20/23
どんぐり
子供たちの声が近い。今日は妙に騒がしい。
日が傾き出す頃、公園は落ち葉を踏みしめる音で溢れている。
子供たちは地面を見ながら忙しなく歩き回っていた。
吾輩はいつものベンチから聞き耳を立てる。
どうやら、どんぐりという木の実を探しているらしい─
両手から溢れそうなほど集めるもの、拾っては色や形を吟味しているもの。
少し騒がしいが、見ている分には悪くない。
じゃれつくのに騒がしいのは、子猫も人の子も相違ない。
人の子もこうして狩りを覚えていくのだろう…嬉しそうな声を聞く限り、中々上手そうだ。
その中で一つだけ、どんどん力無く弱っていく足音がある。
怪我でもしたのかと吾輩はそっと目を向けたが、そうではないらしい。
だが、その子の手には何も無い─
楽しそうな声の中、尾が垂れているように見える。
……あの子は狩りが、苦手なようだ。
吾輩は伸びをしながら、欠伸をひとつ。
その子の横をゆっくりと通り過ぎた。
尻尾が落ち葉をかすめる。
その下から、丸々したどんぐりが転がり出た。
「あっ!」
子供は嬉しそうに木の実を拾い上げていた。
……悪くない。
吾輩は振り返ることなく、その場を後にした。




