眠り(ゴールデンマイム)』という長い眠りについたなんて話を聞かなきゃ、棲み処の迷宮に忍び込もうなんて思わなかったんだ。
そう、確かにあいつは眠りについていた。そしてその膝元には確かに輝く鉱石があった。
それこそが今俺が握りしめている『竜の涙』
盗むのは赤子の手を取るように簡単だった。身体を僅かに逸らさせ、鱗の下に手を伸ばす。それだけでこいつを手にすることができた。




