私の居場所
時々、私の庭で勝手に休んでいく者がいる。
私はそれを、透明の板の向こうから眺めている。
曙色の毛は、ところどころ汚れているようだ――
……まあ、悪くはない。
私は優しい。
だから特別に、庭で休むことを許してやろう。
そう思いながら、美しい白い毛並みを整える。
ひとつ、ゆっくりと伸びをする。
ここは、私の場所だ。
人間とは、規則正しいようでいて、そうでもない。
朝は騒がしく、夜は遅い。
眠っていたい時間に起こされ、静かにしたい時に構われる。
……まあ、私を撫でるその手は、嫌いではない。
とにかく、都合のいい生き物ではない。
人間は、よく話しかけてくる。
言葉は分からないが、こちらを見ていることは分かる。
返事を期待しているのかもしれないが、
あいにく、私はそこまで暇ではない。
しかし不思議なことに、
こちらが構ってやろうと思ったときに限って、人間はいない。
あれは、わざとなのだろうか。
理解に苦しむ。
透明の板の向こうで、あの曙色の猫は、今日も好きな場所で寝ている。
風に当たり、好きなときに動く。
毛並みは整っていないが、あれはあれで――
悪くはないのかもしれない。
……いや、やはり、少し落ち着きがない。
私はその向こうへは行かない。
人間はよく分からないが、外の世界も、あまり興味はない。
ここには、暖かい場所と、決まった餌と、
まあ、それなりに悪くない手がある。
それで十分だ。
……たぶん。




