表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/7

第五話 盗賊なんて怖くない

第五話掲載させていただきました。

ほとんど完成していた話がなぜか丸々消えていたのでガン萎えしました。

 何かいい方法はないかと模索しています。

今回から後書きに用語、設定の解説をいれたい入れていきたいと思います。(飽きが来なければ)


 

 村から出発してしばらく経った。目的地のギルドまでおおよそ3、4時間ほどだ。到着する頃は昼過ぎになる。


 街への道も整備されれば、移動時間も格段に早くはなるのだが…。たかが小さい村への環境など王国が行うはずもなかった。

 

(まだまだ、やることは多いな…)

 

 未だ整備の行なわれていない小石だらけで馬車の轍の残る道へと目を落とす。

 だが、今回の納品で村への整備に着手してくれるかもしれない。そう期待するしかなかった。


「アルマの旦那。きっと大丈夫ですぜ。村の回復薬の品質を知れば、王都も街道整備に乗り気になってくれますよ。」


 そう言うと、御者のオヤジは笑う。このオヤジともずいぶん長い付き合いになった。

 初めて回復薬を周りの街や村に売り出そうと言った時、他の御者から協力を得られなかった中、唯一快く引き受けてくれたのである。


 まあ、回復薬の販売なんてほとんどギルド関係の人間しか取り扱わないうえ、なんの実績もない人が作った薬品など取り扱いたくはないだろう。

 品質に問題があった時、真っ先に石を投げられる可能性が高い。その上、自分の仕事に汚点を残すだろうし、最悪の場合職を失う可能性すらある。

 

「オヤジには感謝しかないよ。」


 アルマはオヤジと軽く談笑しつつ、馬車と共に揺れる回復薬に目を向ける。1000本を超える回復薬が箱いっぱいに詰められている。

 

「この量何に使うんですかねぇ。普通なら納品の仕事はギルドが行うはずなんですが…」


 オヤジは怪訝そうな顔をしながら言う。確かに、量も量だが、発注先がギルドではなく王国から直接の発注だった。

 これには理由ある。ギルドを挟むことにより品質の保証を行う二重チェックというやつだ。王室側に何かあってはいけないからだ。まあ、何かあった場合、首が飛ぶのは俺だし、国家転覆の容疑で村ごと地図からなくなるだろう。想像するだけでゾッとする。できれば、そうはなりたくないものだ。


 そして、納品するリストに目を通しておく。ある程度把握はしているのだが、上級回復薬も中に含まれているため念には念を入れておく。

 

 薬草の成分を抽出して作られる回復薬にもグレードが存在する。


 傷や怪我や傷口の化膿などにも効く初級回復薬。これが1番市場に出回っているし、冒険者のみならず病院、一般的な家庭にも常備されている品だ。


 次に、中級回復薬。これは初級では回復しきれない怪我などに使われる。ここから大体値がはってくるため、一家庭で置いているのは少ない。


 最後に、上級回復薬。これは裂かれた皮膚すら何もなかったように癒し、ちぎれた腕すら痕すら残さず接合する。 

 まあ、ぶっちゃけ死んでなければある程度回復できるわけだ。

 ここまでくると消耗品というよりも資産に近しいものとなっており、オークションの商品としても上がっている時もあるほどだ。

 

 ただ、上級になるにつれ回復薬にも副作用が出始める。傷口などの回復後にひどい目眩などに襲われたり、短期的な睡眠障害が出たりする。

 これに関しては仕方のないことなのだが、回復薬を作るというなかでは目を逸らせない問題でもある。

 周辺国の研究機関では回復薬の副作用を抑えるように研究に勤しんでいるという話を聞いたことがあった。


 しかし、大量の回復薬が必要というのも疑問なところではある。戦争をしているという話は聞かないし、むしろ国交を結ぼうと諸外国へ積極的に動いていると聞いている。

 もしかしたら、水面下で何かしらあったのかも知れないが、わかるはずもないか。戦争は起きないに越したことはない。

 それに、起きたら起きたで回復薬の販売は中止されて、在庫も名目上の没収だろう。そんなの溜まったもんじゃない。


「何事も、平和が1番だな。」


 独り言を言ったつもりだったが、オヤジにも聞こえていたらしく、笑いながらそうですなと応えられた。


 しばらく心地のいい馬車の揺れにうとうとしていると、突然馬車が停まった。目的地まではまだ時間があるようだが、どうも落ち着いた状況ではないらしい。外から馬の嘶きとそれを宥めようとするオヤジの声が聞こえてくる。

 何が起きたのかと外を覗いてみると、馬車の周りを数十人の人間が取り囲んでいた。薄汚れた装備を見に纏い、斧や短剣を抜きこちらをニヤニヤと見つめている。

 ハルナの忠告にあった盗賊たちに出会したのだった。盗賊たちはこちらの様子を窺っているようだがボスの命令が降ればすぐにでも襲いかかってくるだろう。 

 並の商人なら絶体絶命といったところか。普通ならね。


「どうします?こいつら。」


 少々呆れたような口調でオヤジは話しかけてくる。むしろ盗賊たちに向かってしょうもないなとでも言いたげだった。


「まあ、交渉はしてみるよ。無理だろうけど。アレの準備だけしといてくれ。」


「了解。」


 そう軽く答えると、オヤジはニヤニヤしながら馬に小声で何かを呟きだす。馬も理解したのか耳がピカピカとオヤジの声に合わせて動いている。


 荷台から降り盗賊たちの前に出る。少しは怯えているように見せないとなと思いながら声色を高くして話し出す。


「か、金目のものなんて無いぞ。うちは貧乏商人だからな。」


 多少はそこにでもいる商人に見せられただろうか。少し盗賊たちに沈黙が訪れたあとすぐにゲラゲラと下品な笑い声が響く。

 

「そこに、金よりも高価なモンが積んでるのは知ってンだよ。」


 目の前の盗賊たちを押し除けて大柄な男が前に出てくる。周りの盗賊と比べ装備も整っており道を開けていることからコイツが盗賊たちのボスだろう。


 ボスは近づいてくるといきなり胸ぐらを掴む。一気にアルマの体が浮かぶ。太ももと腕をつけ違えたのかと思うほどに太い。


「その荷台にゃ高価な回復薬が積んでるんだろ?わかってンだ。大人しくしとけば腕の二本で勘弁しといとやる。」


 臭い息を吐きつけながら脅してくる。血の染みた剣を見せつつ周りの部下たちに目配せをしている。御者はいらないから殺せ、と言うことだろう。


(俺たちが回復薬を運んでいることは知っていると…どこかで情報を仕入れたか…)


 取引の情報は内密にしているはずだがタレコミでもあったのかもしれない。やれやれと思いながら御者の方に目を移すと、馬に隠れながらokのサインを出している。準備はできているらしい。


 俺はわざとらしく、ひぃぃと言いながら助けてください。と連呼する。ボスもその様子に満足しているのかゲラゲラと汚い笑い声をあげて掴む腕の力を少しだけ緩める。


「お前は人質にしといてやる。そしてあの村に連れて行ってやるよ。そうすりゃ薬も楽に手に入る。そのあとは、女でもさらって楽しんだら一石二鳥ってわけだ。」


 一際大声で笑う。それに釣られて周りの部下たちも一緒に歓声を上げていた。どうやら大満足のようだ。


「さあて。それじゃあ始めさせてもらおうかな。」


 そう言うと、腰の剣を抜き俺の肩にあてがってくる。


「や、やめてください!お金ならあげます!薬でもなんでも!だから痛いのは嫌だ!」


 ジタバタと手足を動かして足掻く姿を相手はニタニタとしながら楽しんでいる。


「楽な仕事だぜ。ガキ1人生捕りにして、積荷を持ってくだけで金が入るなんてよ。おめぇも仕事相手はしっかり選ぶんだな!」

 

 持っていた剣を腕に向けて振り下ろすため大きく振り上げる。部下たちもその様子に一斉に声をあげる。ボルテージも最高潮だ。


「はぁ…なるほどね。お前らは雇われて襲撃してきたわけだ。」


「は?」


 ボスは期待していた悲鳴とは違う声に戸惑いを見せる。その瞬間、遅れて自分の体に痛みと衝撃が走る。掴んでいた手が離れその場にうずくまる。じわじわと口の中に吐瀉物の味が広がりたまらず吐き出す。


 全く状況がつかめなかった。本来うずくまってのたうち回っているのは青年の方のはずだった。

 部下たちもポカンと口を開き間抜けな顔になっている。


「誰に雇われたかは知らないけど、アンタらも仕事は選んだ方がいいよ。」


 蹲る男に向けて言い放つ。商人を狙って荷物を奪うなんてしょうもない事だ。いつもオヤジが言っている。俺たちだってある程度自分の身は自分で守れるようにしている。

 

 プライドに傷をつけられたからかボスの怒号が放たれる。それを合図に呆気に取られといた部下たちが馬車に飛びかかった。


 ボスも再び立ち上がり、剣を振り上げて襲いかかる。もう生捕りなどどうでもいいのだろう。『殺して奪う』盗賊らしいシンプルな命令だ。

 

 ボスは剣を勢いに乗せ振り下ろす。太刀筋など関係ない力任せの一振りだった。それを慣れたように避け動きに合わせ拳をボスの顔面に叩き込む。殴られたボスは錐揉みしながら飛んでいった。部下たちが急いで介抱するために集まっていく。


 ヒヒーン!と後ろから馬の嘶きが聞こえる。振り返ると先ほど飛びかかった盗賊たちが潰されたカエルみたいに地面に減り込んでいる。重力魔法で動けなくなっているのだ。周りにいる残りの盗賊たちもこれでは近づかず目を見合わせている。

 パシン!とオヤジが手綱を叩くと馬が走り出す。一気にスピードを上げこちらに向かってくる。


「旦那!乗ってくだせぇ!」


 オヤジの声を合図に荷台に飛び乗る。馬はスピードを落とさずに盗賊の山へと突き進んだ。

 まるで砂の山を蹴り壊すように盗賊たちが散っていく。幾らか嫌な音が聞こえた気がするが、まぁ自業自得だろう。車輪に赤黒い痕が残っているし言うまでも無い。


 盗賊たちが見えなくなると馬車は自然と速度を落とし、また心地のいい揺れを提供してくれている。少し前の騒ぎが嘘のようだった。

 林道を抜けると舗装された道に入っていく。街道に入っていた。王都にもう少しで着く目印だ。心地のいい風が荷台の中を吹き抜けていく。

 外を見ると、遠くの方に小さく城門が見えてきていた。

 

 拝読ありがとうございます。

今回は『薬草』についてちょこっと解説します。

『薬草』…回復薬や解毒薬などの主成分になっています。葉だけでなく、実自体にも回復とは違った効果があり鎮痛と麻酔成分です。

 また、話の中でナツエ村のみが栽培、量産に成功しているとありますが少し違っていて栽培はできるがコストが見合わないのでできないと言うのが正解です。


 一応他の地域でも見つけられているのですが、特にナツエ村周辺の山に多数の群生地があります。これについては他の話の中で書きたいと思っています。


感想、ご意見などお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ